まずはプランクトンのみなさんをどうぞ
今回の記事は水を採集→顕微鏡で見るという流れだが、まずはつかみでプランクトンを見ていただきたい。
驚く声もそのままに
元気よく動き回っているのがカイアシ類という甲殻類の子ども(ノープリウス幼生)である。右のほうにいるでっかいのはたぶんゴカイのなかま(多毛類)の幼生。ゴカイは成虫になってもなかなかだが、幼生の時点でふてぶてしさの片鱗がある。
この水はお台場の砂浜で汲んできた海水だ。
波打ち際でペットボトルでただ汲んだ。そのなかにあれだけの生き物がいる。
これはお台場の海が汚いという話ではなくて、近くの海にもこれだけ小さい生き物がいるということである。これが生態系だ。
……とかっこつけて言ってるが正直ちょっと気持ち悪い。
わ、この記事ちょっと苦手かもと思ったみなさん。大丈夫です。僕も撮影しながらずっとひや~と心のなかで言ってました。
では改めて水採集からスタートです。
強力な助っ人がふたり
以前も記事に登場してもらった小学館の図鑑編集者 小林由佳さんの新作がプランクトン図鑑だった。
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176ページ、オールカラー税込1100円。約500種類のプランクトンが載っているのでプランクトン1種類あたり2.2円(税込)だ。
フグやエビのようなメジャーな生物の幼生も、コケ類のような植物も、水流に逆らえずに漂っている生物は全部プランクトンになる。
つまりプランクトンとは生き方の問題だったのだ。
今回、まずは小林さんに手伝ってもらいお台場で海水と淡水を採集。それから図鑑の協力者のひとりである奥修先生に顕微鏡を借りる。
自ら頑張らず、プランクトンなみに人まかせにした。
水を採取する
まずはお台場で淡水と海水を採集する。
お台場を選んだのは東京湾の海水を採集するためと、「お台場」の響きがプランクトンにあってなかったからだ。
お台場で見るべきものはガンダムに加えてプランクトンである。
淡水は青海(お台場の南のほう)の公園の池で水をくんだ。
表面にはコケが浮かび、水草がもそもそしている。埋立地なのにカッパがいそうな雰囲気だ。
よく見ると池には小さな魚が泳いでいる。プランクトンがいるに違いない。
ペットボトルの中の藻が光合成している証拠だそうだ。自然は小さくても生きてる証を見せてくる。
採集した水を濾すと布のうえにプランクトンがたくさん残り、観察しやすくなる。
あまり目がすかすかの布だとプランクトンも抜けてしまうので向いてない。これはスカートの裏地。
どろどろ池の横には少しきれいな池もあった。
海水はお台場の砂浜で採集。
落としたひしゃくが黄金のひしゃくになって返ってくることもなく、プランクトンを見るために奥修先生のところに向かう。
顕微鏡を借りる
顕微鏡を使わせてもらうのはプランクトンを研究している奥修先生。
生き物のからをまつ毛で押して模様を作ってる
ところで奥先生には珪藻アート作家という肩書がある。僕らが汲んできた水を見る前に奥先生のプレパラートを見せてもらった。
このひとつひとつが珪藻の殻なのだ。珪藻とはガラス質の殻を持つ単細胞生物で、上記の写真はその殻をきれいに並べてある。珪藻は珪藻土マットのもとになっている生物だ。
CDのように輝いているのは光の波長以下の凹凸があるときにおきる現象(構造色)、生物でそれが起きている。くわしくは奥先生の著書、珪藻美術館(福音館書店)をどうぞ。
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並べるときはまつげかまゆげを用いた自作の道具を使用しているとのこと。
「まつげのほうが細いですね。タンパク質で押した方が傷つけない。」
顕微鏡借りていいっすか、みたいなノリで来たがけっこうな人のところに来てしまった。