日本一の吊り橋
大分には日本一のものが多々ある。先にも書いたように、温泉の湧出量だったり、カボスの生産量だったりもそうだし、これから行く、「九重“夢”大吊橋」もまた日本一。この橋は、高さ173m、全長390mで歩道専用としては「日本一の高さ」を誇る。
2006年にできたこの吊り橋。渡った先に特に何かがあるわけではないけれど、足元には鳴子川渓谷があり、とにかく高い。遮るものがないので、風も強い。寒風が強い。揺れるということはないのだけれど、寒風が強い。
歩く部分が散歩時に犬がピュンと跳ねて乗り越えるものになっているので、ずっと足元が見えている。それが怖い。しかし、その怖さを心地よく感じるから人間って不思議だ。滝も見えるし、その滝が一部凍っているのもわかる。
この寒さにはこの後、ずっと悩まされることになる。私が行った日は6年ぶりの大雪という感じの日だったのだ。気温もずっと1度とか2度で、風が強く、私のカメラは三脚ごと倒れ、壊れた。ここではない場所で。
日本一の鱧の椅子
日本一はまだ続く。中津駅にある椅子が日本一なのだ。中津といえば、福沢諭吉が有名。中津駅の北口には福沢諭吉の銅像がある。駅の中にも福沢諭吉関係のものが多々あるのだけれど、日本一はそれではない。椅子だ。
福沢諭吉は現在の1万円の肖像なので、ある意味、日本一ではあるけれど、今回教えていただいた日本一は「日本一長い鱧の椅子」だ。日本一と書いてあるので、そうなのだ。鱧とは魚。豊前海で鱧がとれ、鱧は「骨切り」が必要なのだけれど、その技が生まれたのも中津だ。
ベンチ(椅子)は、風倒木を利用したもので、長さ10メートル、高さ1.6メートルを誇る。それくらいのサイズの椅子は他にもありそうな気もするけれど、鱧の絵が描かれたベンチはないのだ。文字もアスペクト比が狂った感じで押しつぶされていて、愛おしく感じる。
日本だけどUSA
次は日本一ではないけれど、USAという場所。大分に「宇佐」という街があるのだ。ローマ字で記すと「USA」ということになる。アメリカはUSAと書くこともある。つまり宇佐は日本にありながらUSAなのだ。
宇佐には宇佐神宮がある。全国にある八幡宮の総本社だ。宇佐神宮はとても面白い存在で、祭神として八幡大神が祀られているのだけれど、八幡大神は神なのに八幡大菩薩と称され、僧侶のような格好をしている。いろいろ混ざっているのだ。
多くの場合、宇佐での一番の目的は「宇佐神宮」だ。ガイドブックにも宇佐神宮は載っている。でも、オススメしてもらったのは、宇佐駅。駅名の看板に描かれたロゴマークがアメリカの星条旗のように見えるというもの。それはぜひ見てみたい。
まず駅名のローマ字表記が「USA」で、アメリカっぽさを感じる。さらにロゴマークが星条旗のように見える。青地に白と赤で宇佐神宮を描き、白い文字で宇佐神宮の名前。そこが星に見えるわけだ。実によく考えられている。
さらにホームから遠くを見ていると山の上に「USA」という看板が見えた。アメリカのハリウッドのような感じで「USA」とあるのだ。大分に来ていると思ったけれど、USAなのだ、ここは。宇佐と読むから大分なんだけどね。
国道10号を車で走っていると、宇佐にようこそ的な看板があった。そこに書かれた「ウェルカムトゥーUSA」の文字。もうここはUSAなのだ。宇佐だからUSAだけど、ウェルカムトゥーUSAと書かれたら、それはUSAだし、反対側は「シーユーアゲイン」。もうこれUSAだね。
バス停「ととろ」
大分には「ととろ」というバス停がある。大分県佐伯市宇目にある地名が「ととろ」と読むのだ。「轟」と書いて「ととろ」と読む。一般にはととろと言われると、となりのトトロを思い浮かべるけれど、大分では地名だ。
1949年にこの地域を通る路線バスが開通した。ただし、2013年に廃線となり、このバス停を通る路線バスが全てなくなってしまう。今もバス停は残り、トトロの絵などが飾られ、コミュニティーバスのバス停としては利用されているらしい。
地名が「ととろ」のわけだけど、この辺りを車で走るとトトロのいそうな雰囲気はあった。どのくらいあったかというと、道に迷ったくらいあった。道に迷ったのでこれトトロ出るんじゃね? と思ったけど、トトロは出ずに、ととろのバス停が出てきたわけだ。