あらゆるものを縦スクロールで見たい
東京タワーはいい感じだったが、もっと拡大して縦にながーくしても面白そうだ。見てみたい。
他に、石油プラントとかセメント工場なんかも詳細に見てみたい。総体として工場だなーとは思うが、それぞれの部分がなんなのか、まったく分からないのだ。各部の名前や役割が分かればいいのになーと思っている。
文中に参考文献として2つ挙げたが、この記事に間違いがある場合は、本ではなくぼくの間違いだ。そっと教えてください。
東京タワーみたいに縦に長いものを、縦スクロールしながらずーっと見たら楽しいんじゃないだろうか。遠くから見たいつもの姿じゃなくて、それぞれの高さにある設備の細部が分かったりしないだろうか。
「The Deep Sea」というサイトがある。深海のようすを縦スクロールでずーっと海底まで見せるというもので、もぐってももぐってもまだ海という感じがとても楽しい。
似たようなことを写真でやりたい。ただの風景も、ものすごい拡大して横幅を画面の幅で切ってしまえば、ずっと縦にスクロールして見られたりするんじゃないだろうか。
たとえばこういう風景。
近所の電柱だ。これを拡大して中央だけを見るとこんなふうになる。
電柱を上から下まで何枚も撮り、貼り合わせて一枚の画像にした。ようするに縦のパノラマだ。
こうやってじっくり見ると、やっぱり電柱ってかっこいい。そこについている設備たちがかっこいいのだ。それらはいったい何で、なぜそこにあるのか知りたくなる。そうでもない?
ぼくはこういうの知りたくなるたちなので、『電柱マニア』(須賀亮行著、オーム社)という本を参考に調べてみた。分かる範囲で名前を書いてみる。
これは楽しい(自分が)。
たしかに電柱って釘みたいなの刺さってるけど、あれ足場ボルトっていうのか。巻いてあるのは自在バンドっていうのか、などと思う。名前がわかるのはそれだけで楽しい。
もっといろんな景色をこんなふうに見てみたい。
風景のなかで縦に長いものはなんだろう、と考えて東京タワーを見に行った。
東京タワーってこういう形をしている。当たり前のようにそう思っている。でもこれは遠くから全景を見たときの形だ。あと知ってるのは、足元から見上げたときの極端に歪んだ形。どっちかだと思う。
そのどちらでもなく、遠くから超拡大して上から下まで全部見るとどうなるだろうか。やってみた。
東京タワー、かっこいい。拡大してもかっこいい。鉄骨だけでなく、いろいろなものがついている。たぶん放送のための設備だろう。でもそれぞれがなんなのかはさっぱり分からない。
一度じっくり見てしまうと、それがなんなのかやはり気になる。そこで、『写真で学ぶアンテナ』(清水保定著、電機通信振興会)などを参考に、いろいろ調べてみた。
そして設備の名前をできるだけ当てこんでみた。
てっぺんにある「スーパーターンスタイルアンテナ」の名前がかっこいい。全体をとらえて「東京タワー」だと思っていたが、そうではなかった。そこにあるのは双ループアンテナであり、スーパーゲインアンテナなどなどだった。
画面の左側に白い字で書いたのは、「かつてそこにあった」ものたちだ。東京タワーには、かつてあったが今はもうない設備がたくさんあることがよくわかる。東京スカイツリーに主な役割を交代したからだ。すっかり忘れてた。
印象に残ったところをピックアップして紹介したい。
てっぺんはこんなふうになっている。一番上には夜中に航空機がぶつからないようにするための灯がある。その下に蝶々の羽みたいに広がっているのがスーパーターンスタイルアンテナだ。上から見ると回転ドアみたいに四方に伸びてるのでターンスタイル。昔はここをNHKがテレビ放送用に使っていた。
スカイツリーができて、NHKのアンテナはそこに引っ越した。いまここを使っているのはラジオの TOKYO FM だ。東京タワーのてっぺんを見てほしい。そこから出ているのはラジオの放送波だ。
ただし、アンテナをそのまま引き継いだわけではない。震災で先っぽが曲がる事件があったりしたこともあり、設備は新しいものに取り替えられている。
すぐ下にあるのが双ループアンテナだ。分かりやすいように、上下2段あるうちの下のほうだけ白くしてみた。丸いアンテナをループアンテナといい、それが二つだから双ループ。ここも今は TOKYO FM が使っている。
その下には、昔は日本テレビからテレビ東京までのアンテナがゲジゲジのようにずらりと並んでいたが、現在ではすべて撤去されてしまった。
真ん中にある黒い線は、上のアンテナに電気を送るためのケーブルだ。
ここのパネルがぐるっと取り囲んでいるように見える部分もアンテナだそうだ。昔はここから地デジのテレビ番組を放送していた。表面に見えているのはカバーで、その奥に双ループアンテナがいっぱいある。
いまは、スカイツリーから地デジの放送ができなくなったときの予備用という運用になっているそうだ。調べているうちに東京タワーにずいぶん感情移入しているので、東京スカイツリーのピンチを東京タワーが救う、みたいな機会が実際にあったら泣くかもしれない。
かつて特別展望台と呼んでいた高いほうの展望台は、いまはトップデッキというらしい。トップデッキより下には各種中継用のパラボラアンテナがいっぱいある。写真のアンテナはFPU(Field Pickup Unit)といって、マラソンなどの実況中継用に向きを変えられるようになっているそうだ。
電波塔としての役割を少しづつ譲ってきた東京タワーの、現在の機能を簡単にまとめてみた。
ラジオは、TOKYO FM のほかに interFM も放送しているそうだ。テレビの放送は予備の役割のほか、中継の役割も持っている。観光施設としては、展望台と足元の商業施設がある。あとは夜中に照明でライトアップすることで、東京のシンボルやランドマークとなる。こんな感じか。
やっぱり調べると情が移ってしまうので、東京タワー、末長く頑張ってほしい、という気持ちになっている。そんなこと言われなくても末長くやると思うが。
東京タワーはいい感じだったが、もっと拡大して縦にながーくしても面白そうだ。見てみたい。
他に、石油プラントとかセメント工場なんかも詳細に見てみたい。総体として工場だなーとは思うが、それぞれの部分がなんなのか、まったく分からないのだ。各部の名前や役割が分かればいいのになーと思っている。
文中に参考文献として2つ挙げたが、この記事に間違いがある場合は、本ではなくぼくの間違いだ。そっと教えてください。
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