メーカーの人はどう思っているのか
もしかしたら、眼鏡屋さんは毎日使う道具だから、そのかっこよさに麻痺しているのかもしれない。メーカーの人なら、僕の気持ちをわかってくれるのではないだろうか。
検眼枠の全国シェア80%を超える会社
お邪魔したのは、江戸川区の会社、ハセガワ・ビコーさんだ。この会社、日本の検眼枠のシェアの80%以上を誇るという、検眼枠の本拠地みたいなところ。僕が大学のときに一目ぼれした検眼枠も、きっとこの会社で作られたに違いない。
対応してくれたのは営業部の根岸さん。さっそく、「検眼枠、カッコイイですよね」と切り出すと、「ありがとうございます」といいつつその目には困惑の色が。ま、まさか!根岸さん、あなたまで…!
検眼枠、その機能
まさか世界中で検眼枠がカッコイイと思っているのは僕だけなのでは。そんな不安をグッと飲み込みつつ、根岸さんに検眼枠の説明をしていただく。いくつかの製品がある中、上の写真の物が定番商品。いわば基本形だ。
レンズを入れる部分は、片眼ごとに3枚ずつ入れられるようにホルダーがついていて、しかもクルクルと回転させることができる。乱視用のレンズは、乱視の軸に角度を合わせなければいけないため、このような回転可能なしくみになっている。
かっこよさの理由のひとつはレンズ周りのあの目盛りだと思うのだが、あれは乱視の軸の角度を測るためにあったのだ。
えーと、このビジュアル、やっぱり造形的魅力に溢れていると思うんですけど…僕、だいぶ欲しくなってきてるんですけど…読者のみなさんはいかがでしょうか…。
根岸さんによると、眼鏡屋さん以外の一般の人でも、欲しいと言ってくる人は確かにいるそうだ。眼鏡業界は春・秋に展示会があり、ハセガワ・ビコーさんも検眼枠を出品している。展示会のたびに、一人くらいは「売ってもらえませんか」という人がくるのだという。過去には、某ブランド向けにオリジナルで作った真っ赤な検眼枠が、一般の方からの要望で8万円で販売されたこともあったそうだ。
しかしハセガワ・ビコーさんとしては残念ながら一般向けの販売は行っておらず、そういった流通経路がそもそもないらしい。というわけで、欲しい人は眼鏡屋さんになるしかなさそうです。あとはたまにオークションや骨董市に流れるそうなので、まめにチェック!
さらに進化して、さらにかっこよく
「検眼枠は10年後も同じものが使われ続けるのではないでしょうか」というのは眼鏡屋さんの室伏さんの談だが、メーカーにとっても、確かに検眼の道具としては完成されていて、根本的なところでは改良点もないそうだ。
しかしそこで立ち止まるわけにはいかない。検眼枠の基本的な部分はそのままに、オプショナルな要素でさまざまに改良を加えた、進化形ともいえる製品がこれだ。可動部分が増えたことによりメカ度がさらに増して、かっこよさも2割増し!
要は「機能美」だ
いちおう自分でかけてもみたが、やっぱり検眼枠のかっこよさは眼鏡としてではなく、物としてのかっこよさであると思った。装着したところより、置いたところ、だ。
一言で言えば、「機能美」だと思うのだ。多機能であるがゆえの複雑さ。そして装飾を省いた、無駄のないデザイン。いやデザインというより、このビジュアルは「構造」とか「機能」そのものだ。その無骨さがたまらない。
このメカニカルなディテールは、やっぱり見る人の目を奪うものがあるとは思わないか。思わんかね!(思うって言ってよ!)