分かったこと②
・本屋の跡地を眺めていると知らない町でも寂しい気持ちになる
・「カフェとして再スタート」というパターンがある
トップ3のジャンル以外についても気になった部分を見ていこう。
まずは今回5番目に多かった空き店舗。こちらは郊外や地方都市に圧倒的に多く、そのような場所を多く調べたらもっと数が増えていただろう。
地方都市では書店1店舗の閉店=町からの書店の消滅という場所も多く時代の移り変わりを感じざるを得ない。
中央の4階建てのビルが2013年まで鳥取駅前にあった今井書店。
閉店後にビルごと取り壊され今でも空き地のままのようだ。
だんだんフロアが減っていって最後はビルまで消滅してしまうの悲しすぎるだろう。せめて今後ここに別のビルを建てる時に地中から本屋の遺構が見つかってニュースになってほしい。凌雲閣みたいに。
北海道の岩見沢駅そばにあった上野書店(2006年閉店)という本屋は明確な跡地が分からなかったのだが、下記に表示している一条通りにあったそうだ。今でも空き店舗のようで、「シャッターが閉まったお店のどこかが本屋だったんだな」と思いながらストリートビューを見ていると行ったことのない町なのになんだか寂しくなってくる。
車社会でそもそも地元の人がほとんど鉄道を使わない地方都市は正直空き店舗のままという状況も仕方ないなと思う部分があるが、埼玉県の郊外都市レベルでも空き店舗状態が続いていたりする。
東武スカイツリーライン(伊勢崎線)大袋駅前の竹島書店は2016年に閉店したが、ストリートビューで確認できる範囲で最新の2019年6月時点で未だに空き店舗状態である。
駅の目の前で立地はかなり良いはずなのになぜだろう。何か理由があるのかもしれないが、大袋の未来を勝手に憂えてしまう。
さっきから知らない町に感情移入しすぎているが、寂しい出来事あるあるとも言える「本屋の閉店」が町との距離をぐっと縮めてくれているのかもしれない。
ちなみに大袋駅前には今や絶滅危惧種となったドムドムバーガーが2014年頃まで存在しておりこちらもストリートビューで確認できる。いつか大袋駅に行くことがあったら初めてきたのに「ここにドムドムバーガーがあったんだな…」と感傷に浸りたいと思う。
悲しき空き店舗事例が存在する一方で、書店閉店後に新たな道を切り開く店舗もある。多いのがカフェとして再出発するパターンだ。
神保町の絵本専門書店であるブックハウスは2017年に書店としては一旦閉店しているが、その後はカフェを併設しブックハウスカフェとして運営している。
今でも本を購入することは出来るので本屋の機能はもっているが、店内中央に飲食スペースがあり、夜はお酒も飲める「絵本バー」になるということでカフェという位置づけでカウントした。
確かにカフェは本ととても相性が良い。今や電車の中ではスマホを見ている人ばかりなので、本を読んでいる人を一番目にするのはカフェかもしれない。そこに目を付けて本屋をカフェと一緒にしてしまうというのは本屋が生き残るための一つの答えと言えるだろう。
京急線穴守稲荷駅前に2015年まであった羽田書店もカフェへと生まれ変わっている。
正真正銘の本屋だったが、カフェスペースを併設した本屋となり、その後カフェをメインとしたお店へと生まれ変わる。
こちらのお店は本屋らしさをしっかり継承しているが、いたって普通のカフェをはじめてそちらだけが残ってしまったという例もある。北浦和駅前で2010年まで営業していた洋々堂書店だ。
カフェの方が競争率が高く大変そうだが、そういうものではないのだろうか。色々と難しい部分はあるだろうが、たくさんの本と直接向き合える空間がこれ以上減らないことを願うばかりだ。
分かったこと②
・本屋の跡地を眺めていると知らない町でも寂しい気持ちになる
・「カフェとして再スタート」というパターンがある
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