特集 2019年10月23日

「恋愛のストライクゾーン」をそのまんま野球ゲームにしたらこうなった

「私のストライクゾーン」を野球のストライクゾーンで見える化して遊ぶ

よく「あの人、私の(ど)ストライク!」などという言葉がある。さらに「○○のストライクゾーン」と、好みの範囲を表すためによくストライクゾーンの表現が使われるものだ。

それはご存じのように野球から来ているのだが、それをそのまんま野球のストライクゾーンにしてゲーム化したらどうなるか?

やってみた。

ライター、番組リサーチャー。過去に秘密のケンミンSHOWを7年担当し、ローカルネタにそこそこくわしい。「幻の○○」など、夢の跡を調べて歩くことがライフワークのひとつ。ほか卓球、カップラーメン、競馬が好き。(動画インタビュー

前の記事:服が燃えたら、ここに飛び込め! 街にひっそりあった「すごい防災」

> 個人サイト 文化放想ホームランライター

好きなものをストライクゾーン、嫌いなものはボールゾーンへ

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好きなものほどストライクゾーンの真ん中へ札を置く

この「ストライクゾーンゲーム」は野球ボールのように丸い絵札を、好きなものはストライクゾーン、嫌いなものはボールゾーンへ置く。

さらに「どストライク!」と思える絵札ほどストライクゾーンの真ん中に近づけ、逆であれば遠ざけるのだ。

ルールは基本「野球といっしょ」

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野球と違うのは「フォアボール→1点」ぐらい

ルールをぜんぶ言語化すると複雑だが、基本的には「野球といっしょ」と考えてほしい。

あとゲームバランスを考えて、四球(フォアボール)やデッドボールを「即一点」にしている。

なお一度使った札は使えないので、強い札は決め球として取っておくのも手だ。

プレイボール

さあやろう。今回は友だちのいない僕の対戦相手として2人の強力な助っ人が来てくれた。まずは担当編集の石川大樹さんである。

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まずじゃんけんで先攻後攻を決める
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出す札が見えないように、ついたての後ろで選ぶ

なお第一戦のテーマは「好きなオトコ(歴史上の偉人)」だ。

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そうそうたるラインナップの中から選んだ

はじめは当然女性でやりたかったが、「女性の顔を品評するのはいまの時代アレなので」とNGが出たため、その結果「(男が女として)オトコの好みを判定する」というなかなかのテーマになった。

だが気を取り直して、教科書に出てきたアイツは「オトコとしてどストライクなのか?」をストライク・ボール判定してやろうじゃないか!

こんな感じでやっていく

実際にやっているところを見せていこう。

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まず守備側(ピッチャー)攻撃側(バッター)に札を出す
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芥川龍之介……オトコとしてストライクだと思う?
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攻撃側が考えた末、ストライクゾーンに札を置く
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芥川龍之介は、外角高めのストライーク!

なお実際の野球と違うのが、守備側(ピッチャー)によって投げられた札のコース(場所)を、攻撃側(バッター)が決めるところ。ゲームバランスを考えてこうなったので、申し訳ないが覚えて欲しい。

野球っぽく連続で見よう

これを繰り返して連続で見てみると、こうなる。

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石川さんのオトコの好みがあらわになる

1球目:徳川家康 142km/h ストライク
2球目:ガンジー 128km/h ボール
3球目:西郷隆盛 145km/h ストライク
4球目:ベートーベン 141km/h ストライク

この場合、家康と西郷とベートーベンはストライク(オトコとしてアリ)となり、ガンジーはボール(オトコとしてナシ)になるわけだ。

ガンジーだけストライク判定しなかった理由を石川さんに聞いたところ、「若いころは性豪で危ない人だったからダメ」とのこと。安定志向の乙女である。

ともあれワンアウトを取ったので、この調子でどんどん試合を進める。次も連続で見てみよう。

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「超エラい人なので……」と聖徳太子はどストライクに

1球目:芥川龍之介 142km/h ストライク
2球目:福沢諭吉 118km/h ボール
3球目:坂本龍馬 122km/h ボール
4球目:滝廉太郎 124km/h ボール
5球目:聖徳太子 151km/h ストライク
6球目:勝海舟 143km/h トライク

石川さん、福沢諭吉・坂本龍馬・滝廉太郎なる歴史的3偉人をボール(オトコとしてナシ)と判定する怖い物なしである。

中でも早世した滝廉太郎に関しては、「23歳で先立たれたら……残された女の子としては寂しいですよね」と、すっかり女子の気持ちで答える石川さんだった。

これでツーアウト。さらに試合は続く。

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生涯童貞の宮沢賢治もストライク判定

1球目:野口英世 150km/h ストライク 
2球目:織田信長 156km/h ボール
3球目:バッハ     148km/h ストライク
4球目:宮沢賢治 137km/h ストライク

