
増田さんは日付を覚えている
林:
いつも天気の話を聞いていると、増田さんってするっと数字が出てきますね。たとえば日本最高気温は
増田:
41.1℃です
林:
もう言わせるなよ、みたいな感じですけど
増田:
2018年7月23日に熊谷で1回出て、そのあと2020年の8月17日 浜松ですよね。
2007年に74年ぶりに日本の最高気温(40.9℃)を更新したのが熊谷と多治見で、それが2007年8月16日。お盆にこんな気温が出るんだと思って、8月16日はよく覚えてるんですけれども、それプラス1日が浜松の覚え方というか、記憶。

林:
お盆はそれほど気温があがらないんですよね。以前聞きました
増田:
お盆の記憶は2004年があるんです。
その年は当時としてはすごい猛暑で、7月20日に東京の150年続く観測で今も記録の最高気温39.5℃が出るほど暑い夏だったんですね。東京だけじゃなくて、全国的に。
でも、お盆になるとストーンと気温が下がった。これだけ猛暑でも、やっぱりお盆ぐらいになってくると暑さが落ち着くんだなっていう印象になって。
林:
お盆になれば涼しくなるというイメージができた
増田:
それが打ち破られたってのが2007年ですよね。今から思うと、たった3年後なんだ。
林:
日付を暗記するのではなく、お盆は気温が上がらないイメージが覆された日
増田:
数字を覚えるというよりも、印象として残ってるっていう感じですね。
2004年7月20日、東京で最高気温が出た時は、僕は車を運転してるイメージが残ってて、カーエアコンが壊れたって思ったんですよ。マックスにしてるのになんでこんなに暑いのか思ったら、壊れてなくてそれだけ暑かった。その記憶とセットになってる。
林:
外に出たときの記憶って大事ですね。そういえば増田さんの朝の天気も外からですし。
(注:増田さんはTBS系列のTHE TIME,で朝5時台から外で天気予報を担当しています)
増田:
体感が重要な情報になるので、例えば着てるものとか、すごく寒そうにしてるとかそういう見た目の情報で伝わるっていうのはあるでしょうね。
林:
すごい寒さに強い人じゃだめですね。毎回薄着だったりとか
増田:
僕もときどき言われますよ。どっちかというと暑がりなほうなので、「暑いですね」と言って、いやいや寒いよって寒がりさんからは言われたりするので、周りにいる人に聞いて調整はしてます。
林:
寒いほうだと記憶に残ってる日ありますか?
増田:
2014年の2週連続の大雪というのは、なんか覆されたというか。
仕事を始めたのは1999年からで、だんだん雪が降らなくなってってるタイミングだったんですね。東京って雪が降らなくなってきたって思ってる中で、2014年、まさか東京で20cmというか30cm近い雪が積もる日が来るとは思ってもなかった。
(2014年2月8日、15日ともに東京の積雪27cm )
2000年代は積雪、東京都心で10cmを1回も超えてないんですよね。
もう10cmを超えるような時代は来ないんだと思ってたのに、さらに2018年1月にもまた23cmっていうのが。
林:
やっぱ覚えてますね
西村:
数値が出るのはすごいっすね
林:
センター試験って雪が降るイメージがあるけどそれほど降ってないんですか
増田:
ちょいちょいは降ってるんです。東京で大雪警報とかそういうレベルになると、センター試験は2006年の1月20日かな。土曜日、1日目で9cm積もってるんですね。(調べる)惜しい、21日でした。ごめんなさい。
過去のデータがあるとアクセルを踏みやすくなる
林:
過去のデータがあるほど予報はしやすくなりますか
増田:
アクセルを踏みやすくなりますね。
林:
アクセル?
増田:
コンピューターの計算が本当かどうかってときに、あのときよりももっとひどい現象だぞと分かればアクセルを踏みやすく、強く言えます。
逆もしかりで、あのときほど鮮明にデータに出てないから、言いすぎるとやばいぞってこともあります。ブンブン腕回して、予報の大外しをやっちゃったときと同じだから自重しようとか。
林:
森田さんは経験があるから強いわけですね
(注:ウェザーマップ創業者 森田正光さん。お天気キャスターのはしり)
増田:
そうでしょうね。ベテランの人を見てるとここで強く言うんだ!って思う時がありますね。
ただ、何十年ぶりの現象や観測史上初の~を伝えるとき、あのときの別の地方のほうがひどかったとかって記憶があるからブレーキをかけてしまうって面は、ある意味デメリットかもしれないですね。その点では知らないほうがアクセルを踏めるかもしれません。
林:
他の気象予報士はどうですか
小林:
すごく覚えてる方とそこまで覚えてない方がいますね
増田:
すごく覚えてるかたと会話してて。覚えてないことを言われると悔しい~ってなります。
小林:
覚えている合戦をしている
林:
覚えてない人もいるんですか?
小林:
そうですね、調べればいい派でしょうか
林:
若い世代だ
ウェザーマップ天気予報の見かた
林:
3月10日の週の予報は雨が多いですね
小林:
マウスを合わせるとその日の6時間ごとの天気が上の方に出てるんですよ。
ウェザーマップ天気予報の画面。細かい情報がたくさんある
・日付にマウスカーソルを合わせると6時間ごとの天気が出る
・気温にマウスカーソルを合わせると最高気温・最低気温の幅が出る
・降水確率の横のA~Eは信頼度
・黒い雲は雨が降る雲、白い雲は降らない雲
ウェザーマップ天気予報はこちらから
増田:
なんだこれ。便利ですね
林:
信頼度もあるし、雲の色の意味もあるし
西村:
降水確率70%が信頼度Aっていうのは?
小林:
雨が降るかどうかの信頼度。雨は降るよっていうことです。
2月のクイズの答え
答え:占冠 -23.7℃(2/20,22)
近かったみなさま(敬称略)
🥇ぷりんぐみん -24.5 陸別(0.8℃差)
先日の大寒波が寒さの底かなと思っていたけれど、バレンタインあたりに最後の寒波が来そうな予感。
それでも12月の最低気温は下回らなさそう。
🥈メロポン -24.6℃ 北海道内陸のどこか(0.9℃差)
来週にまた寒波がくるみたいですね。でもこの冬一番の冷え込みではないと考えました。本音は早く暖かい日が来てほしいです。
増田:
ってことは、結局この冬は12月がいちばん寒かったってことですね……
(注:今シーズンの最低気温は12月22日・幌加内の-26.1℃。最低気温は1~2月に出ることが多いので今冬は珍しい)
林:
物足りないですか
増田:
……ね。だから、あれでしたね、全国的に寒かったですけど、本州のほうで寒かったっていうのはあるのかもしれないですね。
林:
本州が寒くてこりゃ大変だと思ったけど、北海道はそんなでもなかった。
西村:
雪はめちゃくちゃ降ってますよね。
増田:
帯広で記録的な雪がありましたが、帯広とか太平洋側で雪が多くなるのは、春先に近づいてきたタイミングで降ることが多いんですよ。寒すぎないからこそ、ああいうことが起こったったとも言えますよね。
林:
大雪が降ったってのは、寒くなかったから
増田:
北海道にしてみれば、あの時は寒くなくて、だから低気圧がやってこられた。
この低気圧によってドカッと降ったということですね。

