ナポリタンが食べたいときがある
イタリアの都市、ナポリにないというナポリタン。日本だけの味である。母が作ってくれた具だくさんのナポリタンを思い出しながら、今日も私は喫茶店でナポリタンを食べるのです。ワイシャツにケチャップの染みをつけながら。
朝起きたら、ナポリタンを食べたいと思った。一日中、思っていたが、色々とやっていたら夜遅くになってしまったのでその日は食べるの諦めて寝た。
次の日、やっぱりナポリタンを食べたいと思ったのでナポリタンを食べる記事を書くことにした。そんな動機があってもいいじゃないか。
※編集部安藤より
この記事はデイリーポータルZの運営元であるイッツコムのサービスエリア、東急沿線の魅力を紹介する記事です。
ナポリタン。母が作ってくれた冷蔵庫の食材を適当に入れて、味付けはケチャップだけのナポリタン、喫茶店の少しだけこだわったナポリタン、サイゼリヤで食べた気がしたけど今、メニュー表を見たらなかったナポリタン。色々なナポリタンがある。ようするにナポリタンだ。
ナポリタンを食べるために、渋谷へ行った。ナポリタンがありそうなお店を歩いて探す。ナポリタンに対する思いが自分とナポリタンをつなげてくれたのかもしれない。ぶらぶらしていたらあった。本当はグーグルマップで確認しながら行った。
ナポリタン専門店のチェーン店だ。専門店という名前の響き、もうおいしい。
券売機で食券を買う。メニューはナポリタンと白ナポリタンが基本でそこにトッピングをつけることができる。また、量も選べる。小盛り(300グラム)からメガ盛り(600グラム)まであり、どの量でも値段は一緒だ。並盛りを食べようと思ってお店に入ったがお得な方を選んでメガ盛りを頼んでしまった。そういう判断が人は体重が増えていくのだ。
また「チャレンジメニュー」というものがあり、麺と具材の総重量が1.2キロの「兄貴」から2.3キロもある「星人」まで、ナポリタンを無限に食べたい人向けのメニューがある。今日はそういうのじゃないので、普通に食べさせてください。
トッピングも盛りだくさんだ。なにをのせるか考えるだけで一夜を過ごせるが、後ろに並んでいる人がいるので、とりあえず「全部のせ」を押した。迷ったときは全部だ。
そして、やってきたのは想像以上のナポリタンだった。
お前は本当にナポリタンか。スパゲッティの上にこれでもかとのせられたトッピングたち。誕生日の人のやつが運ばれてきたのかと思った。誕生日ナポリタン。間違って運ばれてきたとしても止められないので食べます。
お腹が空いているときほど、自分が食べられる量を見失いがちだ。私はもしかしたら、すごい量を頼んでしまったかもしれない。普通に食べようと思っていたのに。
具材や麺を食べる。極太のスパゲッティにケチャップとバターの優しくて懐かしい味だ。おれ、ケチャップ好きだ。
このスパゲッティめちゃくちゃおいしい。気になってホームページを見たところ「前日に茹でて一晩置いたものを使っています」と書いてあった。その方がソースがからみやすいそうだ。
もちもちの麺にチーズや黄身が絡まって、どこを食べても全部おいしい。ケチャップの味がくちいっぱいに広がる幸せを感じながらお腹を満たしていく。いい夜を過ごしています。
タバスコは通常のものと辛そうなタイプのものが置いてある。辛そうと書いたのは、実際にかけてみようと思ったが、想像以上に辛さそうなオーラをビンから感じたからだ。
そして、何事もなく食べきった。ただ、これ以上はきっと食べられないと思ったので、チェレンジメニューを頼まなくて本当によかった。
おいしかった。ここで突然だが、チャーハンが好きだ。パラパラでもしっとりした食感でもなんでもいい。チャーハンという存在そのものが好きなのだ。中華料理屋に行ったら必ず頼む。
そして、ナポリタンも食べたいし、カレーライスだって食べたい。同時に食べることができたらいい。そんな幸せ、あるのか。
そんな夢、叶うはずもない思うだろう。夢は必ず叶うものなのだ。横浜駅から5分ほど歩くと目的のお店がある。
お店の前にいた店員に人気メニューを聞いてみた。「ナポリタンとハーフアンドハーフが人気ナンバーワンとツーですね」
ハーフアンドハーフ。あとで見せるので、一度ポカリとか飲んで熱中症にならないようにお気を付けてください。心をおどらせながらちゃんと落ち着いてメニュー表を見よう。
チャーハンと麻婆豆腐がいっしょになったものや、カツカレー、チャーハンにビーフステーキをのせたものまでそんな大胆なことをしてくれてありがとうございます。
今日はどうしても食べたかったハーフアンドハーフにすることにした。
少ないぐらいだ。ならトッピングを色々していきたい。
あまりの量に店員の方々がざわついた。「多いから覚えきれなくなってきた」と伝票を取りに行く店員。なんだか勝った気がした。
こういうとき「見た目通りなやつが来たな」と恥ずかしくなるが、こういう人生も楽しいです。あ、コロッケもトッピングしたかったけど忘れた。
そして、先に安藤さんのがやってきた。
銀の皿がこの料理を表していると言ってもいい。高級や本格的な料理ではなく、誰もが好きな味。100人が食べたら100人がおいしいというおいしさである。
そして、食べて5口。安藤さんの手が止まった。
最近、ずっと自宅にいるため太ったそうで、ごはんを気を付けたり走ったりしながらダイエットをしたそうだ。お昼ご飯をナッツ3粒で済ますことがある安藤さんにとって普通の量でもかなり多い。
そして、自分の頼んだやつを紹介しよう。
たぶん、この料理を夢で見たら「もう食べられないよ」と寝言で言いそうである。チャーハンが350グラム、スパゲッティが麺だけ300グラムあるらしい。量が多いと思うかもしれないが、お客さんは学生が多いらしく、ペロリと食べてしまうそうだ。
さっそく食べてみよう。こういうのって大雑把な味なんでしょと思いながらひとくち食べてもだえた。
気取らないケチャップ味のナポリタンとさっぱりとした味付けのチャーハン。
念願だったチャーハンとナポリタンを一緒に食べた感想は「チャーハンとナポリタンを一緒に食べているな」とだった。これはこれでおいしい。
初めてナポリタンにカレーをかけて食べたが、ナポリタンのケチャップや具材から出るうまさと優しさ、カレーのスパイシーで刺激的な味がかなり合う。ナポリタンにカレーをかけるだけで、人は幸せになれるし、なんでも許せる心が生まれてくる気がする。
今後、ナポリタンにカレーをかける生活をしていきたいと思った瞬間である。
うまい。気取らないうまさが金太郎にはある。ガラガラだったお店も少しずつ人が入ってきた。他の人はどんなものを頼むのか気になる。あわよくば食べてみたい。しかし、知らない人から「すみません、ひとくちください」と言われるのは怖すぎると思うので我慢した。
イタリアの都市、ナポリにないというナポリタン。日本だけの味である。母が作ってくれた具だくさんのナポリタンを思い出しながら、今日も私は喫茶店でナポリタンを食べるのです。ワイシャツにケチャップの染みをつけながら。
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