かなり北だぞロヴァニエミ
さて、ロヴァニエミは北極圏にある街だ。…ということも街に着いてから初めて知ったことなのだけど、とにかく日が沈むのが遅く、運が良ければオーロラが見えたりする(ここからさらに北上したほうが見える確率は上がる)。オーロラ目当ての観光客も多いようだ。
サンタクロース村内にある北極圏を知らせる碑
村では本物のサンタクロースに会うことができ、ふくよかな手で握手もしてもらった。存分に満喫した!さあそろそろと街に戻って昼食を食べよう。
日本から持ち込んだガイドブック曰く、ロヴァニエミには世界最北端のマクドナルドがあるのだという。世界で最も北にあるマック!それは行かねばなるまい。
最北端だと思ったんだ
そのマクドナルドは街から少し離れたところにある。バスから降り、しばらく歩くと「マクドナルド ロヴァニエミ店」が見えてくる。
あった、いつものロゴ!けっこう歩いたぞ
心を高鳴らせて歩く。この右に見える大きな道路を渡るのが難しくて変に遠回りになった。恐らく歩いて向かう場所ではないのだ。そりゃあ世界最北端だものなあ。
多分変な方向から近づいてしまったので砂利道ですが、オモテはちゃんと舗装されてます
店舗の前で記念撮影
さて、こんな嘘みたいな青空の下で浮かれて撮影をしている過去の自分に悲しいお知らせなのだけど、実はこのマック、2024年9月の時点で「世界で2番目に北にあるマクドナルド」になっていたのだ。
というのも、現在世界最北端のマクドナルドは2024年4月に開店したノルウェーのトロムソ店らしい。今この記事を書きながら念のため事実確認したところ発見してびっくりした。そうかー。
見て、しっかり「最北端」と記されている
待てよ、とガイドブックを裏返し発刊日を確認する。2024年3月1日初版発行。トロムソ店の開業は2024年4月。・・・あー、すべて理解。これはもう誰も悪くない。
ロヴァニエミも相当北にあるけど、トロムソの位置を見ると圧倒的すぎて諦めがつきますね
というわけで、ここからはこの店を世界最北端だと思い込んでいる人間のマクドナルドレビューです。
ほぼ世界最北端のマクドナルドへ行ってきました
店内は特に何の変哲もないマック。というか、かなりきれい!
フィンランドは”北欧”のイメージ通り建物やインテリアのデザインがどこも洗練されており、歩いていて楽しい。ロヴァニエミ店もそれに違わず、マクドナルドの雰囲気は保ちつつ、おしゃれで広々とした居心地の良い空間だ。
とはいえあまりに普通のマック然としている。何か最北端である証はないのか…?と周りを見渡すと、レジの横にちょこんとラックが置かれていた。
これは自由に取っていいやつだな
近づいてポストカードを1枚手に取ると、そこにはロヴァニエミから観測されたオーロラの写真に「The Original Northenmost McDonald’s」の文字。
「元祖最北端のマクドナルド」。元祖かあ、今となっては気づいても良さそうなタイミングだ
そんな世界で2番目のマックにいる筆者が頼んだのは、McFeastというメニューのライ麦パン版のセットだ。
この店舗限定、ということではないのだけれど、フィンランドのマックではバンズをライ麦に変えることができるのだ。せっかくならこれを食べよう。
このようにしっかり黒い
そしてバンズが薄い
McFeastは海外ではメジャーなメニューなのだろうか。ビーフパティにスライスチーズ、玉ねぎ、レタス、トマトといった野菜にバーベキューソースがかかっており、香ばしい。
ライ麦のバンズは薄く、しっかりとした歯ごたえと酸味がある。へぇ~と思いながら咀嚼する。うむ、普通のバンズのほうが好きだな。
最北端じゃないマックナゲット。黄色い?なぜか天ぷらのような味(とり天に近い印象)がして美味しかった
何ならデイリーポータルZの企画会議で「世界最北端のマックに行ってきたんですよ」って話したなぁおれ。あのときの皆さんすみません、おれは地球規模の嘘をつきました。
最北端じゃないディップ。ガーリックソースと確かマスタード。日本のディップよりさらに大きくて使い切れない
写真を見返しても、最北端じゃないんだなあと思う。一応行く前にざっとは調べたんだよ。でもほとんどのページで「最北端のロヴァニエミ店」と書かれている。要はそれだけ長い間、最北端の店でいてくれたのだろう。
がっかりはしていない、ただちょっとびっくりしたのだ。そういう旅だった。
ゴミ箱もKIITOS(ありがとう)と言ってました
フィンランドのバスで踊る
フィンランド人は一般的にヨーロッパの中でも控えめで奥手な人柄だと言われているらしい。確かにあまり声の大きな人たちは見かけず、でも道は必ず譲ってくれるなど、シャイで親切な人達だと感じた。
唯一テンションが高かったのが行き帰りで利用したバスの運転手で、彼は公共バスを私物同然の扱いで運転し、低音がズンズンと響く曲を大音量で車内に流していた。絶対あれ勝手にやってる。
彼は乗客が我々だけになったことに気づくと、日本でも一時期ブームになった『Dragostea Din Tei(恋のマイアヒ)』をかけ「お前たち、最前列に来い!踊ろうぜ!(意訳)」と促してきた。北限の陽キャ。
流されるままに恋のマイアヒを歌い、我々はフィンランドのバスの最前列で踊った。世界で2番目に北にあるマクドナルドにつく30分ほど前の話だ。
ロヴァニエミは夜8時半でもまだ明るかった
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