特集 2019年8月30日

地下に広がる別世界! 岩塩坑に作られた地底遊園地に行く

遊園地というものがある。観覧車やジャットコースターなどがあり、休日には多くの人でにぎわう。青空の下で「次はあれに乗ろう」とか、「怖かったね」とかと盛り上がるのだ。雨の日は人が少ないので、狙い目だったりもする。

ルーマニアに全天候型の遊園地がある。屋根があるのとは少し異なる。地下約120メートルに遊園地があるのだ。その昔、岩塩坑として栄え、今は遊園地となっている。ぜひ行ってみたいと思う。

1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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地底というワクワク

宇宙にも夢を馳せるが、地底にも思いを馳せる。全長が何キロにもなる鍾乳洞などは、観光地になっていたりもする。地下には何があるのだろう、光が届かないその空間に何があるのだろう、と我々の好奇心を刺激するのだ。

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地底に思いを馳せるのです!

遊園地もまた我々を楽しませてくれる。子供の頃、「日曜日は遊園地に行こう」と親からの提案があると嬉しかった。私は北九州に住んでいたので、遊園地は当然、今はなき「スペースワールド」ということになる。素晴らしく楽しかった。

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遊園地も楽しいよね!

そんな地底と遊園地という2つを両立した施設がある。遊園地のアトラクションの一つとして、「地底探検」的なものがあるわけではない。地底に遊園地があるのだ。「地下遊技場」と言ってもいいだろう。ワクワクが岐阜羽島駅の「のぞみ」以上に止まらない。

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ということで、ルーマニアのクルージ・ナポカに来ました!
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 地下遊技場への誘い

宇宙にも夢を馳せるが、地底にも思いを馳せる。全長が何キロにもなる鍾乳洞などは、観光地になっていたりもする。地下には何があるのだろう、光が届かないその空間に何があるのだろう、と我々の好奇心を刺激するのだ。 

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この乗り物で向かう
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気温は39度!
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謎の場所で降ろされ、歩いて
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目的地「サリナ・トゥルダ」に到着!

この地下遊園地の名前は「サリナ・トゥルダ」。もともとは岩塩坑で、11世紀にはすでに栄えていたそうだ。2008年にリハビリテーションの施設となり、2010年に遊園地としてオープンした。お金を払い扉を開けて驚いた。長い、長い、地下への道が始まるのだ。 

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1000円払って、扉を開けると、
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800メートルくらいの道!

おそらく私は裏口から入ったようだ。その道の長さに驚く。壁が白く、舐めてみると塩だった。元は岩塩坑だから当たり前だけれど、とっても塩。間違いなく塩なのだ。道中には岩塩坑時代の名残もある。基本的に木でできている。鉄だと腐食するからだろうか。

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壁を舐めると、
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とっても塩!
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岩塩坑時代に使っていた機械
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見下ろすと、
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遊園地!
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とっても遊園地!
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 地底の別世界

言葉を失った。外から見るとなんの変哲もない山だった。あまり派手な入り口でない裏口から入ったこともあり、地下に広がるこの空間を想像できなかった。そのために、衝撃がすごい。夢で見る謎の空間みたいではないか。いや、夢ではないのか。

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エレベーターはすごい行列!
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なので、階段で降りる!
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確かに遊園地、夢ではない!

遊園地のある120メートルまで階段で降りる。急な階段で、木でできている。木は人が歩きすぎて滑らかになっている。滑るのだ。恐怖だった。ただエレベーターは4人乗りくらいのようで、待てど暮らせど来ない。結果、階段で降りて、遊園地へと降り立った。 

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ビリヤードやパターゴルフがあり、
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卓球があり、
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さらに下に、
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ボート乗り場がある!

すごく感動している。地下にこんな世界が広がっていることに。知らない世界がいま目の前にある。暗いはずの地下が明るく、そこが楽しい空間になっている。世界は広いというけれど、まさにそれだ。だって、どこの壁を舐めてもしょっぱいんだぜ。

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お土産屋さんもある!
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感動は止まらない 

せっかく来たのだから、ボートに乗ろうと思い、さらに下に降りた。地底湖の水は塩水だ。見上げると一番最初にここを見下ろした場所が見える。随分と上だ。よくこんなところまで岩塩を掘ったものだ。馬を使い先の機械を動かしていたそうだ。 

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かなり上だ!
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そして、
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ボートはすごい行列!

 すごい行列だった。みなボートに乗りたいのだろう。もちろん私も乗りたいので並んだ。ただこの列が驚くほど進まない。満腹時に食べる食パン一斤ほどに進まない。ここに来てからは驚かされることばかりだ。

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みんな長袖を着ています!

 もちろん辛抱強く並んでもいいだろう。ただ問題があるのだ。寒いのだ。外は39度だった。ここに来る車の温度計がそう示していた。しかし、ここは12度くらいなのだ。周りを見ても長袖の人が多い。だって12度だもん。

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でも、私は半袖半ズボン!

そうなんです。動き回っている時はよかったのだけれど、行列に並ぶとジッとしているので寒いこと、寒いこと。だって半袖だもん。ルーマニア暑いんだもの。半袖しか持って来てないもの。結果、並ぶのをやめた。 

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代わりに観覧車に乗った!

観覧車はさほど並ばずに乗ることができた。なぜだろう、と考えるとわざわざ地下深くまで降りてきて、高いところに行く観覧車に乗る必要がないからかもしれない。ただ乗ると楽しい。壁が近づき、地上で乗る観覧車にはない体験だ。 

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最高です!

ジェットコースターやコーヒカップがあるわけではない。ただ感動があった。私はそれに心を打たれたのだろう。興奮と共に帰りの道を歩いた。長い岩塩の道を歩いた。本当に素晴らしい体験だった。 

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そして、
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買いました!
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岩塩も!

気づいたら買っちゃってた。Tシャツは650円くらい。迷わず買った。トートバックも買った。岩塩も買って舐めた。感動して、私もサリナ・トゥルダになりたいと思ったのだ。ようこそ、地主のサリナ・トゥルダへ。

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岩塩、しょっぱい!

 


世界は広い、地下も広い

遊園地とは地上にあるものだと思っていた。しかし、地下にもあるのだ。世界は広い。そして、学びがある。寒いということだ。全く頭になかった。鍾乳洞なども一年中同じ温度だったりするので、そこから学んでおくべきだった。今度行くことがあれば、長袖を持って行こうと思う。

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これが表側の入り口!

 

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