伊勢うどんの麺で作る焼きうどんとカレーうどん
伊勢の人にとっては「うどん=伊勢うどん」であって、一般的な太さのうどんを食べる習慣があまりないので(スーパーなどで普通に伊勢うどん用の麺が売られている)、この麺で焼きうどんやカレーうどんを作るというご家庭も多く、メニューにしている店もいくつかある。
こちらは製麺所で茹でた麺を急速冷凍することによってコシを残した山口製麺の冷凍麺を使用した。焼きうどんもカレーうどんも、伊勢うどんで作るからこその食感を楽しんでもらえたと思う。
デザートはファルーダ伊勢うどん
食べ足りない人には余っている伊勢うどんを気がすむまで食べていただき、最後に締めのデザート伊勢うどんをお出しする。
今回は南インド料理とのコラボということもあり、得意のファルーダを伊勢うどんで作ってみた。
ファルーダとはイラン、インド、パキスタンなどで食べられている澱粉で作った麺の入ったスウィーツのこと。詳しくは「インド亜大陸の麺状デザート、ファルーダを自作したい」をどうぞ。
インド人シェフがファルーダを日本で作ろうとしたときに、肝心の麺が手に入らなかったので、茹でうどんで代用したという心温まるエピソードがあり、そのオマージュとして手作りの伊勢うどんを使ってみたのだが、やわやわで極太なので冷えても固くなりきらず、程よい弾力を保ってくれた。私がこれまでに作ったファルーダで一番評判がよかったかも。
これらの伊勢うどん料理は少量ずつ出したので、コース全部を食べて二玉弱くらいとなる計算だ。ちょっと多かったかなという気もするが、伊勢うどんは消化が良いからきっとヘルシー。
とにかく準備が大変だし、盛り付けは面倒だし、洗い物の数も多いしで、なかなかの手間だったが、伊勢うどんが持っている新しい可能性を大々的に示せたと思う。だからなんだという話なのだが。
そんな話のついでに、大阪でやった伊勢うどんに関するトークイベントの動画もどうぞ。
ゲストはスズキナオさんだよ。
今回のコースで私は伊勢で食べられている実在の料理法をベースとしたが(ファルーダを除く)、今度は沼尻さんのように伊勢を忘れて自由な発想で作るのも楽しそうだ。ミラノ風伊勢うどんとか、芋煮伊勢うどんとか。麺は腰が命と考える人もいるかと思うが、やわやわな麺だからこそ生まれる幸せの形もあるのだ。
この記事で私が一番言いたいことは、そんな伊勢うどんを調べまくった「伊勢うどんってなんですか?」はすごくおもしろいから買ってくださいということである。もし増刷することがあれば、また伊勢うどんフルコースをやろうと思う。