食卓塩の瓶に惚れた
ひとめぼれ、という、好きになり方がある。
しかし、長年そばにいたのに、魅力に気づかなかったものに、ある日突然魅力を感じることもあるのではないだろうか。
なんの話かというと、赤いキャップの食卓塩の話だ。
3年ほど、食卓塩を買っていなかったのだが、ある日再び、食卓塩を買った。
そして、あの赤いキャップの瓶が、視界に入るようになった。
だんだん、レトロでなんとも可愛いデザインだと思えてきた。
可愛くないだろうか?・・・いや、可愛い(断言)
赤と白のコントラスト。寸胴で全体的に丸みを帯びたフォルム。ロゴの字体も、よく見たら、個性的で愛嬌のある字体だ。食卓塩のロゴの下についている赤い三角形は、赤ちゃんのよだれかけのようにも見える。全体的にレトロで日本を感じさせる雰囲気だが、ちゃんと英語でTABLE SALTと記しているところがグローバルだ。
食卓に置いておいても、絵になるし、屋外にいても絵になる。完成されすぎている。
さて、私なぞがここで強調しなくても、食卓塩は、すでに2023年10月のグッドデザイン賞のなかの「ロングライフデザイン賞」という賞を受賞していた。
しかしこの瓶をよく観察してみたら、私は塩のことをよくわかっていないことに気づいた。
【気づきその1】
「公益財団法人 塩事業センター」と書いてある。食品メーカーではなく、公益財団法人が販売しているのか・・・?
【気づきその2】
原材料名:天日塩(メキシコ)と書いてある。メキシコ産だったのか・・・!!
まず、【気づきその①】について。
調べてみると、日本で「食卓塩」のブランドを公益財団法人が扱っているのは、かつての塩専売制度の名残であるらしい。この制度は明治38年(1905年)に始まり、塩の製造・販売を国が管理していたが、平成9年(1997年)に廃止されたようだ。
続いて、【気づきその②】について。
日本の食卓塩なのに、なぜはるばるメキシコから輸入しているのだろう。
日本は湿度が高く雨も多いから、海水を太陽と風だけで乾かす“天日製塩”を大量生産することはできない。一方、メキシコのように乾燥して日差しが強い地域では安定して大量の塩を作ることができるそうだ。食卓塩は、海外の天日塩を輸入して、日本で再結晶させるという製法で作られているらしい。
参照した、塩事業センターのホームページには、塩関係の博物館へのリンク集があった。そのなかに東京墨田区にある「たばこと塩の博物館」についても紹介されていた。
食卓塩の瓶について何かわかるかもしれないと思い、行ってみた。
聖地「たばこと塩の博物館」
結論から書くと、食卓塩についてわかったのは、その結晶がどんな形をしているかだけだった。
瓶については、特に新しい知識は増えなかった。
ただし、先に調べたメキシコでの塩の精製方法や、日本の海水をそのまま煮詰めて作る精製方法など、様々な塩の作り方について学ぶことができた。
それに、食卓塩の瓶とはほとんど関係がないが、ボーランドにある塩の洞窟・ヴィエリチア岩塩坑にいたく感動し、いつか行ってみたいと思ったり、収穫はたくさんあった。
余談だが、「たばこと塩の博物館」なので、たばこに関する展示室もある。たばこのパートも興味深い展示がたくさんあって、気づいたら自分のカメラには、たばこの写真のほうが多く残っていた。とにかく、おすすめの博物館だった。
食卓塩の空き瓶をデスクに
さて、ともに博物館へ行ってスカイツリーを見上げた、私の食卓塩は順調に減っていき、ついに世代交代の日を迎えた。
食卓塩の瓶への愛着が強すぎて、空き瓶も捨てることができずに、空き瓶の余生を真剣に考えた。結果、赤いキャップに電動ドリルでぐりぐりと穴を空けた。
作り上げたのは、食卓塩の空き瓶を活用した鉛筆立てだ。

オフィスに置いても、安定感ばつぐんで、使い勝手のいい卓上小物だ。
料理をしていないときでも、合法的にこの瓶を眺めていられる。

