ありがとう、父
資さんうどんが本当に好きなのだ。先にも書いたように資さんうどんというジャンルを確立している。ちなみに私は丸亀製麺も大好きなのだけれど、そっちも丸亀製麺というジャンルを確立している。うどんではないのだ、資さんうどんなのだ、丸亀製麺なのだ。そして、今回の半生資さんうどん、美味しかった。そのジャンルに恥じない味だった。ありがとう。あと送ってくれた父、ありがとう。
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資さんうどんというものがある。
北九州のうどん屋さんで、今では九州はもちろん大阪にも店舗がある、それはそれはとても美味しいうどん屋さんだ。北九州のソウルフードと言われている。
資さんうどんは店舗で食べるか、通販で冷凍のものを買うかしか、基本的には食べる方法がないのだけれど、スーパーに出かけると半生のものが売られていた。常温保存できるのだ。
これで店舗がない地域でも、冷蔵庫のない家でも、いつでも資さんうどんを食べることができる。
福岡県北九州市。九州地方最北端の都市だ。そんな北九州で生まれ育った人ならば誰もが「資さんうどん」の存在を知っていると思う。「地球の歩き方北九州市」でも、北九州のローカルグルメとして、資さんうどんは紹介されている。
私は北九州で生まれ、今も実家が北九州にある。転勤族だったのでずっと北九州に住んでいたわけではないけれど、子供の頃から「資さんうどん」を食べて育った。今も実家に行くと必ず資さんうどんを食べに出かける。
つまり私は資さんうどんが大好きなのだ。好きな理由は簡単で美味しいから。以前は北九州周辺にしか店舗がなかったけれど、今では九州だけではなく、関西にも進出している。とてもありがたいことで、見かけると食べている。
九州のうどんと言われると柔らかいものを想像する人が多いように思える。ただ資さんうどんの麺は讃岐うどんの製法を北九州の人に合うようにアレンジしたオリジナルのもっちり麺なのだ。讃岐うどんほど硬くはないけどね。
出汁は鯖やうるめ、昆布・椎茸などから作られている。麺と出汁が絡み最高のうどんとなる。私は資さんうどんはうどんというジャンルではなく、資さんうどんという独立したジャンルに属すると思っている。それほどに美味しいのだ。
北九州の実家に行くと日に3回は資さんうどんを食べる。自宅でも食べられれば、とずっと思っていた。私はいま東京に住んでいるので、残念ながら資さんうどんの店舗がないのだ。もちろん東京で食べる方法が全くないかと言えばそうではない。
通販があるのだけれど、問題は冷凍で届くことなのだ。私の家には冷蔵庫がない。ちなみに電子レンジもテレビもベッドもソファもない。つまり届いても保存しておく方法がないのだ。そのためなかなかに頼みにくい状況になっている。
ちなみにではあるが、資さんうどんはぼた餅も美味しい。店内で炊いた餅米で作られるぼた餅だ。これも通販で買うことができる。もちろん冷凍だけれど。最近は通販以外でも、北九州のスーパーに行くと冷凍食品のコーナーで売られていることもある。
店舗では冷凍ではないぼた餅をテイクアウトで買うこともできる。スーパーに行けば冷凍でも買える。北九州の素晴らしい点だ。資さんうどんの聖地だから当然と言えば当然かもしれない。天国なのだ。
冷凍のぼた餅の優れた点は、店舗では食べることができないきな粉バージョンのぼた餅があることだ。私の知る限りは冷凍でしか買えない。食べるともちろん美味しい。私の家には冷蔵庫がないから買えないけど。
話がそれたけれど、今回はぼた餅が主役ではなく「うどん」だ。東京の自宅で、冷蔵庫がなくても気軽に資さんうどんを食べることができればと思う。常温保存できる資さんうどんを望んでいたのだ。叶わない願いかと思っていた。ただ神は与えてくれた。
北九州に住む父が近所のスーパーで資さんうどんを売っているのを見た、と連絡をくれた。私は冷凍のものだと思ったけれど、「常温保存できるやつだよ」と父は続けた。私は迷うことなく、あるだけ買って、全て送って欲しいと頼んだ。
初めて見た。2人前で1袋650円弱だったそうだ。袋の上部には資さんうどんのマークが輝いている。もちろん資さんうどんの文字も光を放っている。期待しかできない一品だ。
父にここ最近で一番ありがとう、と言ったかもしれない。資さんうどんの店舗がなくても、家に冷蔵庫がなくても資さんうどんを食べることができるのだ。
白く美しい半生うどんと濃縮つゆが入っている。今まで半生の資さんうどんが見たことがなかったので楽しみだ。お店の味にどのくらい近づいているのだろうか。ちなみに麺のゆで時間は13分から15分。麺のゆで時間の長さが楽しみに比例します。
出汁の素晴らしい香りがする。麺は輝いている。自宅で素人の私がただ茹でただけなのに、麺が輝いて見えるのが素晴らしい。食べる前にから美味しいのがわかるのだ。
甘辛く味付けした牛肉やスティック状のごぼ天がないから寂しくは見えるけれど、食べてみるとこれが資さんうどんの味なのだ。お店で食べるあの味。つまりめちゃくちゃ美味しいのだ。常温保存なのにきちんと資さんうどんなのだ。
半生うどんだから、お店で食べる味には遠く及ばないと思っていた。もちろん比べれば店舗の方が美味しいと思うが、そこまで差を感じないほど美味しい。
これは素晴らしい。ぜひ私の自宅の近くのスーパーとかでも売って欲しい。美味しさに感動した。
資さんうどんが本当に好きなのだ。先にも書いたように資さんうどんというジャンルを確立している。ちなみに私は丸亀製麺も大好きなのだけれど、そっちも丸亀製麺というジャンルを確立している。うどんではないのだ、資さんうどんなのだ、丸亀製麺なのだ。そして、今回の半生資さんうどん、美味しかった。そのジャンルに恥じない味だった。ありがとう。あと送ってくれた父、ありがとう。
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