特集 2021年4月14日

「たけのこの里」を大きくしてリアル・タケノコサイズにする

私の住む京都市は近郊にタケノコの名産地を抱えることもあり、4月になるかならないかのこの時期になると、スーパーの店頭にその日の朝に掘り出されたばかりのタケノコがごろごろと並ぶことが多い。

ところで、日本人でたけのこの里を知らない人は滅多にいないと思う。きのこの山とよく対比される、日本国内に限れば本物のタケノコに迫るほどの知名度を誇るあの菓子である。

先日、例によってスーパーでタケノコゴロゴロの光景を見ていて、たけのこの里もこのくらい大きければ食べ応えもあり愉快なのではないかと思った。

変わった生き物や珍妙な風習など、気がついたら絶えてなくなってしまっていそうなものたちを愛す。アルコールより糖分が好き。

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たけのこの里はそれほどタケノコに似ていない

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たけのこの里でございます。

ビニール袋に入った徳用サイズもあるけれど、私は断然この紙箱派だ。うまく言えないけれど、開封した瞬間の、薄暗くて狭い箱の中で大勢のたけのこの里が「ひしめいている」感じが好きなのだ。

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お、今日もひしめいているな。
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いつもならすぐに口に放り込むところだが、今日はまじまじと眺めます。
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参考までに、以前私が掘ったタケノコの写真。

こうしてじっくりと眺めると、思ったほど本物のタケノコに似てないな、というのが正直なところである。

たけのこの里はタケノコの形をしている、というのは、我々日本人に植え付けられた共同幻想なのかもしれない。

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断面はこんな感じ。基本的にはこれをこのままの比率で大きくしたい。

 

スコーンで土台を作る

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材料。

まずは土台だ。

オリジナルのたけのこの里の、土台の部分はクッキーでできている。

ならば大きな円錐型のクッキーを焼けばいいと考えたが、そうでもないらしい。調べたところによると、大きすぎるクッキーは中が生焼けになりがちなのだそうだ。

これをそのまま大きくするわけにはいかない。人間をそのまま拡大してウルトラマンを作ると自重で足が地面にめり込んでしまうなどという話があるだろう。あれと同じである。

ならば大きくても中まできっちりと焼けてくれるものを土台にすればいい。パン生地だとふわふわしすぎて、これまた上にチョコレートをかぶせたときに自重で崩壊してしまうといったことになりかねない。そこで、スコーンである。

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バター、小麦粉(強力粉の割合が多いほど、どっしりとした固いスコーンになる)、卵、牛乳、砂糖、塩、ベーキングパウダーを使ってごく一般的なスコーンを作った。
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気がつくとレシピを表示していたiPadのキーボードが粉まみれに。真似される場合はラップか何かをかぶせておくことを推奨したい。
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生地作りは、基本的にただ混ぜるだけである。

お菓子作りが上手い人いわく、スコーンは雑に作るほど美味しくなるらしい。事実ならたいへんありがたいことなのだが、本当にそんないい加減なことで大丈夫なのだろうか?

「今日は無礼講で!」という言葉を真に受けた人が本当に好き放題に振るまってしまって、翌日呼び出されて謝罪させられるような羽目になりはしないだろうか?

不安になってついつい念入りにかき混ぜてしまった。

雑にとは言うが、実際のところどのくらい雑にしていいものなのか。そこのところをはっきり示してもらわないことには、おちおち雑になることもできない。

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このまま素直に膨らんできれいな円錐形になってくれればいいと思ったけれど、
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焼き上がったスコーンは、ちっとも素直に膨らんでくれていなかった。

オーブンから取り出したスコーンは、ちっとも思った形に焼き上がってくれていなかった。

バターと小麦粉その他を練り合わせただけのものに、こちらの意思を汲み取ってまっすぐに膨らんでくれることを期待した私がバカだったのである。

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仕方がないので縁を切り取って丸くした上に、予備のスコーンを重ねてむりやり目的の形に近づけた。
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「カステラの端っこ」ならぬ「スコーンの端っこ」が大量に発生した。

 

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チョコレートのクリームをかぶせてやる

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チョコレートとクリームチーズを混ぜると、室温でもしばらくは柔らかく、成形可能なチョコクリームになるらしい。
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チョコレート400gに対しクリームチーズ120gを加えて電子レンジで軽く加熱してから、
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ひたすら練る。

スコーンの生地といい、なんだか今日は練ってばかりである。

そういえば、ちょうど1年くらい前は牛乳をひたすらかき混ぜながら煮詰めて蘇を作っていたのだった。いつの間にやら季節が一巡していることに驚きつつ、ひたすらかき混ぜる。

10分弱ほどかき混ぜ続けたところで、おはぎの餡子ほどの固さにまとまってきた。

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でき上がったチョコレートクリームが冷え切らないうちに、先ほど作った土台に盛りつける。

シルエット的には及第点だが、このままではまるで巨大などんぐりのようだ。

なんとかオリジナルと同じように、タケノコの皮の重なりを表現してやらねば。

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薄く伸ばしたチョコレートクリームを三角形に切り、上から順番に巻きつけていく。
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巻きつけ終わったところ。巻きつけた時にちょうどよい形に収まるように竹皮のパーツを作るのが難しく、何度も剥がしてはやり直した。
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細かい部分をスプーンで整えたら完成だ!

オリジナルより多少ずんぐりむっくりしているが、ともかくやりとげたのだ。

作っている最中はあまり意識しなかったのだが、でき上がったものを計ってみると高さが18cmあった。中くらいのタケノコくらいのサイズにはなったわけである。

作りたかったものは完成した。1時間以上チョコレートのクリームと格闘した甲斐があったというものだ。

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たとえばキノコとタケノコが喧嘩していたとする

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キノコ「俺たちの方が人気があるんだ!」
タケノコ「いや、より愛されているのは我々の方だ!それに、お前たちは画鋲の力を借りなければ自立することすらできない!」
キノコ「なんだと!」
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大きなタケノコ「君たち待ちなさい!」ズーン!
キノコ・タケノコ「うわー!」

こんな大きなのが参戦してきたら、もはや戦う前から勝負はあったというものだ。

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肩の上にだって乗れる。まるで山のよう。笑っちゃう大きさだ。
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横一列に並ぶとこんな感じ。

大きい。

大きくて、頼もしい。

部屋に置いておくと、ピラミッドグッズと間違えるくらいの存在感がある。

実際に食べ始めると途中で食べ飽きることは間違いないのだが、わかっていてもこの特大サイズのたけのこの里を前にすると自然と笑顔がこぼれてしまう。大きいことは、良いことなのだ。

竹藪にも連れて行ってみた

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お、お前は......。
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竹藪の中に置いてもあまりタケノコには見えない。どちらかというとポルチーニ茸に近いと思う。
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本物のタケノコとツーショット。やっぱり似てないよなあ......。

カロリーを計算して戦々恐々

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原材料の一覧。チョコレートの量がえげつない。

頼もしいのは見た目の大きさだけではない。

怖いもの見たさで、巨大なたけのこの里のカロリーを計算してみた。

その値は......しめて約3760キロカロリー!うわあ!

参考までに、成人男性が1日に必要とするエネルギーが約2200キロカロリーらしい。頑張ればこれ1本で丸2日食いつなげる計算だ。

市販のたけのこの里に換算すると、約294粒分。漠然と「1000粒分くらいはありそうだ」と予想していたので、こっちは思ったより少ない。チョコレートスナックは食べ過ぎない方がいいだろう。

考えただけで胸やけがするが、作った以上は食べなければならない。さいわい日持ちはする素材である。頑張って消費しようと思う。

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