この記事は「おれはテイクアウトなら無限に食べられる」です
この後、お腹いっぱいになりながら全部食べきった。そのあと、安藤さんがはげましひろばの日記に「たぶん、自分も食べることになるだろうから晩ご飯はいらないと家族に伝えてきたが、江ノ島が全部食べてしまったので帰りに半額になったサラダ巻きを買った」と書いていて、申し訳なさを感じながら(その場で言ってほしかった)と思った。
昨今の状況でテイクアウトやデリバリーをするお店が増えてきた。普段、入りづらいお店もテイクアウトをやっていて、大変だろうがこちらとしてはうれしかったりもする。
ふと思ったのですが、テイクアウトって家で食べることができるじゃないですか。なら食べたいときに食べられる。それはもう無限に食べられるということだと思うのです。
※編集部安藤より
この記事はデイリーポータルZの運営元であるイッツコムのサービスエリア、東急沿線の魅力を紹介する記事です。
多くのお店でテイクアウトをやっている。タイ料理や見たこともない料理もテイクアウトをしていたりするが、食べたいものをテイクアウトしたい。
駅前は高いビルが立ち並んでいる。人が発展してきた歴史を感じると共に、お風呂の王様大井町店へ行きたい気持ちもあるが、歩いて数分のところにこんな場所がある。
狭い路地に飲食店がぎゅうぎゅうと並ぶ。少し汚れた看板や外に置いてある室外機を見ると、飲食店の苦労や歴史を感じることができそのお店に対する愛しさが生まれてくる。
そして、奥へと進むと目的のお店が出てきた。
「お食事は大井一うまい・やすい」というキャッチコピー。この言葉、みんなで守っていきたい。
洋食の全てがここのお店にあるのではと思うぐらいのメニューの充実っぷり。汁物以外はテイクアウトできるそうだ。無限に食べられるので色々と頼む。「ハンバーグとドライカレーと..」と結構な品数を注文をしたところ、頭がパンクした店員さんに3回聞き直された。最近、そういうところがある。
何度もテレビで紹介されたお店らしく、芸能人のサインが壁にずらりと飾られている。ミーハーなので興奮した。
15分ぐらいお渡しできるそうだ。お店の中で待たせてもらえるとのことなので、座って水を飲みながら待つ。ボーナスが出る月の給料日ぐらい待ち遠しい。
会計をしてお店を出る。その後に出てきた高校生たちが「バーミヤンに行こうぜ」と言っていた。若人(わこうど)たちよ、それが若さだ。若人って校歌でしか聞かない。
家に着き、さっそく頼んだ料理を開けよう。今日ばかりはお茶でもいれてゆっくりしながらみんなで見ようよ。
大盛りのお店だった。どうりで重いはずだ。でも、それが幸せの重さだから。食べたいものだけを頼める幸せを感じつついただこう。
どれを食べようか。よし、しょうが焼きだ。世の中、しょうががあればだいたい大丈夫です。
ドライカレー、エビフライ、ハンバーグ。どれも間違いのないおいしさである。ドライカレーはピリッとした辛さが食欲をそそり、エビフライはエビの食感に心を奪われ、ハンバーグはいつだっておれたちの味方です。
おいしいものはずっと食べていられる、食べ始めたときに思った。そして、ある程度時間が過ぎて、思ったことがある。
お腹が減っているとき、ついつい頼みすぎてしまうことがある。テイクアウトだと「家で食べるから」という理由でいつも以上に頼んでしまうことに気づいた。でも、大丈夫、ご飯は自由だから。
次に行ったのは武蔵小山の「武蔵小山商店街パルム」である。
雨の日でも安心のアーケードがある商店街。平日でも人が多く、活気あふれる商店街だ。あと、商店街の中にダイソーが2軒ある。おすすめです。
武蔵小山にはカレー屋が多い。カレー屋の人に聞いたらネパールの大使館があるためだという。そうか、今日はカレーだ。
カレーをたくさん食べるだけでもいいが、どうせなら色々なものをトッピングしたカレーを食べたい。商店街で食べ物を買ってカレーにのせようと思う。
インドカレーもいいが、変わったカレーを食べたいと思って探したらラーメン屋でカレーを出しているのを見つけた。「風は南から」という店名も素敵だ。
