特集 2026年5月14日

天気予報入門~気象予報士増田さんに聞く

ネットで天気予報を発表しているのは増田さん・小林さんが所属するウェザーマップのほか、ウェザーニューズ、気象協会(気象庁と違う)、など複数の会社がある。民間気象会社と呼ばれる会社である。もちろん気象庁もある。

それってどういうこと?それぞれの会社はどうやって天気予報を作っているの?

基本的なところをあらためて聞きました。(ここの文章とまとめ・林雄司)
 

1977年滋賀生まれ。お天気キャスター。的中率、夢の9割をめざす気象予報士です。 好きな言葉は「予報当たりましたね」。株式会社ウェザーマップ所属。
ツイッターでも気象情報やってます。(動画インタビュー)

前の記事:天気予報には『日替わり予報容認派』と『日替わり予報慎重派』がある~気象予報士増田さんに聞く

> 個人サイト >ウェザーマップ・増田雅昭 >ツイッター @MasudaMasaaki >ライターwiki

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林:
前回、民間気象会社の話をしましたが、そもそもこの単語が一般的ではないかもしれないと思いまして。ウェザーニュースのアプリを見せられて、ウェザーマップ使ってるよって言われたこともあります。
増田さんからの豆知識)会社名はウェザーニューズでサービス名はウエザーニュース

増田:
よく間違い電話来ますもんね。

林:
今回は改めて天気予報って何かっていうところを整理できれば。

気象庁で観測してから天気予報になるまで

林:
まず最初は気象庁の観測ですよね。

増田:
そうですね。オフィシャルとしての観測で、しかも日本の観測だけじゃだめなので、世界中の観測データが必要なわけです。世界で共有すると世界気象機関というところで決まっていて。世界平和の証。それで世界中の観測データが日本の気象庁に集まります。
それを元に気象庁のスパコンでばーっと計算をして、今の状態、そして1時間後、2時間後、ずっと先の状態っていうのを計算してってくれる

林:
気象庁の計算ってどんなのですか?

増田:
気象の数値予報モデルというのがあってですね、地球上をこういう風に網の目にして、そこの格子の点ごとに計算をしていくわけですけれども、地表だけじゃなくて何層にもなっている

投影されているホームページは 気象庁ホームページ「​​​数値予報とは」

西村:
ブロックじゃなくて線が交わってるところ

増田:
格子点ごとに値を計算していくということになります。

林:
そこは何が出るんですか。

増田:
今は一番細かいものだと1キロの細かい網の目になっていて、たくさんの要素ですね。気圧、気温、湿度、風向、風速など。

林:
それ、1キロ単位だとうちの上とかかもしれないですね!

増田:
そんなデータです。例えば東京の一地点の1時間後、気温がこう変わる、気圧がこう変わっていくとかを出すのって一地点でも大変だと思うんですけれども、それを世界中無数にあるのを一瞬で計算して全部連動させなきゃいけないので。

林:
大変だぞ。予想の時間の間隔はどれぐらいなんですか

増田:
主に1時間ごと

林:
じゃあ、その計算を1時間以内に終わらせないといけない

入門だから簡単な話になると思ったら!の表情

増田:
そうなんです。これがスパコンが天気に必要な理由で、明日の予報を1ヶ月かけて計算したら全く使い物にならないですね。なので、高速で計算をしなきゃいけないという宿命があるんですよ。
より詳しく予報しようと思ったら、網の目をできるだけ細かくする、つまり計算量を膨大にしていかなきゃいけない。そのためには高速で計算してもらうスパコンが必要っていう

西村:
いいですか?質問。その点ごとの計算するための元のデータはこの精度では集めてないですよね?

増田:
はい、そうなんです。なのでまず、このスパコンが出した予測というのがあって、例えば3時間後にしましょうか。3時間後として出した予測があります。その3時間後が来た時に、そこに観測データを入れて、補正をするわけですね。ここ、ずれてるぞっていう。

西村:
ほうほうほう。なるほど。はい。

増田:
観測データで補正して、もう1回、今の地球っぽくして、もう1回計算し直して、みたいのを繰り返す

林:
元からシミュレーションの地球を持っていて、それをいつもちょっとずつ修正している

増田:
はい、そうです、そうやって観測データが使われるんですね。

林:
持ってるんだ、地球。これがまず気象庁発表の天気予報ってことになるんですね。

いったん広告です

小林:
スパコンと予報官のあいだに「ガイダンス」があります。スパコンでは天気予報そのものは出ないので。

林:
ガイダンス?

