北欧の老若男女に人気があるという謎の飴
サルミアッキは薬草のリコリス(甘草)から抽出した成分を配合したお菓子。…と言われてもそもそも筆者はリコリスに馴染みがないのでしっくりこない。
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まずいまずい、という話はよく聞くが、北欧では根強い人気を持つ伝統的な飴だという。「こりゃまずいね!」というリアクションでまとめるのは簡単だけど、きっとそれだけでは片付けられない魅力があるはずなのだ。
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ここには10人の日本人がいる。サルミアッキは本当にまずいのか、おいしいと感じる人もいるのではないか。それを確かめてみたいと思い、フィンランドから13時間かけて持ち帰ったのだ。
しょっぱい、辛い、中華、出汁…え、みんな同じもの食べてる?
会議室の白いテーブルを囲うように立ち並び、時計回りで一人ずつサルミアッキを口に入れていく。
最初に出たリアクションは鈍かった。
一人目 まいしろ(まずい9:まずくない1)
まいしろ:食べちゃいけないものを食べた感じ…すごく…まずい。
北向:何味ですか?
まいしろ:なんか、なんだろ…え、なにこれ?
北向:ずっと混乱してる!
トップバッターのまいしろさんは困惑した様子。かなり苦手だったようで、撮影の最後までずっと舌を出して味を逃がしていた。
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実はこの撮影は「みんなのうまいものを持ち寄る回」に忍び込ませてもらったものだ。そんなハッピーラッキー企画回にえらくピーキーなやつを持ち込んでしまった。
二人目 伊藤(まずい8:まずくない2)
同じく芳しくない様子の伊藤さん。
伊藤:力強い不味さがある。あ〜なにこれ!
健康には良さそう…自信がある不味さだ。
伊藤:溶ければ溶けるほど力を発揮してくる。
まいしろ:一口目が一番マシ。
伊藤:味覚をずっと上書きしてくる…。
後を引く不味さだという、伊藤さんの饒舌が止まらない。”自信がある不味さ”って一体なんなんだ。
のっけからざわついているが、サルミアッキは決して初めからゲテモノ感を楽しむために作られたお菓子ではない。というのも、この飴を作っているFazer(ファッツェル)社は1891年に創業されたフィンランドを代表するお菓子メーカーなのだ。
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それでもやっぱり日本人には受け止めるのが難しい味なのだろうか…そんな空気が漂う中、一筋の光が差し込む。編集長(林さん)という光だ。
三人目 林(まずい3:まずくない7)
林:刺激臭がしますね。
西村:塩化アンモニウムが入ってるんですよ。
お菓子に塩化アンモニウムを入れるという発想、ないよな。どういった経緯があったのだろう。
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林:薄暗い中華の食材屋に来たみたいな…まずみがメタリックなんです。でも、おれはわりと好きかも。けっこう平気、出汁みたいな味してくる。
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まずさを評価しながらも先の二人とは印象が異なるようだ。
四人目 べつやく(まずい2:まずくない8)
べつやく:しょっぱくないこれ?
しょっぱいのも塩化アンモニウムのせいのようだ。しょっぱいし臭い。
べつやく:中華屋の味わかる…中華のスパイス。あ、辛い(からい)ですよ。
石川:みんな違うこと言うから全然わからない!
そう、あらゆる感想が出てきてしまってる。
臭い、しょっぱい、辛い、中華、出汁のよう…頭の中で具体的な味を思い描けないまま、食前の人々がひとしきり困惑している。
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べつやく:あ、でも慣れたらいける。ちょっとこれクセになる感じわかる。
べつやくさん曰く「海外の人が梅干しを食べたときみたいな、慣れないものを食べた時の違和感があるのかな」とのこと。
林さんはもう一個箱から取り出し食べている。うまいまずいの勢いはこれで完全に五分五分だ。どうなんだ、ここはグルメな印象のある三土さんに委ねてみよう。
五人目 三土(まずい9:まずくない1)
三土:あ、なるほど!
西村:三土さんはいける口?
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三土:意外といけると思ったんだけど、想像よりはあんま好きじゃない。
全員:笑
三土:匂いは普通だったから、いけると思ったんだけど…本当のこと言うと好きじゃない。
手に持っている分には臭くない。ただし食べると臭い。答えはサルミアッキだ。
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