特集 2026年6月9日

講道館ビルにあるハラールレストランで「巴投げ」を食べる

東京都文京区にある柔道の総本山、講道館。割と近くに住んでいるので東京ドームシティを利用する際などによく前を通るのですが、最近気になっていることがありました。

ビルに入っているレストランが、いつの間にかハラール対応(*)のレストランになっていたのです。講道館とハラール。一見不思議な組み合わせが気になって、食べに行ってみました。

*宗教上の戒律があるイスラム教徒向けの食事やサービス提供のこと

1980年、東京生まれ。片手袋研究家。町中で見かける片方だけの手袋を研究し続けた結果、この世の中のことがすべて分からなくなってしまった。著書に『片手袋研究入門』(実業之日本社)。

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まずは加納治五郎先生に挨拶

というわけで平日の昼、文京区春日にある講道館ビルにやってきました。

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押忍!

ほっそい腕の私ごときが挨拶って逆に無礼かもしれませんが、一応高校の授業で3年間は柔道に触れた経験があるのでお許しください。ちょうどヨーロッパの選手団が代わる代わる記念撮影していて、柔道が世界的な競技としてすっかり定着していることを実感しました。

さて、冒頭のハラールレストラン「HABIBI」はこちらの講道館ビル本館ではなく、すぐ隣の新館地下にあります。

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最初このメニューを見かけて「ん?」と思ったんですよ。確か以前は普通の洋食屋だったはず
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ビルに入ると柔道グッズなどを扱う売店があって気になりますが、さらに階段で地下へ

階段の壁に貼られたお店紹介の記事を読んでみると、ヨルダン出身の方がシェフを務めているようです。

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店内には浅草、富士山、スカイツリー!想像より広く外国の方が喜びそうな内装でした
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店名の「HABIBI」とは愛しい人、親愛なる人、大切な友達という意味らしい
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知らない単語が並ぶメニュー

早速メニューを広げてみると「王道の日本料理、アラビア料理、ヴィーガンメニュー」と大まかに三種類の料理があるようで、そのすべてがハラール対応になっていました。

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天丼やカレー、ラーメンといった日本食もハラール対応
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ヴィーガンメニューもあります
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一番見慣れぬ単語が並ぶアラビア料理

同行した妻に「ファラーフェルとフムスのセットの他にクフタも食べたいんだけど、セサミとトマト、どっちが良いかな?」と聞かれましたが、何言ってるのか全然分からなくて、何も答えられませんでした。

私もせっかくなので食べたことがないようなものを頼もうと色々迷っていたのですが、完全に気になるメニューが目に飛び込んできました。

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巴投げ!「巴模様」に並べられた海老天3本と、柔道の総本山らしくチキン“勝つ”のセット

キミにきめた!ネーミングにやられてしまいましたよ。皆さんだって「講道館で巴投げ食べられる」って知ったら食べるでしょ?一方、妻は先ほど悩んでいたクフタとファラーフェルを頼みました。

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ひよこ豆大活躍

ちょうどランチタイムだったので、料理を待っているとお客さんが次々入ってきます。日本人と外国の方、ちょうど半々くらいでしょうか。店内には柔道の大会の写真なども飾られていて、やはり選手も多く来店するようです。

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聞き慣れない料理名の丁寧な解説があったので、待ってる間熟読してました
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まずはファラーフェルとフムスのセットがきました。フムスは知ってます。ひよこ豆のペーストですよね
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一緒に提供されたピタパンにフムスをつけて食べてみます

身体に良さそうな味わいでありながらクリームチーズのような濃厚さもあり、めちゃくちゃ美味い!フムス、知ってるし食べたことあるかな?くらいの感じでしたが、いきなり「今後の人生で何度も食べたい料理ランキング」に入ってきました。

そしてファラーフェルがこちら。

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フムスと同じくひよこ豆を使った中東のコロッケのような料理

こちらも美味い!「肉の代用品としての豆」という感じではなく、ちゃんと独自の美味さと濃厚さがあります。ハラールフードやヴィーガンメニューに触れてこなかった人生なんですが、バターファンクラブ会員である私でもちゃんと満足感があるんですね。

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インバウンドではなく飯バウンド

そしていよいよ巴投げがやってきました。

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この写真だけ見たらビジネス街の定食屋となんら変わりないですね

海老天こそ巴模様ではありませんでしたけど、まあ間違いない定食でした。ただファラーフェルの後に筑前煮を食べるって、ちょっと不思議でしたね。

そして妻がセサミかトマトで悩んでいたクフタがやってきました。

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キミがクフタか!見ただけで既に美味そうだし、実際美味しい

クフタとは中東、南アジア、バルカン半島、北アフリカなど広範囲で食べられている、ひき肉を使った料理の総称とのこと。しかし地域によっては海鮮や豆を用いることもあるらしく、かなりバリエーション豊富な料理のようです。HABIBIさんのクフタは牛と羊のミートボールにゴマソースがかかっていました。

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思わず飯にバウンドさせてしまうのが日本人。でも飯にも最高に合いますよ

フムスとファラーフェルも食べてたので、すべて完食したらお腹パンパン。でも他にも気になるメニューがまだまだあったので、絶対また来ます。

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ハラール対応鶏白湯らーめんとか…
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外国の方が頼んでたマンディやカプサも気になります

会計の時にお店の方と少しお話したのですが、やはり講道館には様々な国の方が訪れるので、食事に困らないようオープンしたとのこと。

柔道という日本独自の文化が世界に伝播した結果、講道館に訪れた世界中の人が楽しめる飲食店が生まれ、今度は日本人が世界の文化を知るきっかけにもなっている。幸福な連鎖を食の観点から体験できるお店でしたね。


「Nice neck !」

男子校に通っていたのですが、三年間柔道の授業がありました。担当の先生が格闘技の世界では名の知れた人で、授業でやる柔道にしては内容が相当きつく、正直憂鬱でした。

ある日、少し早めに柔道場に入ると、既に先生はトレーニングに精を出していたのですが…

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腕を組んだまま頭だけで前転を繰り返していました

 

「そんなことできるか!」と言われてしまうかもしれませんが、「格闘技は首が命」が口癖の先生で、かのカール・ゴッチに「Nice neck !」と褒められた逸話を持つ人。首だけで畳の上を回り続ける先生を見て以来、私は柔道に対する畏怖の念を強めましたね。

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編集部からのみどころ
石井さん、エビ天の前菜にフムスを食べているんですよね。そんな組み合わせができる店はたぶんここだけではないでしょうか。
柔道がグローバルになって、ヴィーガンやハラルなど世界に通じるメニュー展開をしているのがまさに"柔"って感じがします。首だけで前転するほど丈夫なのに。
さあ、石井さんの記事のおまけはいつものおいしいもの手帖。今回のはすごく好きなタイプのお菓子です。(林)

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はげます会限定連載「石井公二のおいしいもの手帖」第5回~

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