その1. 棚田
まずは棚田である。これについては窪田さんはそれほど心が死んでいないが、むしろ僕がピンときてなかった。
棚田か…。
NHK-BSや日本の素晴らしい景色みたいなテレビで見るやつ、というイメージだった。
ふーん、これが棚田か。
これはあれだ、土木工事じゃないか。
ささやかな日本の原風景、とかじゃなくてもっと力強くて、作った人の誇らしげな顔が想像できる。
棚田には「日本のピラミッド」という呼び方もあるそうだが、そっちのほうがしっくりくる。
山を切り開いて作ったニュータウンに似ている。あそこも家を建てられるように斜面を削ってとにかく水平な土地を作っている。稲作が入ってきた時代も都市が発展する時代も、とにかく人間は水平である。
高千穂峡
そして次は高千穂峡だ。
親戚が近く(延岡市)に住んでいたため、小学生のころ、昭和の子どもらしいデニムのぴちぴちの半ズボンをはいて行った。
ここが困る場所だった。
自分なりの撮りかたにならない。こんないい景色なのに写真が変!みたいな写真を撮りたいのだが難しい。雑に撮ってもすぐ絶景になる。
橋の欄干の隙間から撮ってやれ。
窪田さんに「一周回って普通の観光客と同じことをしている」と言われて目が覚めた。
絶景にあらがうのはやめよう。
デイリーポータルZではこれも絶景などと言って新宿の滝などを紹介してきたが、本気の絶景はすごい。こういうのを取り上げないといけなかったのではないか。
サイトのコンセプトを疑う景色である。
しかしこれも自然にできた石である。東京に帰ったら柱状節理ファンクラブを作ろう。