今に昔の旅
ドイツの再統一は1990年。随分と昔にも感じるけれど、最近のことでもある。多くのガイドブックは最新であることが求められるけれど、このような古いガイドブックを使った旅も悪くない。もっとも最後にビールを飲んだお店はネットで探したけど。
引用文献
「エアリアガイド/123西ドイツの旅」田中純 昭文社 1989
「世界文化シリーズ3ドイツ」世界文化社 1966
西ドイツの繁華街「クーダム」にカイザー・ヴィルヘルム記念教会が建っている。第二次世界大戦で爆撃されたままに残っている。1966年に出版された「世界文化シリーズ」では表紙に使われている。
カイザー・ヴィルヘルム記念教会自体は変わっていない。その周りの建物は少し変わっているかもしれない。当時あったお店がなくなり、新しいお店になっている。たとえば、1989年に出版された本には「マルシェ」という飲食店が紹介されている。料理の種類が豊富だったそうだ。
なくなっていた。世界的に有名なランジェリー会社のポスターが大きく飾られている。また1966年の世界文化シリーズにはこの近くのヨーロッパセンターのカフェテラスが紹介されていた。いつも観光客でいっぱいとある。
今は観光客でいっぱいということはないようだった。もっとも私がドイツを訪れた時は、クリスマスで盛り上がる直前にわずかにやってくるシーズンオフの時期だったから人が少なかったのかもしれない。ちなみにこの近くには無印良品があって私はトレーナーを買った。
ベルリンにかつてあった空港「テンペルホーフ空港」。1989年のガイドブックによれば、西ドイツの主要都市やロンドン、パリ、ニューヨークなどに直行便が飛んでいたそうだ。1966年の世界文化シリーズには写真が載っている。
写真のオブジェは記念碑だ。ベルリン封鎖の際に西欧側の大空輸作戦をしのぶ、「ルフト・ブリュッケ(空の橋)」というものだ。当時はベルリンに来る際は皆ここに降り立った。しかし、2008年に閉鎖された。
ヒトラーの命令により建築家であるエルンスト・ザーゲビールの手によってデザインされた。私が訪れた時は誰もいなかった。ビジターセンターみたいなものもあって、もしかして見学できるかも、と思ったのだけれど、休みだった。
本当に知らなかった。火曜日が休みなんだね。休みかい、と驚いた。明日来ようにも、明日には私は日本に帰ることになっていたし、別の記事で書いたけど、いまベルリンで話題のケバブに並ぶことを優先したので見ることはできなかった。いつか見たい。ケバブは美味しかった。
当時の検問所「チェックポイントチャーリー」にも行った。当時は24時間開いていて、パスポートを提示し、5DMを払うと1日ビザが交付された。このビザは24時間しか効力がないので、それまでに西ベルリンに戻らなければならなかった。
とても観光地になっていた。周りの建物や看板等は当時の面影を残すけれど、もちろん緊張感のようなものはなく、スーベニアショップに行くとベルリンの壁の破片がお土産として売られていた。本物なのかな、と思いながら見ていた。買ったけどね。
最後は東ベルリンにあった「テレビ塔」に行く。1989年のガイドブックを見ると、高さは365メートルでコンクリート製の塔とある。1969年に完成した。その高さにより、西ベルリンからも望むことができた。
本当に関係ないのだけれど、写真と同じ場所を見つけたことを褒めてもらいたい。歩いていると、「ここ見たことある、俺、ベルリン育ちだっけ?」と思ったのだけれど、穴が開くほど見ていた1989年のガイドブックにある写真の場所だった。
このテレビ塔はいろいろなところから見えた。先にも書いたように当時の西ベルリンからも見えた。当時の人はこれを見てどんなことを思ったのだろうか。回転するカフェが展望台の上にあって、行ってみたいと思ったのだろうか。
当時はともかく、今はこのテレビ塔に登りたいという人はたくさんいるのは間違いない。行ってみると予約制で昼間に行ったのに、その日はもう夜の時間しか空いていなかった。人気なのだ。回転するカフェも予約でいっぱいだった。人気なのだ。
東ベルリンはもちろん、西ベルリンもよく見えた。もっとも暗くていきなり夜景スタートなので、綺麗という感動がほぼ全てで、昼間にあそこ行ったな、みたいな感動はなかった。暗くてわからないのだ。こんなに人気だって知らなかった。
テレビ塔を後にしてビールを飲みに出かけた。美味しかった。アイスバインとビール。私はドイツにいる間、ずっとビールを飲んでいた。飽きることはなかった。当時の人々も飲んだのだろうか。写真を撮り忘れて飲みかけのビールを急いで撮った。
ドイツの再統一は1990年。随分と昔にも感じるけれど、最近のことでもある。多くのガイドブックは最新であることが求められるけれど、このような古いガイドブックを使った旅も悪くない。もっとも最後にビールを飲んだお店はネットで探したけど。
引用文献
「エアリアガイド/123西ドイツの旅」田中純 昭文社 1989
「世界文化シリーズ3ドイツ」世界文化社 1966
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