私の中ではマフラーは織るもの
内田潤子さん:機織りが好き
――手芸について完全にうといものでして、そもそも機織りってどういう趣味なのでしょうか。糸から布を作る……?
内田さん
そうですそうです。よく「編む」と間違えられますが、「織る」です。タテ糸とヨコ糸で出来ております。
ちなみに、タテ糸は「経糸」と書きます。ヨコ糸は、「緯糸」。
――緯度経度だ!
内田さん
緯度経度! そう!
地元が繊維の街なので近所で買ってきた毛糸を使って、それを布にしていきます。マフラーとか、コースターとか、タペストリーとか。紐とか。
――できあがりとしては布でありながら、素材と言うよりすでに作品なんですね。
内田さん
私の場合ですが、服の生地を作るって感じではなくて、はじめに「マフラー織るぞ!」と決めてから計画たてて作り始めます。私の中ではマフラーは織るものなんです。


もはやこれは建設中の家
――織機で織っていくんですよね。まさに鶴の恩返しみたいな機械がご自宅にある……?
内田さん
そうですそうです。鶴の恩返しは日本の機なので小さめですが、わたしのはデカ目です。
――えっ! 鶴のでも十分大きいかなと思ってたんですが、それよりも大きい……? どれくらいあるんでしょうか。
内田さん
幅は150cm、高さ200cm、奥行きも150cmくらいです。

――すごい! もはや建設中の家!
内田さん
部屋がひとつ潰れてます。
――引っ越しとか大変じゃないですか……?
内田さん
結婚したときに一度実家を離れたのですが、その時は置いて行きました。車で通える距離だったので、通いながら織りましたよ。バラバラにして運べなくはないのですが、場所が居るので……。
今は、夫と一緒にわたしの実家で敷地内同居しているので安心です。作業的に。
実家が田舎でよかったです……。
――どういうきっかけではじめられたんですか。ここまでの大きさのものを導入するに至った道としては。
内田さん
大学が芸大で、そこのテキスタイル科に進んだんですよ。1~2年生の時、色んな科を見て、機織りすごい! となりまして。
始めは卓上の小さい織り機を買ったのですが、やはり大学で使ってた大きいのが欲しくなり……バイトして。卒業して2、3年で買ったような……。15年くらい家にありますかね。
織るまでの準備に1日
――一つの作品を仕上げるのに、大きさによるとは思うのですがどれくらいかかるものなんでしょうか。
内田さん
マフラーだと、準備に1日、織るのに1日、仕上げに1日という感じでしょうか。
3本分まとめて織ったりすると、もっと時間かかりますが。昔は、1日でガッツリやってましたが最近は集中力と体力が続かないので、日を分けてやってます。
――織り始める前の準備に1日……す、すみません……それは……何をやっているんでしょう。
内田さん
タテ糸を同じ長さに揃えたり
内田さん
一本一本、通したり…
内田さん
織り機のセッティングをしたり…
――めっちゃやることがある……!
内田さん
色々と…色々とあります! 実は、準備6割だと思ってやってます。織るのは楽しいだけなので!
――織る時点で達成感~!という感じですか。
内田さん
織る作業は、織り始めだけちゃんと計画通りの模様が出るかドキドキして始めるのですが、途中は同じことの繰り返しなので「無」になったり、次のマフラーの計画を頭で考えたりしてます。順調にどんどん進むと嬉しいです。
糸を買う手が止まらないが持ってる糸を使い切りたい
――織りながら次の計画をもう考えるの、好きさが表れまくってますね。朝ごはん食べながら昼ご飯のこと考えるみたいな……。
内田さん
ですね。模様は準備の段階でほぼ決めてあるので。今年に入ってから、2ヶ月ほどずっと作業してたのですが、止まりませんでした。
織りたすぎて、糸を買いすぎる癖が治りません。
糸の問屋さんが近所にあるのも、続けられている理由ですね。めちゃくちゃ安いんですよ。
でも、今買わないと無くなるかもしれない…っていう思いにより買っちゃうんですよ。
――糸愛がすごい。今後の野望はなにかありますか?
内田さん
今、持ってる糸を全て使い切りたい……。
――買いすぎてしまうのに使い切りたいというアンビバレンツ! ど、どれくらい持ってらっしゃる……??
内田さん
押入れに入りきらなかったものは、壁の棚に並んでますね…。何十キロとありますね(糸は、グラムで買います)。織るだけじゃ終わらないので、ポンポンにしたり、アクセサリーにしたり、、、でも、また買うのでエンドレスです。

――モチベーションの源泉が「在庫」なの、ガチの趣味人ならではですね。
内田さん
素材見てるだけで、想像膨らんで幸せですね……。
趣味の人の沼はいつもアンビバレンツ
好きすぎて、見ているだけで幸せな材料の糸。買う手が止まらないけれど、今持っている糸を使い切りたいという気持ちもある。
趣味が高じた人の沼はいつもアンビバレンツです。
作品はこちらから見られますどー。現在自粛中なもののこちらのマルシェにも出店しているそうです。編んだのではなく織ったマフラーに興味のある方はぜひ!
・木暮らし市場
・東別院てづくり朝市
内田さん、ありがとうございました!
続いての趣味は「小屋作り」。なんと趣味で小屋を作り出してしまった人がいるのだ。
当サイトのゲーム製作担当として数々の名作を作り出してきた、荻原貴明さんだ。