特集 2020年8月19日

駅前の本屋の跡地に一番多くできているのはセブンイレブン

本屋が閉店したあとに何ができたのか調べました

ここ数年、本屋の減少が止まらない。多くのものがネットで買える時代だが、特に書籍はほとんどの商品がAmazonで買えてしまうため、もはやネットで買うものという意識すら根付きつつある。

そんな時代の流れもあり本屋の減少は避けようがないものだが、やはり地元の本屋がなくなってしまうと寂しい。少し前までどこの駅前にも一軒は本屋があったものだが、今や「本屋がない町」も少なくない。

では駅前の本屋がなくなった後、そこには何が出来ているのだろう。そこに出来たものは我々の寂しさを埋めてくれているのだろうか。本屋の跡地に出来たものを調べてみた。

1992年東京生まれ。普段は商品についてくるオマケとかを考えている会社員。好きな食べ物はちくわです。最近子どもが生まれたので「人間ってすごい」と本気で感じています。(動画インタビュー)

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> 個人サイト 日和見びより

やはり強かったセブンイレブン

今回はネットの書店閉店情報とGoogleストリートビューで昔の写真が見られるタイムマシン機能を使って調査したほか、アンケートでも本屋の跡地に何が出来たのか情報を寄せていただいた。このアンケートでは「本屋が閉店したことで変わったこと」も答えてもらったため記事中で一部紹介していきたい。(ピンクの囲みで紹介)

 

早速だが、こちらが今回調べた全133店舗をマッピングした地図だ。

 

首都圏を中心に駅前(厳密に「駅の目の前」でなくても駅からほど近い店舗、駅改札内の店舗も含む)にある元本屋だった店舗をマッピングした。ジャンルごとにピンの色を変えている。

今回は「本屋ではない何が出来たのか」を調べたいので本屋のあとに別の本屋が出来た場所は含めていない。またショッピングモールなど商業施設内の本屋が閉店という場合もあるが、この場合は本屋の跡地に何が出来たのかGoogleマップ上で分からず、調べても情報に行き当らないことが多かった。

そんなわけで本記事の情報は閉店した本屋の全データを網羅したものではなく、あくまで今回情報を集められた133店舗を調べた結果であることをご了承ください。

 

さて、マッピングを見ても何が何だか分からないと思うので、詳しく結果を見ていきたい。まず133店舗における「駅前の本屋の跡地に出来たもの」の結果は以下の通りだ。

駅前の本屋の跡地に出来たもの.png

いまどこの駅前にもだいたいあるな、というジャンルが上位を占めた。

ジャンル別にみると上位にはコンビニ、ドラッグストア・薬局、飲食店が入っており、まぁだいたい予想通りの結果というところか。

数としてはコンビニとドラッグストア・薬局がそれぞれ16店舗と同数1位となっているが、次点の飲食店を含めてこの3ジャンルは調べる店舗数を増やせば順位は変わってくるだろう。

ちなみにカフェと居酒屋をそれぞれ別ジャンルとしたが、飲食店にこれらも含めると一気に23店舗となり1位になる。人間の食への欲求の高さが表れているが、今後はコロナ禍で状況が変わってくるかもしれない。

2010年まで新高島平駅そばの高架下にあったなります書店は、

となりの中華料理屋に吸収されてしまった。次の狙いはさらに隣のイタリア進出か。(※イタリアンのお店はその後別の居酒屋に変わっています)

エロ本が多く、自らに香水をふりまくおばあさんが店主の面白い本屋だったので残念ってくらいでした。(ゆこふ)

店主のおばあさん、会ってみたかった。 

 

ジャンル別では特定のどこそこだけが多いと言い切ることはできないが、さらに細かく見てみると分かることがある。

コンビニの内訳はこうだ。

コンビニ内訳.png
コンビニ3社の全店舗数ランキングと同様の順位に

約21,000店舗というコンビニ以外のチェーン店も含めて世界最大の店舗数を誇るセブンイレブンが半数を超えていて、さすがの強さだ。犬も歩けばセブンイレブンに当たる。

渋谷駅東口付近で24時間営業していた山下書店。学生時代オールをして飲み屋をはしごする途中に一旦山下書店を挟んだりしていた。 

そんな思い出の本屋も2018年に閉店し、今はセブンイレブンに。飲み屋の間に挟むにはたぶんコンビニの方が合っている。

 

一方でドラッグストア・薬局、飲食店の内訳はこうなっている。

ドラッグストア飲食店内訳.png
唯一ドラッグストアのトモズが気を吐いているがその他は全て1店舗ずつ!

コンビニとはうってかわってほぼ全て別の企業だ。飲食店はそもそも種類が多いのでまぁこうなって当然という気もするが、ドラッグストアがこんなにばらけるとは思わなかった。世はまさに大ドラッグストア時代である。

国立駅前の東西書店は2015年に閉店し、サンドラッグに。

心なしか、本を小脇に抱えた品の良さそうなおじいちゃんを見かけることが減った気がします。(多摩っこ2号)

 

東京メトロ江戸川橋駅直結の成文堂も今年3月に閉店。いまはユニバーサルドラッグに。

街の文化度が著しく下がった。 ネットでは本屋さんのセレクトや推しを垣間見る事が出来ず、本を選びにくく、ジャケ買いもできず寂しい。(ごはんがパン)

 

あと日本調剤に変わった青砥駅前の林檎堂(2012年に閉店)の装飾テントが可愛かった。 

 

こうしてコンビニとドラッグストア・薬局&飲食店の内訳を比べてみると、セブンイレブンの多さが際立つ。その他のジャンルに関してもキャンドゥ(100円ショップ)やドコモ(ケータイショップ)がトモズと同じ3店舗だったくらいで、セブンイレブンの9店舗には到底及ばない。

そもそもコンビニ業界がほぼセブンイレブン、ファミマ、ローソンの3社で構成されている寡占市場であることが要因ではあるが、この結果をみるに「駅前の本屋の跡地に一番多くできているのはセブンイレブン」と言ってしまってよいのではないだろうか。

志木駅前のあゆみブックスは2018年に閉店しセブンイレブンに。

ちなみにコンビニの向かいの宝石屋もてんやに変わっている。この区画でおかしのまちおかが生き残ったのだ。

2000年くらいにタイムスリップして本屋、宝石屋、おかしのまちおかの3店舗のうちどれが最後まで残るかクイズを出したら誰も当てられないんじゃないか。

分かったこと①

・駅前の本屋が閉店後に出来る可能性が一番高いのはセブンイレブン

・1/4くらいの確率で小さい本屋はコンビニか小さめの飲食店、大きい本屋はドラッグストアか大きめの飲食店になる

次ページからはトップ3以外の気になったジャンルを見ていきます。 

⏩ 次ページに続きます

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