特集 2023年8月17日

湯せんの代わりに夏の暑さで手作りチョコレートができるよ

夏によく言われる冗談で「車のボンネットで目玉焼きが焼けそう」というものがあるが、実際あの熱は料理に有効活用できそうな気がする。

たとえば、湯せんのかわりに夏の暑さで暑せん(しょせん)した手作りチョコができないだろうか。

インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変わった音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。
『雑に作る ―電子工作で好きなものを作る近道集』(共著)がオライリーから出ました!

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チョコが溶ける季節、夏

家のデスクにチョコレートを常備しているのだが、これがうっかりすると溶ける。 

DSC08578.JPG
以前記事で紹介した成城石井の製菓用チョコを常備している
これがちょっと油断するとこうなる

それほど気温の高くない室内でも、西日が当たるとちょっと溶ける。

それがふたたび固まると白っぽくなる。よくチョコのパッケージ裏で説明されている「ファットブルーム現象」 というやつで、これが起きるとまったり濃厚なチョコがパサパサのボソボソになってしまう。

全自動手作りチョコの制作

中途半端に溶けるとそんな悲劇が起こるが、これを逆手にとってドロドロに溶かしてしまえば、手作りチョコを作ることもできそうな気がする。

というわけでチョコレートを型に詰めまして
DSC08388.JPG
素材違いの2種類のカバーで覆って放置(比較しようと思ったが結局同じ結果だった)

 狙いとしてはこうである。

1.夏の暑さでチョコレートが溶ける

2.夜間、涼しくなったところでチョコが固まる

→全自動手作りチョコの完成!

「全自動でやったらそれは手作りとは言えないのではないか」という意見もあると思うが、そもそも溶かして固めただけのものを手作りといっていいのかという議論は以前からあり……要するに細かいことは言わないでいただきたい。

10分ほどで明らかに表面の質感が変わり、つやが出てきた
空はみごとな快晴

この感じなら夕方を待たずして1時間もすればどろっどろの液状になりそうだ。

そして1時間後

おや…?

あれ、おかしいな…。溶けてはいるが、まだ全然タブレットの原形をとどめている。

DSC08403.JPG
不安になったので、タッパーに入れたものと直射日光に当てるものを追加投入
そしてそのまま夕方を迎えた……
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そして手作りチョコが完成するはずだった時間

夜の22時まで待ち、予定なら一度溶けてドロドロになったチョコが冷えて固まったはずの時間である。室内に取り込んでみよう。

けっこう原形をとどめている 

こちらはカバーで覆っていたもの。ところどころ形が崩れてはいるが、全体としては元のタブレットの形を保っている。また、表面はつやつやしていて明らかに固まっていない。つまり

1.夏の暑さでチョコレートが溶ける
  →ドロドロになるほどは溶けない

2.夜間、涼しくなったところでチョコが固まる
  →固まらない

なにひとつうまくいかなかったわけである。あらー。

直視したくない結果のことをあまり考えないように、心を無にして冷蔵庫に入れた。

実は溶けてた

ところがである。途中で投入した、直射日光に当てていたチョコを取り込んだ時のことだ。

こっちも原型とどめちゃってるな…と思って少しつまみ食いしようとしたところ
いや完全に溶けとるやんけ
箸で混ぜてみるとこの通り

暑せん、できてる…!

どうやらチョコレートは加熱しただけではドロドロになってくれないらしい。製菓用チョコを買いまくっている割に全部そのまま食べている僕は、チョコづくりを知らなすぎた。混ぜればドロドロになるのか!

こっちも冷蔵庫で冷やしてみることにした。

きっと、さっき冷蔵庫に入れた方も、溶けてないと思ったのは早とちりで、混ぜてやればドロドロになったのだろう。

試作一号完成

さて冷やして固まったチョコレートはどうなったか、結果を見ていただこう。ちなみに型はネコの顔の形です。

混ぜずに冷蔵庫に入れた方のチョコ。タブレットの形が完全に残っていると思われたが思ったよりネコの顔になっていて、型の底のほうはドロドロに溶けていたみたいだ
混ぜてから冷蔵庫に入れた方。しっかり混ぜたので形はこちらの方がいい(裏側が平ら)が、チョコの完成度としては似たような感じ

どっちも、思ったよりちゃんとチョコレートになった。気になることといえば気泡が入ってしまい欠けが目立つことと、ところどころ分離して白くなってしまったことか。

しかしなんといっても味は…

ふつうに美味しい!

 くちどけが良くて、むしろもとのチョコより濃厚な味がする…!

混ぜ工程が必要ということで全自動のもくろみこそ外れたものの、日光で「暑せん」するというアイデア自体は、意外といけるかもしれない。

…というわけで次ページでは2回目のチャレンジでもう少し工程を洗練しました。ドキドキ実験記事はここまで。つづきは実用レシピ記事になります。

⏩ 暑せんチョコの作り方、完成版

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