増田:
スパコンのデータというのは、さっきの格子上の基礎データ、気温だったり気圧だったりとか、でもみんな知りたいような今日の最高気温とかどんな天気かとかじゃない。

小林:
それに変換するための翻訳みたいなのがガイダンス

増田:
そのあとに気象庁の予報官がいます。スパコンの出してきた計算をそのまま皆さんにということはないんですね。予報官は予報をチェックをして、必要に応じて修正、手を加えて、最終的な気象庁の予報として完成させるわけですね。

ここまでの話を林が図にしました

林:
天気予報ができた。それは気象庁のサイトで見られるものですね。

増田:
5時発表の気象庁の予報ですよと確定をして、それで表に出す、と。
気象庁の予報は気象庁のホームページでも見られますし、サイトによっては気象庁の予報をそのまま出してるところもありますよね。気象庁の予報はテレビにもそのまま出してる局もありますので

林:
気象庁の予報は国民は自由に使っていいんですね。

増田:
はい。世界的にも30~40年ぐらい前かな、国の気象機関が予報を販売する国とかも出始めてきたりして、どうするんだって議論があったんです。日本の場合はベーシックな天気予報は気象庁が出しましょうということになった。

民間気象会社はどうやって天気予報を作っている

林:
気象庁のとこまではわかりました。民間の気象会社はさっきの数値、予報データがもらえるんですか。
注)あらためて民間気象会社とは、気象庁の許可を受けて独自の天気予報を作っている会社 のこと。サイトでいえば、ウェザーニュースtenki.jpウェザーマップ天気予報が民間気象会社。

増田:
購入、というか費用負担という形になっています。
観測データは国民みんなのものではあるんですが、それを受け取る必要経費の費用負担をしている。

林:
その費用負担をして

増田:
気象庁のデータを送ってもらってます

林:
我々はその数値データは見られないんですね

小林:
気象業務支援センターというところに申し込めば可能です

林:
いくらなんだろう

小林:
いろいろ細かく決まっていて、ひとつひとつに負担金が全部載ってるんですよ、サイトに。初回5万円とか。
https://www.jmbsc.or.jp/jp/online/c-onlineF.html

林:
そのデータに民間気象会社が独自のデータを加えるわけですね

増田:
そのまま出したら気象庁とほとんど一緒になるので、ここで独自のデータを加えるところは加えて。これは気象会社によりますから、気象庁が持ってない観測データなどを加えているところもある。

林:
ちなみにウェザーマップで何を加えてるかは言えますか?

増田:
これは申し訳ない。言えないですね。小林さん、加えてるって言えるデータはないですよね。

小林:
表に出してるのはないです

増田:
例えばウエザーニューズだったら、こんな観測データを加えてますと言ってますが、うちは表に出しているのはないです。

林:
民間気象会社はそういうデータを加えて、独自に計算するんですね。

増田:
もしかしたら加えてないかもしれないし、気象会社によって違うから、ちょっと他の会社さんのことはわからないです。でもいずれにしてもやってるのは独自の計算。そのガイダンスはそれぞれ各社で持っていまして、そこで差が出るわけですね。

林:
再計算大変じゃないですか。スパコンが計算するぐらいのデータ量を。

増田:
膨大ですよね。当然最先端のスパコンなんかを持ってるわけではないので、それぞれのできる範囲での計算の仕方っていうことにはなってるんでしょうね。もしかしたら、こんな単純化した式の計算なんだっていう会社もあれば、こんな複雑な計算してんの?とかもあると思います。お互いなにをしているのかは分からない。

林:
そこで民間気象会社が出す予報データが会社によって違ってくるんですね。

増田:
気象庁と同じく、そのままはいどうぞというわけではなくて、気象予報士が確認をして、チェックをして、必要に応じて修正をして確定をさせて表に出している。

林:
気象庁の予報官に相当する人が民間の気象予報士

増田:
そうです、はい。で、これが気象予報士制度のできたきっかけで、気象予報士の法律上の役割というのはそれになっていて、気象会社、民間の気象会社が表に予報を出そうと思ったら、その気象予報士というのを置かなくてはいけない。
つまり、気象予報士が責任を持って最終的にチェックする。

林:
税理士とか、危険物取扱責任者みたいな。ある程度まかせるけどそういうのを置かないとダメだぞと。

林:
各社のガイダンスは各社のノウハウですね。

小林:
そうですね、過去の予報のデータと付き合わせたり。

増田:
過去のものを参考にしてみんな調整をしてます

林:
自分とこのガイダンスとデータに自信がなかったら、そのまま出した方がいいっていう判断もできそうですね。出来合いのスープ買ってきたら下手に塩とか入れないほうがいい

小林:
わかりやすい。

増田:
昔はコンピューターもひどいなって時代があったので。その場合は気象庁であったり、気象会社で人がいっぱい修正をしなきゃいけない時代もありました。
でも、だんだん気象庁は、このガイダンスが出してきたものをなるべくいじらないように、必要最小限にして出しましょうという風な流れになっています。
それだけ精度も上がってきてるし。で、人が手を加えてると当番で変わっていくから、コロコロと予報が変わっちゃったりもするので、なるべくいじらないようにして出そうという方針であるようです。

民間気象会社の天気予報の流れ

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