カレーライスはおいしい
カレーを無性に食べたくなるときがある。辛いカレーもいいが、甘口のカレーもいい。でかいナンで食べてもいいし、ライスで食べてもいい。納豆をかけて食べてもいいし、ソースをかけてもいい。カレーは自由だ。
カレーは飲み物という話を聞く。ルーと一緒にお茶漬けのようにするすると食べられるかららしい。この話を聞いたとき「そんなことあるわけないじゃないか」と思っていたが、今なら「わかる」という気持ちでいっぱいです。あれはスープです。おいしいカレーを無限に食べたい。
※編集部より
この記事はデイリーポータルZの運営元であるイッツコムのサービスエリア、東急沿線の魅力を紹介する記事です。
※ライターの江ノ島さんはたくさん食べられる人です。みなさんは無理のない範囲で参考にしてください。
海軍では海上勤務中に曜日感覚をなくさないようにするために金曜日にカレーを食べるらしい。金曜日じゃなくてもカレーは食べたい。そして、カレーのルーに合わせるのはナンもいいが、ライスの方がいい。お米の国の人だから。
そんなお米をたくさん食べられるお店が大井町にある。編集部の安藤さんと向かった。
駅から徒歩を1分ぐらいのところにある「牛八」というお店だ。
外観からおいしそうなオーラが漂う。外にあるメニューには魅力的なメニューが描かれている。家に飾ってながめたい。メニューをながめる仕事につきたいです。
「デカ盛り」という言葉に喜びと不安がこみ上げてくる。やってやろうじゃないか。そんなことを思いながら横を見たら、安藤さんが不安そうに中をながめていた。
店内は6人ぐらい入ればぎゅうぎゅうな狭い店内で立ち食いのスタイルだ。今回はスペシャルカレーを頂くことにした。安藤さんは様子見で中サイズ、筆者は器の大きな人間になりたいので大サイズを注文。甘口と辛口が選べるので、二人とも辛口にする。
このあと入ってきたお客さんが甘口を選ぼうとしていたが、店長に「今、辛口の流れだから辛口がいいよ」と店内全員が辛口を食べることになった。流れを作ってごめんな。
頼んで2分もしないうちにやってきたカレーは見た目からもがっつりさが伝わる。こんなの食べ盛りの学生さんに出したら笑顔で食べるだろう。
スタミナカレーはしょうががふんわりと香る豚肉の生姜焼きとあっさりとした味付けの牛肉がたっぷりと乗せられ、カレーも懐かしさがありながらもスパイスが香り、コクがある味。
最近、大盛りを食べることがなかった。1万歩歩いていたりと健康的な生活をしている。
1キロと聞いたとき震えた。食べ切れないんじゃないか。無限に食べられるとは言ったが、最初のお店で食べきれないんじゃないか、そういう不安を抱えながらカレーを食べる。そういう不安を包み込んでくれるのがカレーです。
スペシャルカレーを頼むとみそ汁がついてくる。「カレーにみそ汁なんて合わないじゃないか!」と言う人がいるが、なんでも許す心が必要だと思う。あと、そんなこと考えることができないぐらい必死に食べている。
食べ終わった安藤さんは店長から「カメラって買った方がいいか」という相談を受けていた。「スマホでもきれいに撮れますよ」と言っていたので、皆さんご参考下さい。
大盛りでもかなり多いのだが、それを上回る2キロの「牛八スペシャルカレー」というものがある。今食べているカレーの2倍である。
役所の食堂というものには不思議な魅力がある。すごくおいしいものを期待しているわけではなく、普通さを求めている。そんなところに量の多いカレーがあるのか。
色々な手続きをしている人のかき分けながら奥へと進むとレストランを見つけた。本当に役所の食堂という雰囲気である。
実は雑誌にも紹介されたカレーで有名なカレーらしい。よく見たら「なんでもないカレー」と書いてあった。なんでもないカレーを食べたくなるときってありますよね。いい意味で。
注文は食券である。カレーを探しているとお目当てのカレーがあった。メガカレーである。メガってカレーの前につけてもいい言葉なのか。カレーのふところに大きさ、見習いたい。
やってきたメガカレーを見て驚きの声が心の中であがる。自分の席に持って行くとき、食堂の全員が珍しそうに見てきたように感じたので、見せつけてやった。俺はこれをこれから食うぞと。
トレイの上にトレイが乗っている。食器がなかったのかと思ったがこれであっている。余談だが、福神漬けは取り放題です。
ただ量の多い、レトルトのカレーだと思っていたがニンジンやたまねぎなどの具材たっぷり入っており、家のカレーのような優しい味だ。区役所に母がいる。お母さん。
