暗い部屋から失礼します
みなさんようこそおいでくださいました。ええ、ちょっと照明落としてまして。暗い部屋ですみませんが、どうぞごゆっくり。
あ、わたしですか。失礼、申し遅れました。それでは自己紹介でも。
もったいぶってすいません。
これが今回紹介したい工作だ。名前は、
LED POV(エルイーディー・ポヴ)。光を使って空中に自在に文字を書けるマシンだ。何がどうなっているのかは後ほど説明することにして、まずはどんなことができるのか、写真をあと何枚か見てもらおう。
自由自在だ。
ちょっとした光の魔術師である。光の魔術師に「ちょっとした」とか「ものすごく」とか程度があるのかどうか知らないが、そこはただの謙遜なので気にしなくていい。本心で言うと、「私こそ光の魔術師である」くらいな感じである。フェルメールを差し置いて。職業欄に書いてもいい。
で、なにそれ?
それではマシンについてくわしく説明しよう。
上の写真がマシン本体。大きさはちょうど手のひらに収まるくらいのサイズだ。
空中に字が書けるしくみとしては、光の残像を利用している。
くわしくは図を描いたので、下を見てほしい。
空中に字が書けるしくみ
原理的にはこんな感じである。忍法でいえば分身の術と同じ原理だ。(忍者が戦乱の世に暗躍したことを考えれば、このPOVはある意味、軍事技術の平和利用とも言えるかもしれない。)
と、ここまで、できるだけ冷静なトーンで解説してきたつもりだが、実は内心、興奮しっぱなしである。すでに完成してから2週間くらいたっているのだが、まったく興奮冷めやらぬ感じだ。必要もないのにどこへ行くにも肌身離さず持ち歩いて、人知れずカバンの中でピカッてさせたりしているのだ。この気持ちをなにかに例えるとしたら…そうだ、初孫だ。初孫を愛でる気持ちを1初孫とすると、このマシンもたぶん0.8初孫くらいある。かわいい。いとおしい。そして嬉しい。うはー。
このやり場のない高揚感を発散すべく、マシンを持って外へ飛び出してみた。