このカレーをベースに色々とのせて行こうと思う。それがおれにできるカレーへの恩返しだから。
そして、焼き鳥。ぜいたくなおつまみを今日はカレーにのせたい。
置いてある焼き鳥を好きなだけ取って、あとで串の本数だけ会計するお店。実はここの焼き鳥を求めて他の地域からも来るそうだ。おまかせで頼んで5本を買った。
これだけでいいが梅雨なのでもっとのせたい。惣菜のお店とかもいいなーと歩いていたら、素敵な店名を見つけた。
ステーキを買った。もう十分かも知れない。さぁ食べるところを探そうとしたが、またしても気になるお店を見つけた。
商店街の路地にあるお店。こちらではグラタンの持ち帰りをやっている。グラタンって名前の響きがすでにおいしい。グラにタンである。
ミックスグラタンを受け取り、食べたいものはそろったが家に帰ると時間がかかるので近くの公園で食べようと思い、アーケード通りを外れて歩こうと思ったときに気づいた。
梅雨の季節である。朝、家を出たとき雨が降っているなと思っていたが、止むだろうと思って甘く見ていた。天気とおてんば娘は思いどおりには行かないな。
ただ、家に帰って食べるには時間がかかりすぎる。そういえば、公園の休憩所に屋根がついているのを見たことがある。そこで食べれば全部解決するではないか。公園を見つけるのが先か、グラタンが冷めるのか先か。
すぐに見つかるだろうとうろうろする、全然見つからない。とちゅう神社の軒下で食べてしまおうかと思ったが羅生門の話みたいになるかもしれないと思ってやめた。
さまようこと30分。公園は何カ所も見かけたが屋根のある公園は1カ所もない。あきらめかけたがなんとか見つけた。
食べる場所こそないが、ごはんは豪華だ。ステーキとグラタンを一緒に食べることができる日が来るとは思わなかった。雨が降っているがいい日。
マカロニの食感にホワイトソースの濃厚な風味、そこに魚介類の風味が合わさって絶品のグラタンである。ステーキもカレーも焼き鳥も全部おいしい。優勝。
「イルドマンジェ」というお店のカレーライス。白い。シチューのようなコクとまろやかがつまったカレーである。バファリン以上に優しさがつまっている。
色々なお店を紹介すると情報をお届けしたという気持ちになる。武蔵小山、いい町なのでまた行きたい。
最後はデイリーポータルZを運営しているイッツコムがある用賀である。前に寿司屋のテイクアウトをしようとお店の前に行ったらやっていなかった。あの日も雨だった。
しかし、このときに「このままじゃ帰れない」と必死になりながら歩いた結果、ロシア料理のお店を見つけた。怪我の功名とはこのことだ。この日は満足して帰って、別日に予約をして取りに行くことにした。
ロシア料理と言えば、ピロシキと赤いスープやつは知っている。今、ちょっと言葉が出てこないがあるスープのやつがあるじゃないですか。あと、ウォッカ。
チキン弁当は販売終了しているので注意だ。カレーも食べたかったが、カレーばっかり食べているので今回はあきらめた。今度食べに行こうと思う。
元々、テイクアウトはやりたいと思っていたがなかなかできず、この状況をきっかけに始めたそうだ。
「気になっていたがお店に入れなかった人もテイクアウトで注文していきますよ」とのこと。
ロシア料理を買ったので外で食べようかと思ったが、外は真っ暗だ。どこか室内で食べたいと思い、見上げたらイッツコムのビルがあるじゃないか。今、思いついたように書いたが前日に編集部の安藤さんに連絡して使わせてもらった。ちゃんとした大人だから。
自宅のような場所でロシア料理を食べる。ホームステイのようでいい。
珍しいので多くの種類を食べたくて、色々と買ってしまったら1万円になって震えたが、ロシアに行ったと思えば安い。
全然関係ないが昔、シェフチェンコというサッカー選手がいた。ロシア出身だと思ったらウクライナだった。なんの話だ。
買った料理を紹介しよう。
肉汁があふれるおいしさ。ソースがニンニクがかなり効いていて、 ウォッカがすすむ味だ。白飯でもいい。スパシーバ(ありがとうの意)と言いたい。
