黒豆の本場
お節料理のメインは何だろうと考える。それぞれにメインに据えるものがあると思うけれど、私は黒豆だ。私は子供の頃からお節の黒豆が好きだった。厳密には黒豆の煮汁が好きだった。甘くて美味しいからだ。
最近は黒豆茶もよく見かけるようになった気がする。自動販売機でも売っているし、無印良品でも黒豆茶は売っているので、見かけては買って飲んでいる。自然の甘みと言えばいいのだろうか、とにかく美味しくて好きなのだ。
そんな黒豆を生産している有名な地域は北海道と近畿地方。品種も異なり、北海道は「光黒」などで、近畿地方では「丹波黒」などになる。フジッコのおまめさんシリーズを見ても、その2つでそれぞれ商品が出ている。
私は九州出身ということもあって、黒豆と言えば「近畿地方」、丹波黒ということになる。丹波黒は兵庫県と岡山県で栽培面積の80%を占めている。市町村別で見ると、丹波篠山市がもっとも多い。つまり丹波篠山市が黒豆(丹波黒)の中心と言える。
黒豆を堪能する
黒豆が好きなので、丹波篠山市を訪れてしまった。特に最近は黒豆茶をめちゃくちゃ飲んでおり、黒豆ブームが私に来ている。行かない選択肢はなかった。丹波篠山市は兵庫県にあり、黒豆だけではなく、栗や小豆、山芋なども特産品として有名だ。
1730年に刊行された「料理網目調味抄」にもこの地域の黒豆が登場している。古くから黒豆を育て評価されていたことがわかる。ちなみに黒豆が日本で栽培されるようになった経緯はわかっていないけれど、931年くらいに編纂された「和名類聚抄」では大豆と黒豆を区別していたようなので黒豆自体の歴史は古い。
丹波篠山市を車で走っていると、畑に黒豆が植えられていた(そういう時期だった)。私の知識では植えられた状態では、それが白大豆なのか、黒豆なのかわからない。この地域ではどちらも育てているはずだから。でも、農家さんに聞いたから間違いない。これが黒豆です。
このような景色が丹波篠山市に広がっていた。物産館に行けば、黒豆を使った多くの商品が並んでいた。人生でこんなにも黒豆の商品を見たのは初めてだったかもしれない。それほどにあった。もちろんいろいろ買った。
どの商品も美味しかった。黒豆は普通の大豆よりも大粒で甘みがあるように思える。さらに素敵なものが売られていた。冒頭に黒豆の煮汁が好きと書いたけれど、同じような人がいるのだろう。その需要を100%叶えるものだ。
子供の頃を思い出すと、母がお正月用に圧力鍋で黒豆を煮ていると、豆はいいから汁だけ飲ませてほしいとお願いしていた。今は黒豆も好きなのだけれど、煮汁は思い出もあり特別なものに感じる。それは私だけではなかったということだろう。
黒豆を食べる
丹波篠山市に「黒豆の館」という施設がある。黒豆の商品が並ぶ施設だ。先の商品の一部はこの黒豆の館で買ったものだ。またレストランも併設している。このレストランが最高なんです。もう書いてしまいます。最高のレストランです。
田舎バイキングは平日70分(10月は60分)、土日祝は60分で1600円という値段になっている。ここには多くの黒豆を使った料理が並ぶ。それ以外もあるのだけれど、どれも素朴で美味しい。いい意味の素朴。めちゃくちゃ美味しいのだ。
私が訪れた日は、「黒豆そば」「黒豆のガレット」「黒豆とこんにゃくの炒め物」「黒豆煮」などが並んでいた。お皿に取る喜びはすごかった。よく考えると私は「黒豆煮」と「黒豆茶」くらいしか黒豆を知らなかった。いろいろな料理があるのだ。
黒豆以外にも鶏の唐揚げや天ぷら、地元の生卵などもあり、1600円でいいの? という嬉しい困惑があった。マジで美味しいの。もちろん黒豆がたくさんですから、黒豆を現地で堪能したいならここだと思う。
大正ロマン館では黒豆のソフトクリームを食べることができる。黒豆は乳製品とも相性がいいようで、甘いソフトクリームに深みと和の甘みを生み出していた。美味しい。とても美味しい。黒豆は美味しいのだ。


