神経がより衰弱した
得意ジャンル神経衰弱だが、トランプの神経衰弱よりも神経を使うので神経がより衰弱する。難易度の高いゲームだ。でも、誰もが一度はヒーローになれるチャンスがあるし、得意なことをいきいきと語るきっかけになるので、我ながら良いゲームだと思う。みなさんもよかったらやってみてください。

神経衰弱は認知力と記憶力のゲームである。普段トランプのカードでやるときは数字を覚えればよいが、そうではなく、自分の得意分野だったらどうだろう。きっと、覚えやすくなり、優勝できるはずである。それを試した。
「渡る世間はナベばかり」というカードゲームがある。渡邊、渡邉など24種類の「わたなべ」を収録した神経衰弱カードゲームである。
これは全員平等に過酷なゲームだ。仮にプレイヤーにわたなべさんがいたとしても、神経衰弱に有利になることはほぼないと思う。しかし、自分だけの得意分野で神経衰弱をしたら圧倒的に有利なのではないか。
アイドルに興味のない人が「みんな同じ顔に見える」と発言することがある。そういう発言は興味ある人の怒りを買うのでよくない。でも、「興味がない = 区別がつかない」は真理だと思う。そして、区別がつかないと記号化できないので覚えるのが大変だ。例えば、アイドルを「○○」と名前で覚えるのと、「黒髪ロングの優しそうな顔の人」と特徴で覚えるのとは脳内のメモリ使用量が全然違う。もしもアイドルの顔写真で神経衰弱をしたら、その結果にも影響が出るはずだ。
実際に人を集めて神経衰弱をやった。
友人たちに「それぞれの得意ジャンルで神経衰弱をやるので集まってほしい。あと、事前にカードを作っておくので得意ジャンルを教えてほしい。」と呼び掛け、下記4名での得意ジャンル神経衰弱大会を開催することになった。
まずはせりなさんの得意とする、婦人靴のブランド名で神経衰弱をする。
事前に教えてもらった婦人靴のブランドリストをもとに、カードを作った。
女性参加者が多い中、婦人靴から最も遠いところにいる筆者が一番不利だ。
「コルソ ローマ?」「ロバート、、、クラゲ?」まず、読めない。読めないものは覚えられない。学生の頃、英語の先生が「英単語は発音を意識して覚えましょう。発音できないものは覚えられません。」と言っていたのを思い出す。読み方、大事だな…。
読めないのは筆者だけかと思っていたが、せりなさん以外の女性も「これ読めん…」と言っており、苦しんでいた。過酷だ。仕方なく「Pから始まるアレ」などの覚え方を始めるが、Pから始まるブランドが多すぎて挫折。
結果はこう。
せりなさんが全16ペア中10ペアを獲得し優勝していた。残りの3人が合わせて6ペアしか獲得できていないのもやばい。
仮説にも書いたが、「記号化できる」が重要だと思う。ブランド名が読めない私たちは「ビジュアル系バンドっぽい」「飲料水っぽい」など、脳内で無理やりラベル付けをすることになり、1カードあたりの脳内ファイルサイズが大きくなってしまう。限られた記憶容量の中では圧倒的に不利だ。
次はディズニーランド・ディズニーシーのエリア名で神経衰弱をする。
いわくらさんはディズニーの年間パスを持っていたこともあるので、ガチ勢だ。とはいえ、他の人たちも何回かは行ったことがあるので、勝てる可能性はある。
今度は最初からカタカナなので読める。これは大きい。しかも、筆者も全くの素人ではないのでちょっとはわかる。初めてミッキーと握手したトゥーンタウン、6才のころに乗って絶叫系マシン嫌いの原因となったビッグサンダーマウンテンのあるウエスタンランド。ああ、思い出がよみがえる。
しかし、今回も最も得意な人が優勝
結果はこの通り。
行ったことのないエリアや行ったけどあまり覚えてないエリアはただの横文字になってしまう。そして、「ア」から始まるエリア名や「ランド」で終わるエリア名が多く、油断すると普通に間違える。
ここまで2ジャンルで神経衰弱を行ったが、いずれも得意な人が優勝している。しかし所詮は神経衰弱である。運の要素も大きい。また、前提として記憶力が必要である。筆者も自分の得意分野で優勝したいが、気は抜けない…。
さて、3番目は昔の歌人の名前で神経衰弱をする。
まゆこさんは大学のゼミでは古文の研究をしていたので、圧倒的に有利だ。
「一瞬で全部忘れた」「またこいつか~」など、神経衰弱っぽい会話が飛び交う。
得意な人に豆知識を教えてもらえるのも得意ジャンル神経衰弱の醍醐味だ。
さて、結果は…
10ペアしかなかったこともあり、終盤の連続正解が活きて筆者が優勝した。どのタイミングで順が回ってくるかなど、神経衰弱は運の要素が大きい。
さて、最後は筆者の得意分野、串カツ田中の串の写真である。
筆者は週一で串カツ田中に通っている。前日にも串カツ田中に行った。安くておいしいが、太る。
「これ何?」「ネギ?」「おいしそう」など、神経衰弱とは思えない会話が飛び交う。楽しい。果たして結果は…
筆者は3位。(まゆこさんも1ペアで同率3位だったので、実質ビリともいえる。)
得意なはずがビリだった。おかしい。本来、シルエットで覚えるべきところを得意な人は串の名前で覚えられるので圧倒的に有利なはずだ。記号化がものすごく効いてくる。しかし、得意な人は食欲が増して集中できないという大きな欠点もある。トレードオフだ。
神経衰弱は運の要素もあるが、特にカード枚数が少ないと運の要素が大きくなり実力が発揮しづらい。
トータルで見ると4ジャンルのうち2ジャンルで得意な人が優勝した。ちゃんと評価したわけでないが、「得意ジャンルなら神経衰弱で優勝できる」という仮説はある程度は成り立ちそうな気がする。
得意ジャンル神経衰弱だが、トランプの神経衰弱よりも神経を使うので神経がより衰弱する。難易度の高いゲームだ。でも、誰もが一度はヒーローになれるチャンスがあるし、得意なことをいきいきと語るきっかけになるので、我ながら良いゲームだと思う。みなさんもよかったらやってみてください。
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