特集 2024年4月18日

溶接マスクで緊張感を出す

人は分かり合えないこともある、という悲しい話をします

溶接という金属を溶かして接合する作業。作業者は、火花から顔を守る溶接マスクというものをかぶる。

あれが独特の緊張感を演出していてかっこいい。溶接マスクをかぶれば、何を見ても緊張感が出せると思った。

1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

前の記事:電車の窓から見えた気になるものをいちいち見に行く散歩


溶接マスクを買う

溶接マスク、通販で手頃な値段のものを見つけた。

これだ

値段の割にしっかりした物に見えて嬉しい。商品のレビューにも「中途半端な性能のものを買うくらいだったら、これで十分」というようなことが書いてあった。溶接をやったことはないが、説得力を感じる。 

ガラスは別で用意するらしい。今回はなくても大丈夫
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集中力が上がった

では、出そう。緊張感。

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かぶって、
ご飯を見る

顔の正面から来る音が遮られてすごく静かになった。視界も狭まり、集中力が上がる。 

こうなる。世界にご飯しかない

とんこつラーメンの一蘭の、味集中カウンターというものがあるが、あれを思い出した。感覚が対象だけに向かっていく感じ。

緊張感の中でも、スポーツ選手がゾーンに入った時のような心地いい緊張感だった。きっと溶接もうまくいくだろう。 

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外でも使ってみよう

新宿に来た
三角コーンや
替玉10円を見てドキドキした
花もほら、これくらい集中して向き合った方がいい

やっぱり緊張感が出る。今まで見るという行為を侮っていた。ただ視界に入れるだけではなく、集中して見ると心持ちが全然違う。 

しかし一緒にいた窪田さんはスーンとしている

そうこれ、マスクをかぶった本人とそれを外から見る人で見え方が全然違うのだ。

本人がいつもと違うものの見え方に目を見開いている時、外からは「何でもないものを異様に怖がる人」に見える。その様子が、怖い。相手と自分の溝を感じるから。 

「ほら、ドキドキしません?」「あー…!」かぶってもらうと伝わる
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第三者がいると分からなくなる

「物」があり、それを「溶接マスクで見る自分」がいる。見え方が変わりドキドキする。

しかしそこに「その様子を見る人」が加わると、ドキドキがどこかに行ってしまう。悲しい三角関係。

例えばこちら。自販機でお茶を買う
一つ一つの作業が丁寧になる。買ったお茶を取り出すところなんかは本当に緊張した
出てきた!
お茶だ!
「…良かった〜……」

「あっぶね〜…」という顔で窪田さんに同意を求めたら、またスーンとした顔で僕を見ていた。噛み合わない、顔が。

あれ、と思い手元を見ると麦茶がある。もちろん全く危なくない。確かにそこにあった緊張感が、砂みたいに一瞬で崩れて何も分からなくなる。

世界が僕と麦茶だけなら良かったのに。でもそれではダメなことも分かっている。人はつながりの中で生きていくものだから。 

⏩ 分かり合えないことが分かったが、始めちゃったので続けます

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