出場したい
観るだけでも相当楽しかったが、出場したらもっと楽しいと思う。しかしそんなに簡単な話じゃないこともわかっている。でもいつか出たいな……。
今年で31回目を迎える、狛江古代カップ多摩川いかだレース。観に行ったところ凄まじい熱狂だった。
狛江でいかだレースが行われるらしい。多摩川大好き人間としてこれは観に行かねばなるまい。
事前にWebサイトで調べたが午前10時開始という情報しか載っていない。あまりにも情報が無さすぎる。
わりと楽しみにしていた開会式を見逃していたことが判明。10時に開会式だと思っていた…。でもお祭りって自分の参加できる範囲で楽しめれば良いので、ここから全力で楽しみたい。
配布資料によると、レースに参加の86チームがいっせいにスタートするのではなく、第1レース7チーム、第2レース7チーム、…という風に10分おきに7チームずつスタートするようだ。そして、タイムで総合順位を決める。
準備の間、各チームの意気込みがアナウンスされる。2号艇の警視庁 調布警察署チームは無事安全にゴールすることが目標だという。さすが警察。
撮影していると、後ろの観客 (おそらくレース参加者だろう) の会話が聞こえてくる。それによると、船を川に浮かべる瞬間がもっとも転覆しやすいらしい。せっかく作ったいかだがスタート前から転覆するのは悲しすぎる。どうかみんな無事にスタートしてほしい。
手前の7号艇には、開会式にも参加したらしい谷本歩実さん(2004年アテネオリンピック・2008年北京オリンピック柔道63kg金メダリスト)とダニエル・カールさん(タレント・美しい多摩川フォーラム副会長)が乗り込む。会場は大いに盛り上がる。
そしてスタート。
特に前触れもなく、いきなりスタートの合図が鳴った。競馬みたいに枠入り完了とともに急に始まるタイプ。
後ろの観客の会話によれば、インコースは不利らしい。正直どっち側がインコースなのか確信が持てないが、川の蛇行からして奥側だと思う。
~1分後~
なんかいいな~、この感じ。地元に愛されるイベントだ。
スタート後の混戦がひと段落したところで、いかだと並走するように地上を移動してゴール地点へ向かう。
土手や川岸には狛江の消防団が何人も配置され、頻繁に無線で連絡し合い、万が一の事故に備えている。 安心だ。
参加者の家族が地上から声援を送るのが聞こえる。がんばれ~!
このあたりは水深がかなり浅く、「漕ぐ」より「押す」のほうが速いと考えたチームもいたようだった。
それにしても、あんなにスタートの良かった7号艇「美しい多摩川フォーラム号」 が見当たらない。どうしちゃったのだろうと思いながら一足先にゴール地点にたどり着いたところ、
正直、「大人げないな」と思ってしまった。まだはるか上流で6つのいかだがワイワイ楽しく混戦模様なのだ。
しかし、後にこれこそが多摩川いかだレースなのだと気づかされる。エンジョイ勢もいれば、レースガチ勢もいるのだ。
結果的に「美しい多摩川フォーラム号」は全レース含めた総合順位では18位だった。上には上がいる。全然大人げなくないし、むしろ本気で戦う姿がすばらしい。レースガチ勢同士のタイム争いも見ものだ。
さて、「美しい多摩川フォーラム号」のゴールから10分が経ったところで、続々と第1レースのいかだがゴール地点にやってきた。
ゴール地点で観ていたおじさんが「昔はもっとボロボロのいかだが多くてたくさん沈んでたけど、最近のいかだはみんな立派だな」と話していた。 いかだも進化しているのか。
ゴール地点で待っていた家族が参加者にねぎらいの言葉をかける。無事にゴールできて何よりだ。
ゴール地点で待っていると、第2レース以降のいかだも次々とゴールしてくる。みんな楽しそうだ。
猛暑の中いかだを漕ぐのは大変だっただろうし、もっと言えば、いかだの準備期間も含めて相当な手間がかかっていることだろう。ゴール地点は各チームの今年のいかだプロジェクトが完遂する瞬間である。みんな達成感に満ち溢れていた。このあと飲むビール、絶対うまいだろうなぁ。
いいイベントを観た、と思った。
観るだけでも相当楽しかったが、出場したらもっと楽しいと思う。しかしそんなに簡単な話じゃないこともわかっている。でもいつか出たいな……。
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