名付ける必要もない
よく見るしおいしそうなのに買ったことがないものがある。足りないのは勇気だった。
「義理チョコ」「友チョコ」などの呼び方があるが、今回は名付ける必要もない。自分が食べたいものを食べたい時に買っただけだから。
買ってすぐ食べる。普通のことなのに後ろめたさがあっておもしろい。
家に持ち帰って大事に食べると「自分へのご褒美」っぽさがあるが、帰りがけに食べるとそれもない。
見た目がきれいだし、一個ずつ味が違う。おいしい。
食べているうちに自分の中で設定が決まってきた。
僕はきっと誰かにこれをあげたくて買ったんだけど、買った直後にやはりあげてはいけないと決心をして、気持ちが揺らぐ前に食べちゃっている人だ。
事情があって、気持ちを伝えちゃいけない相手なんだろう。大変なことだ。
それはそうとチョコがおいしい。
気持ちを伝えちゃいけない相手(×2)のことを想いながら食べた。「思いながら」ではない。「想いながら」だ。
半分ぐらい食べたところで満足して家に帰った。残りは夜に家族みんなで食べようと思う。バレンタインとか関係ない、ただのきれいなチョコとして。