情報がギュっとなっているものは良い
町屋で個人商店などが固まった看板を見つけたので、これもみんなで見た。
石井:でっかくもんじゃ焼きって書いてあるお店がある。店名じゃなくて
林:ゆで太郎に「おそば」って書いてあったりスギ薬局に「くすり」って書いてあったり、あれすごくいいですよね
石井:デイリーポータルZだったらトップ画面に「記事」とか
トルー:「文字」とかね
商業施設にはレストラン街がある。レストランの街。すごい言葉だ。
その看板を見ながら「あ、大戸屋あるよ」「鎌倉パスタってここにもあるんだー」とか言いあうのが好きだ。
何かを見つけて嬉しくて口に出して言う。「◯◯もあるじゃん」なんてピュアなんだ。
その時間だけ、色んなレストラン街の看板でやってみたい。
色んなレストラン街の看板を撮ってきた。これを見ながら「◯◯もあるなー」って言おう。
岡田:あー…!
石井:はいはい
林:ダッキーダックあんじゃん!
石井:ケーキでかいですよ
トルー:おぼんdeごはんとか、こういうところにありますよね
林:なんか90年代っぽくない? 俺がよく飲みに行ってた頃の布陣
林:(調べて)…「かかや」って読むらしいです
石井:こういうところ選ばないですね
トルー:僕も…! 興味はあるんですけど
石井:かと言ってどこがいいっていうのもなくて、中入ってぐるぐるぐるぐる回る
林:パンケーキね!
石井:パンケーキ
トルー:パンケーキなー!
見えた飯、聞こえた音を繰り返ししゃべる。
レストラン街の看板の前でする会話が見事に再現された。みんなそれぞれ食べ物について考えながら油断した言葉を漏らしている。
いつもはこの辺でお店を決めるが、今日はもうずっと「へー」と言っていていい。看板の細かいところを見てもいい。
トルー:何だ?
石井:シフォンケーキじゃないですか
トルー:横に倒したんだ
林:パスタとサラダとケーキか?
岡田:お店にあるもの全部見せたかったんだ
トルー:ケーキがおかずのセットメニューに見えますね
どこにするか決めよう。
林:俺ダッキーダックだな
岡田:私フォーですね。
トルー:こういうところでエスニックに行けるの大人って感じしますね
岡田:馴染みのないものが食べたいんですよね
石井:五右衛門か紅虎ですね。保守的だなー
トルー:僕も五右衛門かもしれない
石井:ケーキ食べるためにダッキーダックにするかもなー
バラバラになった。みんなで来ていた場合はじゃんけんで決めよう。多数決でダッキーダックか五右衛門でもいい。
林:ねぎし入ってますね、いいな
岡田:かつくらって京都のとんかつ屋さんで大学の時めっちゃ行ってました
林:ラケルもあるね!
岡田:パステルだ、プリンのおいしい
トルー:あ、聞いたことある!
林:ごはん食べたことないけどうまいんでしょうね
石井:椿屋カフェがある
林:サンマルクじゃん!
石井:混んでそうだな…!
体があったまってきたのか、矢継ぎ早に「◯◯がある!」を放った。各々が言いたいことをただ発していてギリギリ会話になっていない。それがいいんだ。
そして満足がいくと「ここは何?」が始まる。
次は日本最大と言われる越谷レイクタウンの看板でやってみる。
林:うわー…!
岡田:「うっ」ってなりますね!
石井:神経衰弱みたい
林:スタバでしか息吸っちゃいけない企画やろうよ
岡田:息!?
トルー:制約がキツすぎる
「鎌倉パスタってやけにありますよね」「ヴィレッジヴァンガードが飯屋やってんだ」などの発言も出たが、情報量に圧倒されて疲労が勝ってきた。
岡田:ソフトクリーム食べて帰るかも。ご飯は家でいいやって
石井:ドトールあんじゃん、俺ドトールでいいや
林:でも家族でいるとさ、ドトールでいいやって言いにくくないですか?
石井:それでマックに行っちゃうんだよな
トルー:次見つけた空いてるところにするんでしょうね
石井:怖いですよね…! もう
ショッピングセンターで疲れ切った団体の会話も再現された。「◯◯あるじゃん」のずっと先には「◯◯でいいや」がある。
多すぎるとぐったりしてしまう。逆に少ない看板でやってみよう。
石井:あー! これは迷わないですよ
林:写真をさ、自分で撮ってる感じがいいよね
岡田:疲れないです
トルー:脳が処理できる範囲ですよね
石井:あー、いいなー。そじ坊があると落ち着きますね
林:そじ坊、俺も落ち着きます。今まで働いたオフィスビル全部にそじ坊があった
石井:そじ坊と和幸ってキーポイントな感じしますね
トルー:越谷レイクタウン駅を降りてすぐのところにあるんですよ。すぐ隣がレイクタウンで
岡田:エが小さいんだ
トルー:スクェア
石井:越谷レイクタウンにパン屋なくなかったですか? ちゃんと棲み分けてるのかも
岡田:ヴィドフランス、安心感あります
小さなレストラン街はどれも好評だった。選ぶことに楽しみはあるが、同時にストレスもあるのだと思う。
ちょうど良い数の選択肢が現れた時に、のびのびとした「◯◯もあるじゃん」が出てくるのだ。
一時間ほど、色んな看板を見て話した。
だいたいこんなことが分かった。特に印象的だったのは、越谷レイクタウンの看板を見ながら石井さんの声が途切れなかったことだ。
処理しきれなくなった情報が溢れ出てくるようで恐ろしかった。石井さん自身も最後「怖い」って言ってたし。
考え無しに言葉が出ちゃう感じがおもしろいなと思ってやってみたが、大きすぎるとパンクすることが分かった。危険なのでほどほどにしよう。好きじゃないお店でおいしく食べたっていいじゃないか。
町屋で個人商店などが固まった看板を見つけたので、これもみんなで見た。
石井:でっかくもんじゃ焼きって書いてあるお店がある。店名じゃなくて
林:ゆで太郎に「おそば」って書いてあったりスギ薬局に「くすり」って書いてあったり、あれすごくいいですよね
石井:デイリーポータルZだったらトップ画面に「記事」とか
トルー:「文字」とかね
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