デジタルリマスター 2022年9月23日

甘い食卓(デジタルリマスター)

甘エビやご飯、レバ刺、まぐろのトロなどを食べた時、思わずこう言ってしまう事があるだろう。

「甘くて美味しい!!」

と。つまり、美味しい物は甘いのだ。甘い物は美味しいと言い換えても良い。等式にしたっていいだろう。

「甘い=美味しい」

田舎の方では砂糖が貴重だった頃の名残で、おもてなし料理を甘く作る傾向があるとも聞いた事がある。赤飯を甘くしたり、煮物を甘く作ったりするのだそうだ。それはやはり「甘い=美味い」というスピリッツに根ざしているのではないか。

今回は、甘い物が美味しいのかどうかを検証します。

2006年10月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

あばよ涙、よろしく勇気、こんにちは松本です。

1976年千葉県鴨川市(内浦)生まれ。システムエンジニアなどやってましたが、2010年にライター兼アプリ作家として自由業化。iPhoneアプリはDIY GPS、速攻乗換案内、立体録音部、Here.info、雨かしら?などを開発しました。著書は「チェーン店B級グルメ メニュー別ガチンコ食べ比べ」「30日間マクドナルド生活」の2冊。買ってくだされ。(動画インタビュー)

前の記事:10枚切り食パンは、3枚重ねてホットサンドが正解

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今回はハンバーグを作ってみました

唐突だが、僕はハンバーグが大好きだ。和風ハンバーグが好きだ。てりやきハンバーグが好きだ。爆弾ハンバーグが好きだ。イタリアンハンバーグが好きだ。鉄板の上ではぜる脂を見ると心が踊る。白くなって気化する脂を見ると腹が鳴動する。ハンバーグが好きだからだ。

そこで、今回はその、大好きなハンバーグを甘くして美味しくする事にした。肉もソースもご飯もワインも、全て甘くして、甘さと美味しさの関係を探りたいと思います。

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家に砂糖が無かったので1kg買ってきました。
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とりあえず150gの挽肉でハンバーグをこさえます。
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挽肉150gに対して20gの砂糖。約12%が砂糖です。調味料は砂糖と胡椒少々。塩は使っていません。
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米1合に対して砂糖20gを入れました。正直、入れすぎたなぁと思った。
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ワイン25g、ケチャップ10g、ウスターソース5g、砂糖20gでハンバーグのソースを作りました。
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ワインは80gに対して8gの砂糖。10%が砂糖です。

たっぷりの砂糖でわかりやすい甘さを目指しました

「甘い=美味い」をわかりやすく実感するために、砂糖は心持ち多めに使用しました。

肉に20g、ご飯に20g、付け合わせに10g、ワインに8g、ソースに20g。合計で78gの砂糖を使いました。カロリーに換算すると、386kcalとなります。丁度1時間歩く程度のエネルギーですね(基礎代謝含む)。

では1時間ほど掛けて完成した砂糖ハンバーグ定食を食べて、味の評価をしたいと思います。 

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付け合わせの人参のグラッセとじゃがいもも砂糖でコーティング。砂糖は10g使っています。
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砂糖ハンバーグディナー完成

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こうしてみると相当に美味しそうですな。このディナー。

では、いただきます

まずはハンバーグから。重量比12%の砂糖を含む上に、焼いて肉汁が飛んだ分砂糖率は更に上がっているであろうハンバーグ。これまた甘いソースを掛けて、そいや!っと口に放り込みました。

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どうよ、なかなか良い焼け具合でしょ。

うっ…甘い…。

「甘くて美味しい!」と言いたかったのに、思わず呻いてしまった。口直しに、とワインを一口。これも甘い。ちょっとサングリアっぽいかもと思いましたが、それにしても甘い。

砂糖20gを投入したソースは、なぜかイチゴジャムの味がしました。ワインの酸味とフルーツ加減、トマトケチャップ、ウスターソース、そして砂糖。これでどうやらイチゴジャムっぽい物が出来るようです。無駄な発見をしてしまいました。

ハンバーグはとにかく甘い。肉汁が甘い。肉が甘い。第一、匂いが甘い。これは……。

マズイ。

どうしたもんかと思いながら付け合わせも食べましょう。

野菜は甘くておいしくなったか?

ハンバーグの甘さに驚いた後は付け合わせ。人参のグラッセとじゃがいもを食べました。これが、驚いた事に美味しいのです。

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表面を飴状になった砂糖が覆っています。

美味い!と言うほどではないですが食べられます。なんというか、大学芋っぽい感じでした。

ただ、もうちょっと砂糖は少なめでも良いと思いました。

三角食べで、次はごはん

そして、砂糖20gを投入したご飯。さてさて、と思って食べたところが、またしても甘い。

そもそも、米自体が甘いのに更に砂糖を入れるのが間違いだったのかもしれません。いや、入れるにしても20gは多すぎだったという事でしょうか。

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しょっぱい塩昆布と合う甘み。いや、昆布負けてたけど。

ふじっ子の昆布を載せて食べたら割と食べられる味になりましたが、それでもまだ甘みが、

「はい!はい!!オレ、甘み!!ねぇ!こっちを見てよ!!僕はここにいるよ!!」

と、主張してきます。この出たがりめ。

もう無理っす

付け合わせとご飯の甘みはまだ耐えられたんですが、ハンバーグは半分ほどで口が受け付けなくなりました。ハンバーグだけに。ゴメンな、ハンバーグ。

しかし捨てるのはあまりに忍びないのでケチャップをたっぷり掛けて味をごまかして食べきりました。

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ケチャップをモリモリと掛けて食べました。これならまだ食える。

全部食べた後は血糖値が上がったせいか、体がカッカして、盗んだバイクは無いけど夜の街に走り出したい気分でした。

ダメだダメだ!作り直しだ!!

