特集 2025年3月3日

知っている街の知らない道を歩く

(西日が強くて写真に虹が出ちゃってるけど企画には関係ありません)

去年、渋谷で決められたルートを歩くイベントに参加した。
なんども来ている街だが、そのルートは通ったことがない道が多く、渋谷にこんなに知らない場所があったのかとしみじみ思った。知っていると思い上がっていました。

もっとこういう経験をしたい。

道を決めてくれるちょうどいいアプリがあった。

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

前の記事:ほぼ百字で完結する小説がある ~ 小説家・北野勇作さんインタビュー

> 個人サイト webやぎの目

ジョギング用のアプリ

道を決めてくれるアプリとはジョギングのルートを作ってくれるアプリだ。
何種類かあったが、TrailRouterというアプリが無料でシンプルだった。出発地を決めて、歩きたい距離、坂道を避けるかどうかなどのパラメータを設定するとルートを作ってくれる。

あくまでアルゴリズムが作ったルートなので、ビルの隙間を選んだり、有料の公園のなかの道を選んでいたりする。知らない道を歩きたいだけなのでそういう勘のなさもちょうどいい(ジョギングには向いてない)。
むかしの機械のような無骨さで「しょうがないな、おまえは(嬉しい)」といった気分になる。

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実際にその通りに歩いてみる 

新宿南口から一周3㎞で適当なルートを決めてもらいました。
小田急の南新宿駅のほうに出て、文化服装学院の裏を通って高層ビルの間を抜けて帰ってくるルートが出た

ふだんはまったく歩かない場所である。ルートを見ているだけで興奮する。このルートを1時間かけて3キロ歩き、おもしろかったので別方向のルートでもう3キロ歩いてみた。

2回目は新宿御苑のなかを歩くルートが出た

散歩を順番通りに説明すると新宿の裏通りばかり出てきてなにがなにやらなので、アルゴリズムさんぽの興奮ポイントをかいつまんで紹介したい。

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地図に歩道が示されている

歩いてみて気づいたが、このアプリの地図には歩道が示されている。 

こんなカクカクした道あったっけ?
歩行者が歩く道はカクカクしているのだ。(赤い帯は画像加工で追加しました)

地図にきちんと歩行者が歩く道が表示されている。親切だ。ただ、たまにおかしくなっている場所があった。 

2本の歩道を左右に移動しながら歩くルートが示されている
しかし歩道は1本しかない
歩道のなかで左右に移動しながら歩いた

このアプリが使っている地図は歩行者の位置情報を元にデータを作成しているらしいので、2列に歩く人のデータを見て歩道が2本あると思ってしまったのだろう。かわいいやつだ。

4本ある階段のどれを使うかも指定される(右上はアプリの画面)
その通り歩くよ~
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まるでスタンプのないスタンプラリー

アルゴリズムではじき出されたルートは思いもしない道を指定する。

どこだここ?

南新宿駅の下が通りぬけられるようになっているなんて知らなかった。しかもここは暗渠らしくてまた最高。(代々木川という川らしい) 

ビルの隙間の歩道を行け(左上はアプリの地図)
地図を拡大して全体を見えないようにして歩くとどこに連れて行かれるか分からなくて愉快

角を曲がるたびに「どこだここ?」が味わえるし、大通りに出るたびに「ここに出るのか!」という驚きがある。

謎解きラリーのようなイベントがあるが、あれの謎をとっぱらったのがこれだ。もしくはスタンプのないスタンプラリー。

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観光気分になる

知っているはずの新宿も指示通りに歩くと観光気分になる。見るものがいちいち珍しくて写真を撮ってしまう。

どうやったらシンクロして壊れるんだろう
市中引き回しもしくは流刑に処されます
半分埋まり像
禁止じゃなくて、危険!という看板
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有料のルートも出るね

2回目のルートで新宿御苑のなかの道が出てきた。ここお金かかるんじゃなかったっけ。

と思ったらやっぱり有料だった。

しかも交通系ICカードで払えて自動改札みたいになっていた。10年以上ぶりの新宿御苑、アプリに引かれての入場となった。(牛に引かれて善光寺参り的な)。 

公園のなかだってぶらぶらしないで決められた道を歩く
そして入った門とは別の地味な門からすっと出る

新宿御苑をシュッシュと歩いて通過するのは新鮮だった。「ちょっと急いでるんで」みたいな雰囲気で颯爽と歩ける。だったら公園に来るなやという話だが。

千駄ヶ谷門よりももっと地味な門があった

ちなみに皇居のなかを通るルートも出てしまうのではないかと思ったが、皇居の立ち入り禁止エリアには歩道のデータがないので出なかった。

いちど通り過ぎるルートもきちんと歩いてゴール

2回歩いたうち、1回のコースはスタート地点をいちど通り過ぎてから戻るルートになっていた。

スタートした場所をいったん20mぐらい通り過ぎてから戻ってゴール

ほら、アルゴリズムってのは機転が利かないからさ!と思いながらもなぜか意気に感じてしまう。やろう。

スタート地点のポストを言ったん通り過ぎて…
戻ってきてゴール

同じ道を歩きたくない人むけ

かかりつけの医者に行くのにも毎回通ったことのない道を通ろうとするので毎回迷う。そして結局同じ道に出てしまう。

このアプリがあれば通ったことのない道を通れる!

毎回違う道を通りたい癖の人にはうってつけだと思う。どれぐらいいるんですかね。

こいつはなにを案内しているのでしょうか(答えははげます会限定ページに!)

いまさらですが、TrailRouterはウェブ版もありました。
TrailRouter
でも外で使うときはアプリが便利です。
アプリのページ

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編集部からのみどころ
サングラスってかっこつけるためにするのだと思っていたのですが、歳をとって分かりました。加齢とともにまぶしさが苦手になるんです。
編集部の橋田さんも同じ理由でサングラスをかけているため、ふたりで出かけるとサングラスふたりになります。きっと訪問先の人は、わ、メン・イン・ブラックみたいなの来た!って思ってるでしょうね。(林)

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