鮎やなを見に行こう
やな漁は全国的に行われているが、これから向かう延岡のものは市街地の近くに設置されることがウリのひとつらしい。賃貸物件みたいなセールスポイントでおもしろい。
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鮎やな、間近で見てみると中々の迫力である。川幅が130mというなかで梁の全長は100mもあるらしい。主に竹や丸太で組み上げられていていかにも伝統的な感じがする。
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ここでは川の流れに誘導された鮎が集められる「落テ簀(おてす)」を見学することができる。川の上に架けられた桟橋を歩いて、おてすの近くまで行けるのだ。
このように鮎が捕れるところを見られるほか、すぐそばの食事処で鮎が食べられるのが鮎やなの魅力である。
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ところで生きている鮎って見たことありますか。僕はありません。見てみたいですよね。
そういうわけで、ビッチビチに跳ねる元気な鮎を見るために現場に張り込んでみることにした。
とりあえず鮎を食べる
鮎やなの仕組みを聞いたとき、その合理性に感心するとともに、がっぽがっぽと鮎が大量にとれている絵が頭に浮かんで楽しい気分になった。
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しかし、現場のスノコには生き物がいる気配がまったくない。
一度とらえられた鮎は逃げ出せない仕組みになっているのに、いない。採取の頻度が高いのだろうか。不安になってきた。
ここは一旦撤退して食事処で鮎を食べよう。
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鮎の塩焼きと刺身を食べた。塩焼きはたまごがお腹にいっぱい入っていて美味しい。
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それはそれとして、鮎を見てみたい。
川の近くを歩いていると水面に跳ねる魚のような物体が目に入った。希望はあるぞ!
鮎を待ち続ける、という実績を解除
現場に戻っても鮎はいなかった。現在午後一時半。
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お昼過ぎに来たのがわるかったのだろうか。それとも忙しいのかな。
観光協会に電話で聞いてみると、特にどの時間帯がかかりやすいということはないらしい。
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それから1時間待った。
立ちっぱなしで川を眺め続けている。相変わらず鮎は寄ってこない。
他の観光客たちはどれだけ長くても5分くらいで見学を切り上げて立ち去っていく。もしかすると僕は鮎やなの楽しみ方を間違っているのかもしれない。
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たまに小さな魚が水面を跳ねて波紋が生じる。それは娯楽たり得ない。射倖心を煽らない。
本当に何も起きずにただ時間だけが過ぎていく。高2の夏休みのように。
のべで2時間半経ったころ、宮崎市内から来たという男性から声をかけられた。
「見つかりますか?」
いないんですよ。ずーっと待ってるんですけど。
「さっき食事処で聞いたんですが、ここであんまり獲れないときは、鮎は仕入れてるって話でしたよ」
はあ。
「見たい人もいるんだから、愛想で何匹か放しといてくれたらいいのにねえ」
……。
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そうか、鮎、あんまりとれないのか。そういうもんなのか。
ここまできたら引くに引けないので、見学場が閉まるまであと1時間粘ってみることにした。
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待ち人来ず、音信なし。
合計で3時間半待ってみたけど鮎はこなかった。
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もたれかかる場所もなく3時間半も棒立ちすることなんてそうそうない。撮影用のカメラが1.5kgちかい重量だったこともあり、全身の筋肉が悲鳴を上げている。
鮎待って筋肉痛。芸人のライブタイトルみたいだ。
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なお、僕が見たかった鮎は次のような姿である。
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これが落テ簀にいっぱいいるのだ。
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こんな鮎が見たかったなあ。