キリストの墓の前にキリストラーメン
まずキリストの墓に向かうが、その近くにはキリストラーメンを出す店がある。
同行者含めて4人がキリストラーメンを頼んだ。
「キリスト4つ!」
厨房に伝える声が聞こえた。一神教が揺らぐ。
ラーメンは醤油味でナガイモと大きな梅干しが入っている。王道の醤油味のスープがやさしく、そしてナガイモがしゃきしゃきして美味しい。なぜならこのあたりはナガイモの産地で、道沿いにもナガイモの畑があった。私には分からないがVISITはちのへの人に教えてもらった。
キリストラーメンに地産地消が入っている。
お店のご主人に聞くと、以前は別の店でもキリストラーメンを出していたという。キリストラーメンはこの店の独自のものではなく、複数の店で出すメニューだった。
キリストラーメンの特徴であるお麩でできた六芒星は以前は十字架だったそうだ。ただ、お店で働いていた外国人店員から、それは食べてはだめだとのことで六芒星になったとのこと。
今回、エピソードひとつひとつに力があるのであまりつっこまずに淡々と書いていきます。
そしていよいよキリストの墓に向かう。
キリストっぷ
キリストの墓は八戸から西に36km離れた新郷村にある。公共交通機関はない。今回はキリストの墓の近くで土産物屋を開いている平葭(たいよし)さんに案内してもらえた。
お店の名前やTシャツにいちいちつっこむとこの原稿が2万字ぐらいになるのでなるべくスピーディーに進みます。でもこのTシャツは買いました。(シンとゴウムラのあいだの中黒が十字架になっている)
冗談のような、というか冗談そのものの名前だが、つるつるして美味しいおそばだった。さっきから地元の素敵な名産品が惜しげもなく冗談になっている。
近頃はキリストの墓にもインバウンドの観光客が来るそうだ。この日もイギリスからやってきたという観光客がいたが「せいんちゅ」の冗談の完成度の高さは通じにくい。
キリストの墓へ
キリストっぷから数分歩き、キリストの墓の近くで平葭さんの案内を聞く。
ここでは年に1回キリスト祭りが開催される。祭壇が組まれて神社から神職が来て慰霊祭を行うそうだ。最初は牧師さんを呼んで賛美歌を歌ったらしいが、地元の人から「なんかしっくりこない」ということで神式になったとのこと。
平葭さん「でも頼まれた宮司さんも『さて困った、キリスト用の祝詞がない』ってなって。でも、ほかの宮司さんと相談してオリジナルの祝詞を作った」
祝詞を作った宮司さんの孫がいまでもその祝詞で祭事を行っている。
冬になるとキリストの墓にはリースが飾られるそうだ。
平葭さん「お供え物もされるんですよ。パンとワイン。パンは食パン一斤。でも誰がお供えしているのか分からない。伝承館(近くにある資料館)は11月までなので、その管理者ではない。」
奇跡めいた話だがパンが食パン一斤というところに話の強弱がある。
平葭さん「世界征服とか書かないでくださいね。ピラミッドパワーで叶っちゃうから」
お金持ちになりたいはいいか聞くと
平葭さん「それなら大丈夫」
とのことだった。絵馬はキリストっぷで販売中だ。
ここで改めて説明すると、新郷村のキリストの墓はこのような伝説に基づいている。
ゴルゴダの丘で磔の刑にされたのはキリストの弟のイスキリであり、難を逃れたキリストは苦労の末にこの土地にたどり着き、106歳まで生きた、そういう伝説である。
一般的に知られているキリストの話とは異なる。
この話の元になっているのが竹内文書と呼ばれている戦前の歴史書で、学術的には偽書とされている。(竹内文書の真偽や内容については本記事では深入りしないので興味のある人は自分で調べてください)。
私も竹内文書を信じているわけではない。ただ平葭さんの話を聞いているとちょっと考え込んでしまうのだ。信じるようになったわけではない。ただ、どっちでもいいというか、真偽を気にすることの野暮さというか、あいまいにしておくという選択肢があるような気がしてくるのだ。
平葭さんも「竹内文書は都合の良いことに焼失してしまっているんですよ(笑)」「お墓の横を流れている沢は聖水です」「イスラエルに招待された人がこの景色に似ていると言ってました。ただ話を盛る人なんですが(笑)」など信憑性にメリハリをつけてくる。
ちなみに弟が身代わりでばれなかった理由は恐山でキリストを降ろして聞いたそうだ。
白黒はっきりせずに、曖昧なままにしておくという選択肢もある。一緒にして良いのか分からないが、河童の話を聞いたときの気持ちに近い。そのぼんやりした気持ちはこのあとどんどん強くなっていく。
次は自由の女神だ。


