特集 2023年3月20日

わたしの八宝菜

「八宝菜」という料理名には「8つの宝」という言葉が入っています。

けれどもその8つの宝を、自分で決めたことはありますか? しかも真剣に。今まで、人に決められてばかりじゃなかったですか?

もちろん僕もそう。だからこそ今日は、「わたしの八宝菜」を作ってみようと思うんです。

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

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本当にあなたの八宝菜?

中華の定番に「八宝菜」という料理がありますね。肉、海鮮、野菜などの食材を炒めて最後に軽く煮込み、とろみをつけた。ごはんにのっけると「中華丼」になる。

あれ、すごく美味しいと思うんです。もう、なんの文句もつけようがないくらいに完成されてると思うんです。どこの店で食べたって、「うわ、ここの八宝菜、まず……」とはなりようがない。

けれどもふと思ったんです。八宝菜って、けっこうたいそうな名前じゃないですか? だって、「8つの宝」ですよ? まぁ、ニュアンスとしては「五目」とかと同様、「たくさんの」くらいの意味らしいんですが、それにしたって「宝」ですからねぇ。

おっと、で、なにが言いたいかというと、我々が八宝菜を注文して食べるとき、その8つのお宝の内容は、つねにお店側にゆだねられていますよね。これって本当に、わたしの、そしてあなたの、八宝菜ですかね? だってさ、八宝菜に緑要素として入っていがちなブロッコリー。はっきり言って同カテゴリーの野菜なら僕、圧倒的にカリフラワーのほうが好きなんですもん。

というわけで一度、徹底的に純度の高い、自分だけの八宝菜を作ってみたいな。そう思ったわけです。

ただし、そう思った時点でもう予測がついてしまったのが、「白くなる」問題。

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白くなる問題とはなにか

たとえばおでん。僕の好きなおでんだねベスト3、「ちくわぶ」「豆腐」「じゃがいも」なんですね。おでん屋さんなんかに行って、なんにも考えずにまずその3種を頼むと、お皿の上が真っ白になる。もともと白い系の食材が好きだからか、この、好物を頼んだり作ったりすると全体的に白くなりがちという問題とは、常に隣り合わせにいます。

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家でおでんを作ってもこんなんなりがち

そんな話を担当編集の古賀さんとしていたら、古賀さんからこんなひと言が。

「わかります! 我が家は鍋が白くなりがちで」

あー! 鍋! わかりすぎる。

今年の冬、5歳の娘が、刻んだえのきをたっぷりと混ぜた鶏だんご(えのき入りとは知らせてないけど)を気に入ってくれて、絶対体にいいだろうと、それがメインの鍋をよく作ったんです。古賀さんに言われて気づき、スマホで記録用に撮っていた夕食の写真を見返してみると、ま〜これが白い。

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白い
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白い!
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白い〜!!!!!

言い訳があるとすれば、さすがに最後の画像は、この鍋に豚肉やレタスをしゃぶしゃぶ風に追加する前のものだった気はするのですが、とにかく全体的に白いことは間違いない。

おでん同様、好きな鍋の具材が、豆腐、ねぎ、白菜、豚肉、鶏肉、豆腐、マロニーなどなど、白いもんばっかりなのでそうなりがちなんですよね。

こうなったらもう開き直って、「料理には赤、緑、黄色の食材が入っていると美味しそうに見える」みたいな定石はいったん無視し、どれだけ白くなったっていいから、自分だけの8つの宝を集めた八宝菜を作ってやろう! と。いうのが、今回の記事の主旨となっております。

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わたしの八宝菜、作ります

一般的に八宝菜といえば、豚肉、海老やいかなどの魚介類、キャベツ、白菜、ピーマン、にんじん、もやし、さやえんどう、ブロッコリー、たけのこなどの野菜類、しいたけ、きくらげ、ふくろたけなどのきのこ類、かまぼこやなるとなどの練りもの類、うずらの玉子、などの具材で構成されることが多いですよね。

そこでまず、基本となる構成を整理しておきましょう。

・肉
・魚介類
・野菜1
・野菜2
・野菜3
・きのこ
・練りもの
・うずらの玉子

はい、こんな感じがバランス良さそう。「うずらの玉子は決まってんのかい!」という声も聞こえてきそうですが、個人的に絶対に外せないというか、あれこそが八宝菜のなかでもとりわけお宝だと思っているので。

それではこの8種類の食材、いや「宝」を、それぞれ埋めてゆきましょうか。

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【宝その1】豚ばら肉

言わずと知れた、いや、別に知れてはいないか、とにかく、僕がすべての肉のなかでいちばん好きな肉。マスト中のマストです。

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【宝その2】長ねぎ

これまた、野菜のなかでは1、2を争うくらいに好きですね。長ねぎ。

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【宝その3】白菜

八宝菜や野菜炒めには、入っているとキャベツよりもだんぜんテンションが上がるのが、個人的には白菜。炒めたときのとろしゃき感と甘さがいいんですよね〜。

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【宝その4】カリフラワー

記事前半でも言いましたが、まじで好きなんですよ。カリフラワー。特に油との相性が良すぎて。

写真は、最近知って以来特にハマっている、スティック上のカリフラワー「カリフローレ」というもの。ザクザクの花蕾に加え、シャキッとした茎の食感が同時に味わえるお得感があり、オリーブオイルと塩でさっと炒めるだけで、酒のつまみに最高です。

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投入
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【宝その5】ちくわぶ

そもそも原材料が違いますが、練りもののなかで僕がダントツいちばん好きなのが、ちくわぶ。おでんのくだりでも言いましたもんね。薄めにスライスし、別鍋で軽くゆでてから投入。

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【宝その6】はなびらたけ

すいません。ここだけ懺悔させてください……。

個人的に、八宝菜に入ってて嬉しいきのこ枠って、だんぜんきくらげなんです。なので当然、きくらげは入れたかった。けれども、ちょっと下心が働いてしまったんですよね。

「全体の仕上がりがより白いほうが、記事としておもしろいんじゃないか」という……。

そこで思いついたのが「白きくらげ」。ところが、今回僕が食材を買いに巡ったスーパーでは見つけられなかったんです。で、見つけたのがこの真っ白なきのこ。「ホホホタケ」こと、静岡県産のはなびらたけ。パッケージには「食卓を咲かせる幻のキノコ」とあり、それはそれで気になるじゃないですか。「幻」というワードにもお宝感があるし。

というわけで、どんなもんか食べてみたいお宝として、今回はこちらを採用しました。

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投入
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【宝その7】いか

いかへの思い入れが年々強まっています。30代の後半くらいから妙にいかを好きになりはじめ、年々それがエスカレートしています。僕のなかのお宝度で言えば、海老よりも断然、いか!

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【宝その8】うずらの玉子

以上、マイお宝8種類すべてをフライパンに投入完了。しっかりと炒めたら水と鶏ガラベースの中華調味料を加えて煮込み、

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ぐつぐつ

最後に水溶き片栗粉でとろみを加えれば、

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完成!

⏩ 次ページに続きます

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