レクチャーと実践、まさにワークショップ
今回の企画は2部構成である
1部:石井さんに片手袋の分類、落ちている場所の傾向を聞く
2部:各自探す
ワークショップだ。デイリーポータルZからはこの手の企画に喜んで参加しがちになメンバーが集まった。
主役である石井さんが目ただないので大きな写真でどうぞ。
では楽しく家にいながら手袋を探そうと考えていたが、石井さんの言葉がいきなり本気だった。
石井:「よなよなスマホでストリートビューで探していたんですが、あんまり長時間やると酔っちゃうんですよ。いちど吐いたことがあります」
身体を壊してまで!「あなたもう片手袋やめて!」と家で言われる世界である。
分類と季節変動
石井:まず大枠として、種類を知っておいてもらいたいんですが…。分類図です。
石井:第2段階に注目してほしいんですが、放置型と介入型だけ覚えてください。
放置型というのがみなさんが想像する落ちている片手袋で、介入型というのはそれ通りかかった誰かが目立つ場所に移動してあげるものです。
下の「雪解けこんにちは系」がたまらない。つくしのような情緒がある。
石井:ストリートビューで探すときに放置型狙いで行くのか介入型狙いで行くのかという問題があるんですが、放置型は年間まんべんなく見られます。
石井:介入型というのは、拾った人が『落とした人が困っているだろうな』と思って拾うので、冬に偏っています。革や毛糸の手袋ですね。
放置型は軍手やゴム手袋が主流で、季節の影響受けません。
どうやって探すか
石井:放置型はコツさえつかめば見つかります。でも介入型は偶然に頼るしかない。
これもちゃんと積み重ねていけば打開策が見つかるかもしれないのですが、いまのところは偶然です。
その放置型をさがす際にこの言葉を覚えておいてください。
石井:新木場にいけば放置型に関してはほぼ見つかります。こちら、ストリートビューじゃない、リアルの新木場の風景を見てください。
石井:配送とか土木のトラックが走っています。トラックって手袋を落とすんですよ。ちなみにロハコのトラックは片手袋がかいてあるので注意です。
石井:そしてこれが新木場の片手袋です
べつやく:かなり年季入ってますね
西村:これ、はわからないな…
林:これ手袋なんだ
三土:素人気づかないですよ
どよめくデイリーポータルZ勢
石井:これは床革手袋というやつです。革の表面を撮ってケバケバしてたやつで、こういうのが路肩にいっぱい落ちてるんですね。
トラックの鉄板の養生として軍手をかぶせてあるんです。
林:怪我しないようにだ
伊藤:再利用みたいなことになっているのか
石井:これはオイルキャップとして使われている手袋。大型トラックで見る光景です
林:よく見る光景なんだ
べつやく:メロイックサインみたいになってますもんね
石井:こういうのが走ってるうちに落としちゃって。
林:このタンクにはちゃんとしたキャップはあるんですよね。
石井:ふたつの説があって、ガソリンスタンドの人に使ってもらうために置いておいてある説と、キャップ自体を紛失しないため説です。
実際に一緒に手袋を探す
石井:実際にストリートビューで新木場の片手袋を見ていきたいと思います。
? どこ?