ここから10分弱で食べた様子をタイムラプスにてご覧下さい。
最後は渋谷である。渋谷駅から徒歩10分ぐらいのところにあるリトルショップというお店だ。
この日は雨にもかかわらず11時の開店前から行列ができている。開店5分前に着いたのだが、それでも数人が並んでいる。並んでまで食べたいカレーをぜひ食べたい。
量が多いという話を聞いたのだが、女性客も多くそんな量が多そうなお店には見えないが、外にある看板にこんなことが書いてあった。
一般的な範囲で量が多いだけかもしれないが、そんなの余裕だろう。薄着で来てしまって寒いので早くカレーを食べさせてほしい。
そして、入店。先に入った若い人が多分何かむちゃくちゃな注文をしたのだろう。「無茶しないでね」と言われていた。その言葉に震える。ちらりとそちらの量を見たら、かなりの量のカレーがあった。きっとあれが大盛りなのだろう。
しかし、こちらは無限にカレーを食べる男である。トッピングが全部乗ったスペシャルカレーを大盛りで頼んだ。
そのとき、少し間が空いて確認をされた。「スペシャルカレーに大盛りだと2キロぐらいありますけど大丈夫?」と。
少し言葉を詰まらせながら、「は、はい、大丈夫です」と冷静を装いながら、返事をする。
そんな量、食べたことがない。そういえば最初のお店で2キロのカレーがあって震えたが、まさかここで2キロのカレーを食べることになるとは思わなかった。心の準備をしていない。
目の前で調理をしているそのカレーはカレーなのかと疑問になるぐらい山盛りである。あれがカレーなのか?そして、やってきたカレーは想像以上の品物であった。
先ほど見たカレーの2倍はある。乗っている具材は8種類ほどで野菜やそして鶏肉にカツが山のように乗ったカレー。どこを食べても大きな具材が口の中に入ってくる。そんな嬉しいことありますか?それがあるんですよ。
見た目のインパクトもすごいが、注目してほしいのは味だ。食べた瞬間、かつお節の香りが口いっぱいに広がるのだ。一口食べただけなのにかつお節の風味が爆発する。聞いたらかつお出汁を使っているらしい。
そして、しょうがも入っており、後味がさっぱりしている。和風のおいしいカレーだ。
魔法のカレーかなと思うぐらい食べても食べても減らないカレー。でも、こういうときに気持ちで負けてしまってはいけない。そうするとカレーの量が2倍に見えてしまう。ペースを落とさずに食べ進める。
あまりの食いっぷりの良さにおまけをしてもらいながら腹9分目ぐらいで残り4分の1。普通のカレー屋ならこれで1人前ぐらいの量である。腹いっぱいで生きていることを実感できる。無限に食べられるってこういう実感を体験するシリーズだったな。
ただ、ゴールが見えてきた。気力を振り絞りカレーを口へと運ぶ。頭の中には24時間テレビのマラソンが思い浮かんでいた。サライをうたってほしい。両国国技館でみんな待っていてほしい。
1キロぐらいしか食べられないと思っていたが、人間やろうと思えばやりきれる。人はどんなに年を重ねても成長できる動物なのだ。
とても達成感に包まれている。勝利のお冷やがとてもうまい。
2キロのカレーを食べきった達成感を感じながら渋谷の町を闊歩する。自分でもまさか食べきれると思わなかったと撮影に同行してくれた友人に何度も言う。嬉しかったのだろう。
「いやー2キロのカレーを食べきったよ、2キロ…あ、あそこのカレーも完食できるかもしれない」
牛八にあった「牛八スペシャルカレー」。あれも2キロだった。自分の限界を知ることができた今、挑戦をしたい。記事としては蛇足かもしれないが、自分のプライドの問題なので大丈夫です。
前にこの商品を見たときは恐れおののいたが、今は自信に満ちあふれている。これが修行を終えた者の力か。
やはり序盤は楽勝である。これは一気に食べてしまうだろう。夕方にお腹が減りすぎておそばを食べてしまったが、ちょうどいいハンデだ。
半分ぐらい食べたぐらいでお腹が8分目ぐらいになってきた。これだ、この限界に挑戦する感じが大盛りグルメの醍醐味だ。いいぞ、興奮してきた。
負けたくない。30円でお持ち帰りのパックがもらえるらしいが、そんなものに頼りたくない。食べきって遠くの母に「母さん、俺やったよ」と報告していいお彼岸を迎えたい。
カレーを無性に食べたくなるときがある。辛いカレーもいいが、甘口のカレーもいい。でかいナンで食べてもいいし、ライスで食べてもいい。納豆をかけて食べてもいいし、ソースをかけてもいい。カレーは自由だ。
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