モネの池の笹舟巻
フランスの画家クロード・モネは睡蓮の絵を何枚も書いた。その睡蓮の絵のような池があるそうだ。それは関市にある「モネの池」。ただモネの池は通称で、本当は名もなき池らしい。以前は、特に名前を持たない普通のどこにでもある池だったのだ。
そんな名もなき池だったけれど、数年前からSNSで人気になり、私が訪れた日も多くの方が池にカメラを向けていた。もちろん私も向けた。透明度が高く、鯉が泳ぐ様子は確かに、クロード・モネを連想させた。
池の隣には根道神社がある。この地区の氏神様だ。おそらくというか、間違いなく、この神社が本来はメインで、その脇にある池だったと思うけれど、今では池がメインでその脇にある神社になっている。
モネの池名物として「笹舟巻」が売られていた。モネの池が流行った後にできたものだ。モネと笹舟巻は遠いようにも感じるけれど、モネは日本美術にも精通していたので、むしろ洋菓子を作るより、笹舟巻が正解な気もする。
60年の製法と味を引き継いだ、手作りならではの食感が楽しめる米粉のお餅。食べてみると程よい甘さで美味しかった。笹の匂いも素晴らしい。なぜホテルで食べているかというと、モネの池の途中から雨が降り出したから。モネではない絵を見ながら食べた。
みかんラーメン
海津市に「みかんラーメン」があると教えてもらった。海のない岐阜で海津という名前が面白い。ただ縄文時代、その街は海に面していた。そして、岐阜で唯一のみかんの産地。南濃みかんの名前で知られている。
そんなみかんがラーメンに乗っているのが「みかんラーメン」。道の駅に行くと多くのみかんが並んでいた。みかん好きな私としてはぜひ食べたいラーメンだ。レモンが乗っているラーメンは聞いたことがあるけれど、みかんは知らなかった。
みかんが浮かぶだけではなく、みかんの絞り汁を細麺に練りこんであるそうだ。スープは塩味であっさりしている。そこにみかんの酸味。ちなみにこの地域のみかんは酸味で有名だ。ラーメンに合うのではないだろうか。
美味しかった。みかんとラーメンを一緒に食べている感じ。お互いが譲り合わず、と書くとなんだかな、という感じがするけれど、それぞれのいいところが出ている感じなのだ。ラーメンにみかんはありと知った。
栗きんとん発祥の地
栗を用いた和菓子と言えば栗きんとん。その発祥の地が「中津川」である。中津川は栗の栽培が盛んで先に登場した苗木城の遠山氏も将軍家に栗を献上している。そして、明治時代中期頃には栗きんとんを商品化して販売していたそうだ。
市内にはたくさんの栗きんとんを作るお店がある。その一つずつを巡り食べるのは大変。いや、やってみたいけど時間の制約もあるので、7店舗の栗きんとんが1箱になっているものを買った。「ささゆり」と「風流」があるので、合計で14店舗の栗きんとんを食べることができる。
原材料が栗と砂糖だけというのがすごい。ほぼ栗なのだ。栗を食べている感じ。それでいて茶巾で絞って造られるので、模様が美しい。やってしまったもの、食べる前から「美味しい」って言ってしまうやつを。実際に美味しいのだけれど。
食べ比べることができるのが嬉しい。お店によって少しずつ違う。甘さが控えめだったり、しっとりしていたりなど。どれも高いレベルで美味しいから好みによる、ということになるけれど、つまりどれも美味しいということだ。栗より栗なのだ。
地下水が自噴
大垣の井戸は水が自噴していると教えていただいた。井戸と言われると、桶的なものを紐につないでそれを井戸に入れて水を汲むイメージがある。しかし、大垣の井戸は違うのだ。自噴しているのだ。
水側から地上にバンバンやってくる。それが自噴水。思い描いていた井戸とはイメージがかなり違うけれど、美しき水がバンバンに吹き出している。岐阜ではリスも水もバンバンやってくるのだ。
大垣市は全国でも有数の自噴帯に位置しているそうだ。地図を確認すると20以上はこのような井戸がある。自ら水が湧き出ていると美味しそうに感じる。飲んでみるとなんの味もない水だった。以前詳しい人に教わったのだ。本当の美味しい水はなんの味もしないと。まさにそれだった。