こういう夏もあるのだ
うちの子は毎年これの準備のために、モデルとする場所にみんなで行ったり、コンテストの1ヶ月くらい前からはみなで部室にこもって服を汚して帰ってきたりした。えらい。
大人としては、どの作品も完成しただけですばらしいと思ってしまうが、子どもたちは本気で、賞を逃すとくやしくて泣いたりする。そういうことのすべてが羨ましいと思う。
部活を引退したうちの子はもうこれに参加することもなく、こうやって子育てが終わっていくんだなーという感じがある。
模型の展示と現場での説明だけでなく、ステージでのプレゼンも各校数分間ずつできることになっている。
たとえばこれは長崎の学校のプレゼンのようす。被爆で壊れた「一本足鳥居」をモチーフに模型を作った。写真左側が模型で、中央が実物だ。ほんとによくできてる。左側が実物かなと思うくらいだ。
一方こちらは、ドアの色を塗り分けてよりリアルにしたという説明だ。ドアはこのプレゼンだと大きく見えるけど、
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実物だとこれなのだ。小さいし、みんな奥の家のほうを見るだろうし、現場だとなかなか見てもらえないかもしれない。
こんなところをがんばって作ったので、小さいけどぜひここを見てほしい、というようなことをプレゼンの場では訴える。みんな堂々としていてしっかりしたものである。
個人的にぐっと来たものを紹介したい。作った学生の方たちに、すごかったぞと伝えたい。
なんといっても左側に空いた穴である。
東京・飯田橋交差点前が再現されている。地下鉄や神田川、首都高などの流れが交錯するようすを表現したという。こういうふうに模型の一部に穴を開ける技法は、たしかに科学館とか博物館ではたまに見る。すごいプロっぽい。
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いくつ路線があるんだ。大江戸線と南北線と東西線かな?もう一個あるな。よく分からないくらいすごい。
全景だと、首都高の路面はあえて省略されている。こういうのって階層構造を表現したくなるから、地上2階にあたる首都高を架けたくなるところだと思う。しかしそれだと見づらくなるからあえて省略して橋脚だけにしたと言っていた。大人すぎない?
そして地面の地層も実際の東京の地層を参考にしたそうです。賢いのお・・。
こちらは「東京幻想」 というタイトルのファンタジー系。朽ち果てた東京をイメージしたものだそうだ。たしかにそういう発想はたまにあるのだが、これは完成度がハンパではなかった。
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見てくれこれを。脱線して朽ちた車両。よく見るとその右側、水の底にうっすらと線路があるのだ。
鉄道模型コンテストなのに、あえて線路を、言われないと分からないところに配置する。にくい。にくすぎる。そしてこの全体的な朽ちた表現のうまさ。
ここはすべてが渋い。まずテーマが「交流電化発祥の地 JR仙山線作並駅」。いい。分からなさがいい。
「初夏の作並 登山客と観光客で賑わうその駅には 鉄道史に刻む大きな挑戦の記憶が残っていた」
説明文にはこうある。この光景には、わかる人にはわかるぐっとくるポイントがあるんだろうなと思う、そのことにぐっとくる。
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なによりこの荒涼感。土地の寂寞たるようすが最高である。
他の模型を見ていて感じるのは、スペースが空いていることはなかなかないということだ。たぶんなにか置きたくなるんだと思う。
しかしここでは悠然と、ただ空いている。いや、実際は空いているのではなくて、そこに土と植生と空間を表現している。一畳の大きなスペースを使ってだ。見ていると静かな気持ちになる。
最後はこれだ。この学校はこの路線で作っているのをよく見かけて、大好きである。
いわゆるリアルな情景とは違い、作りたいモチーフを詰め込んだ構成になっている。
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横浜だからロープウェイもあるしランドマークタワーもあるし、ベイブリッジもある。よく見ると赤レンガ倉庫もある。
審査員をうならせるリアルさとは違うかもしれないが、自由だ。作りたいものを作り、そして表現している。こうでありたいと思う。
うちの子は毎年これの準備のために、モデルとする場所にみんなで行ったり、コンテストの1ヶ月くらい前からはみなで部室にこもって服を汚して帰ってきたりした。えらい。
大人としては、どの作品も完成しただけですばらしいと思ってしまうが、子どもたちは本気で、賞を逃すとくやしくて泣いたりする。そういうことのすべてが羨ましいと思う。
部活を引退したうちの子はもうこれに参加することもなく、こうやって子育てが終わっていくんだなーという感じがある。
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