謎の髪型の肖像画で音楽の時間に語り草となったバッハをまさかのストライク判定である。

なぜバッハがオトコとしてOKなのか聞くと、「偉大な作曲家なので……」と答え、デートもOKだそうである。ルックスでオトコを判定しない、よくできた方だ。

なお天下の織田信長は「泣かぬなら殺してしまえの人ですよね、イヤです」と切り捨てるなど、石川さんのオトコの好みをバッチリ知ることができた。

ともあれこれでスリーアウト。攻守交代、こんどは筆者(辰井)が攻撃する番である。

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筆者のオトコの好みがあらわになる

今度は筆者がオトコを選んでいこう。もちろん自分がオンナだと想定してのガチ視点である。

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石川さんが僕に札を渡し、しばし考えて……

 

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このように置いていく

そして筆者が恐れ多くも「偉人たち、オトコとしてストライクゾーンか?」を選んだ結果がこれである。

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黒船ペリーはインハイギリギリいっぱいにストライク

1球目:織田信長 149km/h ストライク
2球目:ペリー 152km/h ストライク 
3球目:宮沢賢治 122km/h ボール
4球目:カーネルサンダース 135km/h ボール
5球目:リンカーン 146km/h ストライク

織田信長もペリーも強権を振りかざした賛否両論のオトコだが、「お金を持っているから、嫁になったら生活がラクそう」という理由でついストライクにしてしまった。

なお生涯童貞で亡くなった宮沢賢治やおじいさんのカーネル・サンダースはボールゾーンに札を置いた。「男の趣味わかりやすいな!」との声が飛ぶ。

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何を出そうか……石川さんの大脳がムダにカロリーを使っている

そして辰井ジャイアンツの2番バッターへ、石川タイガースのピッチャーが襲いかかる。

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筆者の好きなオトコがわかる誰得の連続写真

1球目:モーツァルト 148km/h ストライク
2球目:シューベルト 140km/h ストライク
3球目:アインシュタイン 152km/h ボール
4球目:芥川龍之介 144km/h ストライク

モーツァルト、シューベルトらのイケメンは当然のごとく真ん中のストライクにし、おじいさんのアインシュタインはボールにする。自分のことは棚に上げ、ルックス重視のスタイルだ。

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ああ~どこに置こうかな?

早くもツーアウトを取られた辰井ジャイアンツに、ピッチャー石川がうなりを上げる。

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最後はふくれっ面のベートーベンで三振!

1球目:勝海舟 153km/h ストライク
2球目:坂本龍馬 147km/h ストライク
3球目:西郷隆盛 152km/h ボール
4球目:ベートーベン 145km/h ストライク

歴史上のヒーローをどんどん放ってきたピッチャー石川に対し、どんどんストライクを奪われるバッター辰井。だが西郷隆盛はカワイイ系男子が好きな筆者の目にはかなわず、ボールと判定した。

しかしあえなくスリーアウトチェンジでゲームセット。今回はどちらにも点が入らなかったので、ボールの数で判定する。

僕のボールが4つ。対して石川さんのボールの数は5つ。というわけでこのゲームの作成者である僕の負けだ。

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考案者、敗北

勝手なゲームを作っておいて負ける、これがカッコ悪い大人の姿である。

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今度は「食べもの」でやる

次の勇敢なるチャレンジャーは、当サイトの編集からもうひとり来ていただいた編集の安藤昌教さんだ。

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会うやいなや、中日ファンの嘆き節を聞かされた

僕と同様に子どものころから親に強制的に野球中継を見せられるという手荒い教育を受けた結果、野球好きになってしまった共通体験を持つ。

しかし安藤さんは中日ドラゴンズファンのため、現在7年連続Bクラスという地獄の日々を過ごす。

その安藤さんと対決するにあたりテーマを「ごはん」に変える。「ストライクゾーンなごはん」を選んでいく戦いだ。

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どのボールを投げようか……しばし考える

今度は先攻と後攻が入れ替わり、先攻が辰井である。

なおこのテーマではゲームバランスを考えてやや厳しめに「好きと言えるかどうか」をストライクの基準にした。「食べられるけど好きではない」ものはぜんぶボールだ。

さらにゲーム性を高めるため、「好き嫌いの出やすい食べ物」を多めに入れた。

さっそくプレイボール。

「好きな食べ物」を読み合うし烈な戦い

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いきなりフルカウントになる

1球目:マックフライポテト 149km/h ストライク
2球目:二郎ラーメン 155km/h ストライク
3球目:ビール 143km/h ボール
4球目:たくあん 129km/h ボール
5球目:福神漬け 138km/h ボール
6球目:激めんのワンタン 143km/h ストライク

いきなり筆者の食べものの好き嫌いがあらわになった。

たとえばビールは付き合いでは飲めるが「好き」というほどではないので、気兼ねのない飲み会ではレモンサワーやハイボールを頼むのだ。

福神漬けもやや微妙、たくあんに至っては思わず目をつぶって食べるぐらいの存在だ。

そんな誰も知りたがらない筆者の食べ物の好き嫌いをあらわにしながら、どんどん行こう。ピッチャー安藤がバッターの僕に、食べ物ボールを次々投げ込む。

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パクチーも大きくボールゾーンへ

1球目:レバー 143km/h ストライク
2球目:パクチー 139km/h ボール
3球目:カップヌードル 148km/h ストライク
4球目:ドンパッチ 158km/h デッドボール

