特集 2025年6月10日

モルタルに宝を埋めて掘り出すと化石発掘みたいで楽しい

とある作業中にモルタルが余ったので、宝に見立てた缶を中に埋めてみることにした。固まったあとにバールやタガネで掘り出すと化石発掘みたいで楽しいと思うのだ。

さあ、モルタルを破壊して宝を取り出そう!

1993年生まれ。京都市伏見区出身、宮崎県在住。天性の分からず屋で分かられず屋。ボードゲームと坂口安吾をこよなく愛している。

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休日におじいちゃんと焼却炉をつくってモルタルが余った

仕事が休みの日は祖父の手伝いをしている。祖父は神職なので神社の作業がほとんどだ。掃除をしたり、神事に使う道具を奉製したり、シーズンがおわったストーブを片付けたり、細々したことがたくさんある。

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わたしは本業も神職(別の神社)なので、休みの日も神社にいるということです。365日神明奉仕に明け暮れて神様に気に入られよう!
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IT担当なのでFAXの紙詰まりを直したり初穂料の値札をラミネートしたりとかもする

この前に会いに行ったときは御守を焼納するための炉を作っていたのでその補佐をした。

順を追って話せば、神社に返された御守はお清めの神事ののちに焚き上げられるのが一般的である。祖父はその焼却炉を手作りしていたのだ。

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焼却炉を土台から手作りしていた(これは一般的じゃないと思います)

祖父はもともと左官職人として働いていた期間が長く、たいていの大工仕事ができるスーパーおじいちゃんなのだ。

そんなわけで、焼却炉を組み立てるのに使っていたモルタルが余ったという次第である。休日におじいちゃんと焼却炉をつくってモルタルが余ったという稀有な状況。

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セメントと砂と水を練り合わせたものをモルタルといいます。固まると硬いです。
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これは水と蕎麦粉を練り合わせたそばがきです。食べるとうまいです。

あまったセメントを見て、この中に何かを埋めて掘り出すとかってできますかね!と祖父に聞くと「できる」と即答してくれた。それじゃあ宝を埋めることにしようじゃないか!

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こんなふうに、固めたモルタルを削って中身を取り出すと化石掘りみたいで楽しいと思うんです
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余ったモルタルに宝を埋める

モルタルは適当な容器に流し込んで固めるといいと教わったので、半分に切った空きペットボトルに流し込むことにした。

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固まる前のモルタルはドロみたいに流動性があり扱いやすい

モルタルを素手で扱うと手が荒れて危ないということを、まさに素手で扱っている最中に聞いた。孫をもっと大切に扱ってくれ!(手は荒れませんでした)

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ちょうど小さい缶があったので、なんでもいいからと頼んで物をいれてもらった。これを宝とみなす
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モルタルを容器の半分まで入れた状態で宝を入れて
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残り半分を流し込んで埋め込む
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仕上げにセメントをかけるといいらしい
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手前モルタルですが、きれいに仕上がりました!ワクワクするぜ

何を隠そう、モルタルが扱えるようになったのがいちばん嬉しくてテンションがあがった。

細い木くらいならチェーンソーで切れるし、建築基準法さえ無視すれば簡単な家が建てられるかもしれない。これで自分の国をつくるという夢に一歩近づいた。

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夢は建国です
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モルタルが固まった!宝を削り出そう

それから3日ほどして宝を埋めたモルタルが固まった。

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カラーなのにモノクロみたいな写真

モルタルを持ち上げてみると硬くて重くて鈍器になっていた。最高だ。まずは型のボトルを切り取ってモルタルをむき出しにしよう。

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写る道具すべてが暴力的で決戦前夜感があった
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剥けた!かっこいい

ペットボトル型に固まったモルタルがそもそも石細工のようで格好いい。あと持ちやすい。あとはこれを削っていくのだが、その前にどうしても一点だけ共有させてほしい。

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モルタルは嗅ぐと
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くさい

嗅ぎ癖があるのでモルタルの匂いを嗅いでみると、こんにゃくみたいで臭かったのだ。君みたいなのは無臭であれよ。ペットボトルを型にしたのがまずかったのかもしれない。

さて、本題に戻りましょう。工具を使ってモルタルを削っていきます。

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プロっぽいかまえ!本格的なごっこ遊びはいくつになっても楽しい!
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一点集中でタガネ(工具の名前)を食い込ませていくのがいい

工具で削ると少しずつモルタルが削れていく。ただ、そこまでもろいわけでもなく、素手じゃ絶対に太刀打ちできない硬さで、何がいいたいかと言えば、やりがいがあって楽しい。これだよこれ。

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少しずつ崩れてきた

宝のまわりは特に崩れやすいようなので、そこを重点的に攻めていく。

続けていると、物を掘り当てるよろこびのほかに破壊欲求の発散の楽しさもあることに気づいた。これはれっきとしたレジャーだ。くんくん、金儲けの匂いがしてきましたね

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でももっとスカッとしたいじゃんね(背景の幽玄さを見よ)
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そこでバールですよ
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バールってこれね
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オラァ!!!

ハンマーでコツコツ音を鳴らしながらコツコツやっていく。コツコツの語源ってこれなのかもしれない。

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宝を掘り当てる

挑むこと数十分、やっと宝が見えた!

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中央の白いのがそう
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周りをせめていく

バールの尖っている部分で勢いよく叩いたせいで、缶に穴があいていた。宝は無事だろうか。発掘を仕事にしなくてよかったと思う。

そしてそのときは急にやってきた。モルタルが宝を中心に割れたのだ。

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たぶん手を離せばパカッとなります(喜)
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パカッ!~モルタルを叩いて割ればカタルシスの音がする~
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宝が手に入りました!

さあ、宝の缶は取り出せた。缶にワクワクするのはチョコボールのおもちゃのカンヅメ以来である。いざ開かん。

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ウヒヒヒッ
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こっ、これは……
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これっていうのは……
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胃薬かな……
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やったーーー!!!!!!胃腸弱いんですよーーーー!!!!
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嬉しさを速さで表現しますビュンッ!

我ながらいい試みだったと思う。今回ばかりは楽しさしかなかった。みんな絶対に宝を埋めたほうがいい。どこを探しても見つからなかったあなただけの楽しみはモルタルのなかにある。

して、割ったあとのモルタルはピッタリの使い道があったのでそれを紹介して終わりたい。

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こう、向かい合うように配置すれば
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サッカーボースタンドになる!ちょうどサッカーボールスタンドがほしかったんですよねえ
編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ
おもしろかったですね。見どころを箇条書きします。
・モルタルとなぜか対比されるそばがき
・建築基準法を無視すればという前提
・モルタルを崩しているとき、背景の山に雲がかかる
・動画が真っ暗
・コツコツの語源の安直な推論
・おじいちゃんが隠してくれた宝
・割ったモルタルの使い道
ひとつひとつ、「おい!」と突っ込んで読んでください。これはインタラクティブな作品です。(林)

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