こんなマズイ物を作るつもりはなかった。デイリーポータルZの打ち合わせでも、「マズイ物を作って笑いを取るつもりはない」と言い切ったのだ。このままじゃ終われない。なんとしても、甘くて美味しいハンバーグを作らねばならない。

そこで、どのくらいの量の砂糖を入れたら美味しいハンバーグになるかを調べてみました。

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砂糖の量を大幅に減らしました

砂糖ハンバーグが不味かったのは、砂糖を入れすぎたせいです。他に原因は考えられません。そこで、今度は砂糖の量を大幅に減らしてリトライしました。今度こそ美味しい甘い食卓を完成させてみせます。

3種類の砂糖ハンバーグを作ります

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肉の残量の都合で、1個35gのミニハンバーグになりました。

丁度良い砂糖の量を調べるために、3種類のハンバーグを作る事にしました。肉の量はみんな同じで、1個35gです。それに、それぞれ1g、2g、3gの砂糖を加えてハンバーグにします。それぞれの砂糖率は、

1g 2.7%
2g 5.4%
3g 7.8%

となります。3gの場合、7.8%で最初の失敗作と近いのでかなり不安な予感がします。

米の砂糖も大幅減です

米に入れた砂糖も、20gから3gに減らしました。1/7です。これなら十分自然な甘さの範囲に収まる気がします。

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20gから3gと、大幅減です。

では、焼きます

3種類のハンバーグを焼いていきます。ちゃんと美味しい物を作りたいと思って、塩と胡椒を振りました。

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裏に識別用のエノキタケを埋め込んであります。小さいからすぐ焼けました。

ハンバーグソースは、砂糖を使わずにワインとケチャップとウスターソースで作りました。そもそもケチャップやソースに砂糖が入っているので、更に砂糖を入れたら甘み過多になってしまいます。

付けあわせのグラッセに使う砂糖も3gと大分減らしました(前ページは10g)。

砂糖ハンバーグディナー改良版完成。

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なんだかとっても美味しそうです。
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改良版、完成しました

と言うわけで、あっという間に砂糖ハンバーグディナー改良版が完成しました。ハンバーグと付け合わせ、ご飯に砂糖を入れてあります。合計で12gです。78gから随分減らしました。減糖です。最初からこのくらいで作れば良かったと思います。

では、実食です。果たして、今度は美味しく作れたのでしょうか?

砂糖ハンバーグを食べ比べます

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とても美味しそうなハンバーグです。普通の食卓だったら小躍りしてたかもしんない。

では、いただきます

まずは、3g、7.8%の砂糖を含むハンバーグから。

……甘い。

ソースに砂糖を入れていないので大分マシだけど、まだ甘みの自己主張が激しいです。これは間違いなく甘い。甘くて、マズイ。やはり7.8%ではまだ濃いようです。

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小さいので甘くて不味くても大丈夫です。

無糖ワインで口直しをして2個目に行きましょう。2個目は2g、5.4%の砂糖ハンバーグです。

……あれ?美味しい?

これはうまい。ハンバーグだけ食べると甘さがわかりますが、ソースを付けるとこれがいい塩梅です。問題なく食べられます。うっすら甘いご飯とも合い、食が進みます。甘くて美味い。これだよ、求めていたのは、これなんだよ!

そして3個目は1g、2.7%の砂糖ハンバーグ。

美味い!!

これは本当に美味しいと思いました。「このお肉、甘くておいしい!!」と言えます。ハンバーグソースのうっすらとした甘みと酸味、肉のうま味と砂糖の甘みがバランスよく口の中で共存し、失敗ハンバーグのように甘みだけが前面に出てくる事がありません。

「甘い=美味い」

が成立した瞬間でした。

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ごはんはなかなか美味しかった。もうちょっと砂糖を少なくした方が美味しいと思いますが。

ご飯は、少々甘みが強くて砂糖を入れた事がわかる感じですが、塩昆布やハンバーグと一緒に食べると美味しく食べる事が出来ました。もう少し減らして、1合につき1g程度の砂糖なら美味しいご飯になるんじゃないかと思いました(調査しなくて申し訳ありません)。


何事も、多ければ良いってもんじゃない

甘いものはうまい。だからという事で砂糖をドバドバ入れて甘いハンバーグを作ってみたのですが、案の定気味の悪い味になってしまいました。何事も、過ぎたるは及ばざるが如し、ですか。

ハンバーグにしろ、ご飯にしろ、あくまで砂糖は隠し味程度に少量入れるだけで十分でした。これからは、ちょっとだけ砂糖を入れる料理を作って、「美味しい甘い食卓」を目指そうと思います。

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ところで、焼いたタマネギが甘くて美味しかった。

そういえばひとつ気が付いた事があります。タマネギです。冷蔵庫の中身を一掃するためにタマネギを輪切りにして焼いたのですが、これが甘くて美味しかったのです。

……ハンバーグに炒めたタマネギを入れるのって甘みを増すためなんですね。

砂糖なんて入れるまでもなく、もともと甘みを添加する事になっていたんですね、ハンバーグって。ぎゃふん。

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