石井:ここですね。これは床革手袋、隣もそうかなと思ったんですがわかりずらいですね。
一同:うぉおおお
べつやく:これ、みつけられるかな
西村:心配になりますね
片手袋、おれも興味あるっすよ~みたいなノリで入門したらいきなり師匠が素手で木を倒すのを見せつけられたようだ(むかしのカンフー映画のパターン)。次、
石井:気配は感じ取っていただけると思うんですが…
DPZ一同:「ありそうだな」「気配だけは」「赤いやつ?」「あーあー」
もうアハ体験である。よく見ると片手袋が見えてくる。DPZ勢がわーわー言ってるだけなのでモブキャラとしてひとくくりにした。
石井:めちゃくちゃ片手袋がある雰囲気というのがあって、この3ヶ所見てください。新木場と大阪、昭和通りです。
石井:『この通りはあるな』というのが雰囲気でしか察知してなくて、言語化できてないんですよ。高速道路が走っていて、下がトラックとかの交通量が多い。高速のしたは物置や駐輪場になっている。
DPZ勢:「ざらざらした場所にありますね」「歩行者の存在がない」「灰色が多い」「川の淀み」「吹き溜まりみたいな?」
石井:という感じを皆さん探すときに参考にしてください。道路脇の排水溝とか、実際に最終的にひっかる場所はあります。
片手袋には未開の大地が広がっている
石井:ですが、放置型が簡単に見つかる場所があります。片手袋界の最大の調査が及んでない場所、それは…
石井:見つけた片手袋はたとえバスに乗っていても降りて撮りに行く、100%撮ると自分に課してます。でも高速だけは撮れてません。死んでしまうので。下手するといちばん多い可能性があります。
DPZ:「都市鉱山だ」「フロンティア」「エルドラド!」
石井:これまで1枚だけとれていて、貴重な写真なんでぜひ皆さんに見ていただきたいのですが
石井:同じ落としもの仲間の藤田さんに運転してもらって撮りました。ウサインボルトを撮るように連写して、20枚ぐらい見つけたけど撮れたのはこれだけでした。
あと、高速探すときの難所は、このゴム。見間違いやすいので、ブービー・トラップです。
これも集めているのですが。
DPZ:あつめているのか…。
石井:高速道路の片手袋ですが、いくらでもあります。こんな感じでストリートビューで路肩を進んで…
あった
べつやく:すごい保護色
林:野生動物ですね
介入型(誰かが拾って置いてある片手袋)
石井:介入型は、過去に出会ったた場所を探すという方法しかないんですよね。
ガードレールのポールの上にかぶっている
石井:この辺には発生するという経験則があったので、探して見つけました。
DPZ:数ヶ月あるということはあるんですか
石井:いまのところ定点観測したいちばん長いのは1年あったのがありました。これは1週間もたないと思います。お店の人が片付けたりするので。これはファション防寒類介入型ガードレール系片手袋ですね
DPZ:哺乳類の分類みたいだ。
築地は場内と場外で手袋が違う
石井:移転しちゃいましたが、築地は片手袋の聖地でした。場外と場内で片手袋のようすも違います。場外だと観光客の方が多いので、こういうのよく見ますね。介入型。
伊藤:のぼりベースと三角コーンがある。
三土:全部入りだ
DPZ勢がじぶんの得意なものを見つけて喜んでいる。(伊藤さんはのぼりベース、三土さんは三角コーンを集めている)
石井:これは築地の場内です。
石井:これは築地特有の片手袋でして、軍手です。平場と違うのは、軍手とかも拾われるんですよ。
平場…
石井:軍手は築地のひとたちにとって必需品です。外だと軍手は拾われずに放置型になりますが、築地では毛糸の手袋と同じ価値をもつんですよ。
こちらはかっぱ橋です。
石井:おじさんの前に、片手袋があります。
林:片手袋ビューじゃないですか。したにレンズフードがありますよ?
三土:レンズフード付けて手袋外して忘れたのかな
石井:物語を考えていくのも楽しいですよね。ストへぇのときは、聖書の横に片手袋が落ちてて妄想が膨らみました。
ストリートビューでどこを探すのか
石井:結論として、ストリートビューの片手袋探しは元からあることが分かっている場所を確認するか、まったく見ていない場所を探すかです。
石井:放置型がありそうな場所のメソッドは海外でも通じるとにらんでいるので、国内でも海外でもかまいません。
ここから10分、世界に散って片手袋を探した。
「あ、あー違うか」「これは…」「あった!」「すげえいいのあった」と世界じゅうに散った仲間の声が聞こえる。
見つかった片手袋は次のページで!