気象庁ホームページより
増田:
この図が降雪量です

気象庁ホームページより
増田:
水色のところが平年よりも降雪量が多いところなんですけど、北海道の日本海にぽつんぽつんとあるけど、全体的にはそこまで多くない。
本州の日本海側がこれだけ平年よりも多いということは、やっぱり本州に向かって次々と寒気がやってきて、日本海側に雪が降りましたよっていうことです。
西村:
雪の印象に引っぱられましたね
林:
今回いちばん近いのは、ぷりんぐみんさんが0.8℃差。そしてメロポンさんが0.9℃差
「それでも12月の最低気温は下回らなさそう。」と書いているぷりんぐみんさんすごいな。
増田:
いろんな理由があって楽しいですね。ヤマカンですという方もいらっしゃれば、複数の数値予報モデルによるとというかたも。生成AIに聞いている人も。
みなさんの予想方法(敬称略)
Bernie -27.6℃ 富良野
複数の数値予報モデルによると、2/14,15頃に北海道に500hPa -42℃以下の非常に強い寒気が予想されており、今シーズン一番の冷え込みになると思われる。
おだてられたら木にのぼるブタ -22.4℃ 北海道旭川付近
天気予報をずらっと見てそれくらいかなと。(ヤマカンです)
蜂目 -29.5℃ 陸別町近辺
生成AIにいろいろ聞いた結果と、勘を合わせました!
林:
生成AIは気象情報のデータ持ってなさそうですよ
増田:
知ってても、あの時の匂い知らないでしょ。とか、あのときカーエアコン効いてないと思うぐらいだったんだよ、とか言いたい
3月の問題
林:
3月は桜の開花予想にしましょう
増田:
去年の回答で法則を見つけている人がいましたよね。次は長崎本命じゃないかと話した記憶が。
2017年以降、東京→中四国→九州→東京→中四国→九州→東京と動いているので次は中四国。日付は、前年比6日か3日ということが最近続いているので、昨年の14日に6日足して20日。(pukuさん)
「2024年の桜の開花予想は大荒れでした」より
結果は高知・3月20日で当たり
増田:
これだ。2024年は高知だったので中四国でした。となると2025年は九州だ。
小林:
いまのいちばん早いのが宮崎・鹿児島の予想です
林:
前日比3日か6日ということが最近続いてるんで、とあります。
西村:
去年、高知が3月20日……
増田:
ってことは、仮にそれよりも3日早いとしたら、3月17日
林:
3日遅いと23日
小林:
宮崎・鹿児島は今20日で予想しております
増田:
面白いですね。ほんとにそうなったら
林:
今年は去年みたいに遅れるのはなさそうですね。これだけ寒かったから。ただ、2月寒すぎたのは大丈夫ですか。
注:2024年は暖冬だったため桜の休眠打破(冬の寒さで植物が目を覚まして開花に向けて活動し始めること)が十分ではなかった
増田:
来週ね、ちょっと気温がまた上がってくれると思います。
僕も去年、怪しいなと思ったのは、2月の下旬の気温が結構低かったんですよね。
(増田さんは2月下旬の気温が低いと桜の開花が遅れるという相関を見つけていた)
今年も2月の下旬が結構寒いですよね。やっぱ遅れるかもな、今年も。ただ、そのあと、2月の最後の最後にボーンって上がったのでどっちだろうって思ってます。

・冬の寒さは十分だった(桜の生長は問題なさそう)
・ただ、2月下旬が寒かった(開花が遅れる可能性)
・2月の最後に暖かくなっている(やっぱり遅れない可能性)
・2017年以降東京→中四国→九州→東京→のパターンは続いている
ではみなさんの予想をお待ちしています。