臭豆腐、揚げれば臭くない
どれほど臭いか怖かった臭豆腐だったが、食べてみたら揚げ出し豆腐に少しアクセントのある風味でおいしかった。食べてみないとわからないものが世の中にありますね。
中国、台湾、香港には「臭豆腐」という食べ物があるらしい。いいのか、食べものに「臭」が入っていて。食べたことがないのでぜひとも食べて、どのくらい臭いのかを確かめてみたい。食べられるお店を探したら東急東横線の元住吉駅にあった。
※この記事はデイリーポータルZの運営元であるイッツコムのサービスエリア、東急沿線の魅力を紹介する記事です。
実は今回伺うお店は以前、臨時休業でやっていなかったお店である。(この記事)
今回は電話をしてやっていることを確認したので安心である。電話で確認したとき「明日からイベントでお休みです」と言われていたので危なかった。
今回、私が臭豆腐を食べたことがなく、名前に「臭」が入っていて怖いので、気持ちの準備をしておきたい。お店に行く前に食べたことのある人に情報を聞いてから行こう。
中国へ何度も行っており、臭豆腐を食べたこともあるらしい。どんな食べ物なのか聞いてイメージしておきたい。どんな色の食べ物ですか?
「茶色かったり、黒かったり。ベージュが少し黒を足した感じです。リラックマっぽい感じの色でした。」
お店によって違うらしいが、「臭」がついているのになんだかファンシーである。かわいい。
そして、気になる味である。どんな味なのだろうか。
「豆腐だな~と思いました」
臭豆腐って言うぐらいだもんな。豆腐か。
お店で売られている様子も教えてくれた。
「色々な料理が売られている屋台がずらりと並んでいるなかで、めちゃくちゃ臭いです。そのにおいで臭豆腐があることに気づきました。
売られているのは臭豆腐を揚げたものなのですが、その揚げているときの香りがとにかく臭くて、簡単に言うとドブみたいなにおいです。初めて食べたときは、こんな臭いものを食べきることができるのかという不安がありました。」
怖くなってしまったが、強い気持ちを持って食べに行こう。元住吉駅にある「台湾小吃 美」というお店に向かった。
こちらのお店、台湾出身の美さんが営んでおり、臭豆腐はもちろんのこと、本場の台湾料理をいただくことができる。
最近、台湾料理がブームで各地のお店で食べられるようになってきた。だが、ここのお店の料理、全部ひと味違う。もう全ておいしい。
酸味がきいていたり、香草がきいたりと日本ではあまりみかけない、食べたことのない味がする。きっとこれがきっと本場の味なのだろう。
タンピンは薄く焼いた生地にたまごを乗せて、ねぎ、豚肉を巻いた台湾式のクレープである。具材はお店によって違ったりするそうだ。モチモチしておいしい。
そんな台湾グルメを満喫していると、お待ちかねの臭豆腐がやってきた。
こちらが臭豆腐である。なんだ。普通の見た目じゃないか。もっと見たことのない毒々しい色をしていると思ったが、おいしそうな色である。茶色の食べ物ってだいたいおいしい。
かなり薄いが臭い。3キロぐらいにある牛舎のにおいがする。遠くに牛がいる。
不思議な味である。食感は揚げ出し豆腐のように外がカリッと中がフワフワである。そして、問題なのが味だ。
豆腐には味がなく、かかっているタレが酸っぱい味付けである。「おいしい」か「まずい」か聞かれたらおいしいと答えるだろう。ただ、すごくおいしいかは100人ぐらいに聞いてから結論を出したい。食べている間、ずっとおいしいかどうか悩んでいた。こんなに悩む食べ物はない。
そして、気になっていたにおいだが全然臭くない。
ネッシーさんにも食べてもらう。感想は「おいしいか、まずいかと聞かれたらおいしいです。でも、腐っているにおいが遠くからします、ゴミ収集車が通り過ぎた味がしますね」
お店で食べる臭豆腐の他に、実は中国の食品などを扱っているお店ではビンに詰められて販売されている。
「臭豆腐のせいで異臭騒ぎになり電車が止まった」という話があるくらい臭いようだがおおげさなんだから。
きっと実はそこまでじゃないだろうと思って、ビンを開けてかいでみる。
発酵しており、開けた瞬間、「プシュ」と音がなる。そこから臭さの大群が押し寄せてくる。目には刺激臭がしみて、鼻が取れそうになるほどの臭さが奥の方にずっと残る。家にドブが流れ込んできたのかと思うぐらい臭い。とんでもないものを買ってきてしまった。
みんな大好きぼくらのウィキペディアによると「植物の汁と石灰等を混合し、納豆菌と酪酸菌によって発酵させた漬け汁に豆腐を一晩程度つけ込む」のが基本的な作り方らしい。
最初、間違えて買ってしまったのがこちらの「腐乳」である。だって、名前が似ているじゃないか。
豆腐に麹をつけ、塩水中で発酵させた食べ物で、お酒のあてや調味料としても使われるそうだ。
これらを見つめて台湾に思いをはせるのもいいが、これでお店で食べた臭豆腐を作ってみよう。
ネットで見かけた簡単なレシピを見て作ってみる。
臭豆腐を作るには木綿豆腐がいい。豆腐を買おうとスーパーに行ったら麻婆豆腐を食べたい気持ちになったが我慢して木綿豆腐を買った。絹豆腐と間違えたら買い直してください。今、冷や奴を食べたい。
ここがポイントかもしれない。この作業をすることで、揚げたときのにおいが少しおさえられる。
臭豆腐を作った液につける。漬けている写真を撮ったが、毒々しい色になってしまい、「ドブを載せるな!」とはてブが荒れそうなのでやめた。インターネットにドブを載せてはダメだ。きれいなドブならいいと思います。
20℃~30℃ぐらいの日かげの場所に1~2時間放置しておく。その間も臭豆腐のにおいが部屋の中に漂う。昼寝をしたらトイレにいる夢を見た。
揚げ物のにおいって「お腹が空いてくる」、「おかずにしてご飯を食べられそう」というイメージだった。
今、そのイメージが崩れた。どこにいてもアンモニア臭が部屋中を漂う。揚げ物をしているが、家を飛び出してスイスの空気を吸いに行きたい。部屋中の窓を開けたらセミの声が聞こえた。
漬けすぎたのか、しょっぱいがビールが進む味である。漬ける時間は10分ぐらいでもいいかもしれない。
見た目は先ほどと変わらない。そして、驚いたのがにおいである。先ほどまでの臭いがしないのだ。むしろ、部屋の方が臭いぐらいである。部屋に戻りたくない。
家で臭くて食べられない臭豆腐がありましたらぜひともお試し下さい。
どれほど臭いか怖かった臭豆腐だったが、食べてみたら揚げ出し豆腐に少しアクセントのある風味でおいしかった。食べてみないとわからないものが世の中にありますね。
記事に登場した臭豆腐です
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