鉄道模型コンテストとは
鉄道模型コンテストは、8月初旬、新宿の住友ビルの三角広場とよばれるでかい広場で3日間にわたって行われる。
参加校は今年でいうと約200もある。それだけあると広場もぎゅうぎゅうである。
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なかはこんな感じ。学生の作った模型が隣り合って並べられていて、模型のそばには各校から数名の学生が来ていて、来場者に説明している。
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作品はこんな感じ。模型のなかに必ず線路が設置されていて、線路の両端の位置は決められているので隣の学校と繋がるようになっている。そこに模型の電車が走るのだ。コンテストなので、これらのなかから各賞が選ばれ、最終日に表彰される。
と、こんな感じである。
わが家は、息子が鉄道好きで鉄道研究部という部活をやっていた関係で都合6年間この会場に毎年通った。しかし今年の夏で部活を引退したのでもう来ることはない。せっかくなのでこれまで見てきた思い出や素晴らしい模型、コンテストの見どころなどを紹介したい。
どんな人が来るのか
コンテストに出展する学生はだいたいが鉄道研究部や、模型部のような部活に所属している。ようするに鉄道好きか模型好きである。
いっぽう来場者はどんな人が多いかというと、圧倒的に小学生男子とその親である。模型が置かれた台の高さがちょうど子供の目の高さとあうので、子供たちは顔を近づけてじっと見る。親はちょっと離れてそれを見ている。
線路はNゲージになっていて、模型車両が走っているので電車も定期的にやってくる。鉄道好きの子供たちにとっては大興奮なわけである。
しかし親は鉄道よりもその後ろにいる学生に注目していたりする。東京を中心として全国からたくさんの学校が参加するので、受験を考えている高学年の子を持つ親にとっては、学生さんの雰囲気を知る一端になるのだ。
わが家も6年前にそのような目的で来場したところ、翌年から出展する側の親になったというわけである。
どんな作品があるのか
展示される鉄道模型はじつのところ多種多様なのだが、それでもいくつかに大別することはできる。自然派、都会派、建築派、ファンタジー派などである。それぞれ例を紹介したい。
自然派
たとえばこれは兵庫、灘高校の鉄研(鉄道研究部のことを「てっけん」と言ったりする)の模型だ。中部地方の山間部をイメージして作ったという。山と川を作り込んだこういう模型をここでは自然派と勝手に呼ぶことにしよう。この模型では背景として風景写真のボードが立てられていて、奥行きも感じられる。
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遠景と近景で印象がまったく違う。よくできた模型は、覗き込むとそこに世界が広がっている。川の青い色がとてもきれいで「鉄路よ、翠渓を拓け」というかっこいいタイトルにつながっている。制作は25名で期間は1ヶ月とのこと。
灘高校は受賞の常連で、この作品もベストリアル情景賞などを受賞している。
都会派
都会の景色を作り込んだものもある。これは鉄道で知られる東京の岩倉高校の模型だ。広島の街の風景。
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路面電車の停留所や原爆ドームなどが表現されている。建物をどんな素材で作るかについてもプラスチック板、紙、3Dプリンタなどの流派がある。
ここでは、手前の建物はプラ板で、奥の原爆ドームは3Dプリンタで作られているようだ。この模型は最優秀賞を受賞している。
建築派
とにかく建築が主役の模型もある。岡山理科大附属高校ではなんと科学部が出展していて、毎年すごいお城を作る。全景だと、鉄道はわりあい無理やり通っている感じがしていい。お城が作りたいんだなと伝わってくる。
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近景だとこう。リアルな石垣に城壁。人はマッチ棒の先に着色したもので作られている。
ジオラマ用に人間の模型も売っていたりするのだが、そういうのはやたらと高い。だからみんないろいろと工夫するのだが、この学校の工夫はすばらしい。本当に人に見える。
この模型はその年の優秀賞を受賞している。
ファンタジー派
南極のペンギン帝国がテーマだそうだ。図書委員のマスコットキャラがペンギンであることに由来するらしい。図書委員という響きがいい。尊い。
雪の表現は難しい(のっぺりしてしまう)のだが、それに果敢に挑戦している。
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横から見ると、地下にペンギンたちがおそらく図書室を作っている。ファンタジーである。もはや鉄道はほぼ関係ない。
この模型は「ベストファンタジー賞」を受賞している。