と、まさかのデッドボールが出てしまった。

若い方はご存じないかもしれないが、ドンパッチとは1980年代に一世を風靡した、はじけるキャンディである。

口が痛くなるのがイヤで、周りから無理やり食べさせられるのが非常に苦手であった(今も類似商品はある)。そのためデッドボールにさせてもらった。

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だがデッドボールを出してもこの余裕、大投手の条件である

ともあれこのデッドボールのおかげでわが軍に1点が入った。さあ試合再開。

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三球三振

1球目:冷や奴 141km/h ストライク
2球目:ポテトサラダ 137km/h ストライク
3球目:カール 144km/h ストライク

ここは僕の好きなものばかり出たので、あっさり三振。

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魔球「酢豚のパイナップル」も飛び出した

1球目:いなり寿司 139km/h ストライク
2球目:酢豚のパイナップル 144km/h ボール
3球目:梅干し 150km/h ボール
4球目:ナポリタン 144km/h ストライク
5球目:からあげにレモン 147km/h ボール
6球目:ソースせんべい 141km/h ストライク

これまた、筆者の好き嫌いが大きく出た対戦である。まずただひたすらすっぱい梅干しは子どものころから苦手だったし、酢豚にパイナップルも憂鬱な存在だ。「からあげにレモン」もなかなかに微妙な組み合わせである。

しかし最後に好物のソースせんべいが出たことで、四球での1点獲得はならなかった。

これでスリーアウトチェンジ。しかし辰井ジャイアンツはついにこのゲームはじまって以来の1点を獲得した。これは大きい。

安藤さんのストライクゾーンが読めぬ

さあ今度は、その1点を追いかける安藤ドラゴンズの攻撃である。

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ピッチャーは何を出そうかムダに悩む
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いきなり三球三振

1球目:梅干し 149km/h ストライク
2球目:しば漬け 145km/h ストライク
3球目:納豆 151km/h ストライク

あっさり三球三振となった安藤ドラゴンズ、本当の中日ドラゴンズを思わせるような低調ぶりである。

なお安藤さんは2大・好き嫌いが分かれる食べ物である「梅干し」と「納豆」も大好きなのだとか。そんなわけで次の対戦である。

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最後は「ひじきの煮物」で三振

1球目:二郎ラーメン 154km/h ボール
2球目:ビール 146km/h ストライク
3球目:カップヌードル 144km/h ストライク
4球目:ひじきの煮物 126km/h ストライク

特筆すべきは1球目の二郎ラーメンがストライクゾーンを大きく外れたことである。聞くところによると二郎の脂が本当に苦手で、この記事のときも内心けっこう我慢していたとのこと。

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もちろんビールはどストライクである

ともあれツーアウト。次の対戦でこのまま一気の勝利をねらう。

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まさかのフォアボール

1球目:しいたけ 136km/h ボール
2球目:キムチ 147km/h ストライク
3球目:カップラーメンのなると 112km/h ボール
4球目:乾パン 108km/h ボール
5球目:トマト 146km/h ストライク
6球目:ネギ 150km/h ボール(フォアボール)

ついにこの試合はじめてのフォアボール(四球)を出してしまった。これで1-1の同点である。

もう投げられるいい球が無くなってきたので、「カップラーメンのなると」とか「乾パン」とかをヤケクソで投げていたのがアダになってしまった、自業自得だ。

ちなみにカップラーメンのなるとは「もはや認識すらしてない」そうだ。おい聞いたかなると、忘れられているぞ。

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カップラーメンのなるとはボールゾーンへ大きく外れた

これでついに同点。しかしあと1アウトを取ればいいので、ここはピシャリと後続を断ちたい。

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「セロリ」がまさかのウイニングショットに

1球目:たくあん 138km/h ストライク
2球目:吉野家の牛丼 150km/h ボール
3球目:ゴーヤー 153km/h ストライク
4球目:マックフライポテト 147km/h ボール
5球目:セロリ 129km/h ストライク

ストライクを狙って投げた吉野家の牛丼やマックフライポテトがボールになり面食らったが、イチかバチかで投げた野菜がストライクとなり、最後にSMAPの曲よろしく「セロリ」でストライクを奪い、三振を取った。

これにより1-1の同点でゲームセット。というわけでまたもやボールの数で勝敗を決する。

僕のボールの数が7。対する安藤さんのボール数は7……引き分けだ。

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この表情が示すとおり、微妙な終わり方に

中途半端な終わり方になったが、楽しい撮影になった。


挑戦者求む

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丸札はキンコーズで厚紙に印刷し、100円ショップのハサミで切った

なんとなく野球のストライクゾーンを把握していれば遊べるこのゲーム。知らない人も「好きなものほど真ん中に置く」ことを守ればOKだ。

ちなみにこの丸札をPDFにしたので、隕石が降ってきて地球全ての娯楽が消滅した日など、もしヒマがあればやってみてほしい。

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