ビーツという野菜が入ったトマトスープだ。ビーツは「食べる血液」と呼ばれるほど栄養素が高く、特に一酸化窒素というものがノーベル医学生理学賞を取るぐらいすごいそうだ。
血管の筋肉をしなやかに拡張させて血流をよくする働きがあり、全身の血行がよくなることで、疲労回復や基礎代謝のアップでダイエット効果があるらしい。
味は大根のようなシャキシャキした食感である。情報番組みたいな情報をお届けしました。
いつも食べている日高屋の餃子と違って香辛料が効いたひき肉が異国の地をイメージさせる。しかも、たれが酢醤油ではなく、マヨネーズソースで食べる。ロシア、意表をついてくる。
ひき肉にいり卵、春雨が入っている。揚げパンは日本にもあるが、きな粉や砂糖ではない独特の味。これがロシアの味か。
独特の臭みがあって苦手なのだが、こちらの煮込みは臭みがいっさいない。香辛料が風味と羊のうまさが口の中で爆発した。おいしい。お店ではリピーター率が高いと言っていたがわかるおいしさ。
ビーフストロガノフを初めて食べたが、生クリームを使った料理なのか。 肉の塊を荒々しく焼いた料理かと思っていた。ストロガノフに荒々しさがあるのが悪い。
ロシア料理は全般的に香辛料の風味が香ってくる。ケバフっぽい味。調べたら料理にハーブを使う文化でこれがいい味なのだ。
お店の人がビニール袋に割りばしが4膳入れてくれた。1人で食べるのが恥ずかしくて、聞かれてもないのに「会社でパーティーをするんですよ」と言ったからだ。パーティーが始まる。
普段、野球を見ないが改めて見ると楽しい。横で見ていた安藤さんも「ひいきの球団じゃない野球の試合を見ていると選手がエラーしてもおおらかな気持ちでいられる」と言っていた。
また、ご飯を食べながら安藤さんが昔、サッカーの副審をやっていたときにした世紀の大誤審の話を聞いた。みんなで胸が苦しくなる話を聞こう。ここからは安藤さんの話です。
子どもが地元のサッカーチームに入っていて、そこで手の空いた父親はボランティアでグラウンド整備をしたり、試合会場への送り向かいをしていた。
中でもコアなメンバーは副審のライセンスをとって練習試合で副審をすることになっていた。自分も取った。オフサイドの判定がテストのときから怪しかったけど、筆記試験は簡単だったしお金払えばほとんど全員合格した。
オフサイド判定がよくわかんなくて、実際に何度か誤審をした自信がある。でもオフサイドはまあみんな見ててもよくわかんないから文句言わないし文句言われたら主審の判断に任せていた。
何度か副審をやっていたある日の試合。明らかにボールがゴールラインを割ったのに流して試合を続行させたのだ。
たしかペナルティエリアの外から、誰かが蹴ったボールをキーパーがはじいて、ゴールラインを割ったのだ。その後にディフェンダーかキーパーがボールを外に蹴り出した。
なので今考えても誰が見ても明らかにゴールしている。でも、なぜか流してそのまま試合を続けさせた。選手たちは一瞬止まったけど、主審も笛吹かないし、不思議な顔でプレイを続行していた。
怪しかったら主審が止めるだろうと思っていたが、主審も見てなかったようで、確認をする意味で顔を見てきたので目をそらした。それでそのまま無得点となり試合は続行された。
背中の観客席では選手の親たちが騒いでいた。「今のはどう見ても入っていただろう」と。
5分くらい騒いでいたが一度も振り返ることができなかった。堂々とした態度で副審をしていたが、周囲の声が心に響いてきて、実際は汗びっしょりだった。
思い出すたびに汗が出る。それがトラウマになったというか、もう怖くてその後は公式戦では副審をやっていないです。
この後、お腹いっぱいになりながら全部食べきった。そのあと、安藤さんがはげましひろばの日記に「たぶん、自分も食べることになるだろうから晩ご飯はいらないと家族に伝えてきたが、江ノ島が全部食べてしまったので帰りに半額になったサラダ巻きを買った」と書いていて、申し訳なさを感じながら(その場で言ってほしかった)と思った。
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