特集 2019年3月8日

神社・寺院の紙もの200枚を鑑賞する会

趣味の神社や寺院の参拝のたびに副産物としていただく「ご由緒書き」「縁起」などのリーフレットや「挟み紙」。なんとなく捨てられずにとってあったものの、日の目を浴びることもなく、ただ奥にしまっていたもの……。そんな神社・寺院の紙ものをただ鑑賞する会を開催したら意外と盛り上がったのだ。

もしかしておれたちは神社・寺の紙ものをつまみに「飲み会」ならぬ「読み会」をしていたのではないか。

1986年生。大人げない大人を目指し、日夜くだらないことを考えています。ちぷたそ名義でも活動しています。(動画インタビュー

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御朱印と普通の半紙と由緒書の標準的なセット

「神社・寺院のリーフレット」というのはその神社で頂ける、神社の由緒や説明が書かれてた紙のこと。御朱印を頂くともらえたり、自分から「ご由緒書ください」と声をかけて頂いている。

「挟み紙」(間紙とも呼ばれる)というのは、御朱印を頂く時に朱や墨が他のページに移らないように押えるための紙のことだ。だいたいは普通の半紙が挟まれるが神社や寺院によっては意匠を凝らしたものが入ることがある。

そういうものは捨てにくく、気が付いたら家にだいぶたまってしまっていた。自分は面白いと思っているけど、どうせなら自分以外の誰かとも神社・寺院の紙ものの面白さを共有してみたい。

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「本当に面白いんでしょうね?」という表情のきだてさんと西村さん

当日は編集部のあるビルの会議室で紙ものを当サイトライターの西村さん、きだてさん、編集部の林さん、橋田さんに見てもらった。見てもらう前、「ちょっと興味はあるとは言ったけど……」「本当に面白いんでしょうね」と疑心暗鬼の表情だった。神社の紙ものの読み会、スタートだ。なお、こちらで紹介する紙ものはすべて私の参拝当時のもの(年代ばらばら)なので注意してほしい。

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 井口:今日は「ご由緒書き」などの神社・寺院の紹介リーフレットと、「挟み紙」を持ってきました。どちらから見てみますか?
きだて:どっちからと言われれば、どっちでもよいわという感想しかない(笑)
西村:半紙が予想できない。ご由緒書きは、要は観光地のパンフレットみたいなやつでしょ。だから想像つくんだけど。
井口:では挟み紙からいきます。

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挟み紙です

橋田:なんか予想してたのと違う!
西村:結構あるなー。神社ごとに違うぐらいある。
井口:本当に朱とか墨とか吸うためだけの紙です。数えたら43でした。

きだて:弾いちゃいけないから、コート紙はほとんどないね。

朱とか墨とか吸うためだけの紙にバリエーションがある

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西村:これは……!! これ、集めてる時に、最初こんなに違いがあると思わずに捨てたりしてた?
井口:捨ててました……!

きだて:あー、やっぱりな。あるある。
橋田:近いところだったらまたもらいに行けばいいけど、遠いところだとなかなか再訪も難しいよね。
井口:だいたいは何も書いていない、普通の半紙が入りますね。
橋田:割合的にはどれくらい?
井口:体感的には普通の半紙が8割ぐらいですね。
きだて:井口さん今御朱印どれくらい?
井口:10冊目入ったのでざっと考えて400近いですね。
きだて:約400のうちの2割、本来だったらもっとあるよね。
井口:あと、一回もらったからいいやって捨てたり。でも最近バージョン違いがあったりすることに気づいて。これとか、もともと判子押していたのが印刷に変わってる。

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平河天満宮、挟み紙がバージョンアップしてた

井口:判子で追いつかなくなってきちゃったんじゃないかなと思いますね。
西村:参拝客が増えたんだ! 紙もちょっと上等になってる。
林 ついでに 金箔も増やしておこうと。 

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井口:挟み紙のデザインにもいくつかパターンがあって、神社寺の説明が入ったり、御朱印はスタンプラリーじゃないと警告してるものとか。神社・寺院によりさまざまです。
西村:怒ってるやつあるんだ。怒ってるシリーズ。
きだて:本当だ。「記念スタンプと混同することなく大切に扱ってください」って書いてあるやつある。スタンプラリーじゃねえぞって釘を刺してる。
西村:あとこれ、もしかして神社の手作りじゃない?
井口:そう! こういうのって神社が手作りしてたりするんですよ~そこがまたいい。
 

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河童大明神(岐阜護國神社の境内社)

きだて:ご由緒書きのほう、読み応えがあるね。あとは文字組み気になるのあるなーー。普段デザインもするから、「文字間隔詰めろや!」と思ってしまうのがある。
林:河童だからしょうがない。

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松陰神社

西村:松陰神社は本当に吉田家の家紋がこれらしい。かっこいいね。
井口:神紋(神社の紋章)あるのは目立つしかっこいいですね。
きだて:それだけで見た目が締まるよね。神紋も入っていて、ご由緒も入っててっていうのは「いい挟み紙」な気がする。
西村:情報が多くていいやつね。あんまり説教かいてあるとね、しょんぼりしちゃうし。

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隆栄稲荷神社

きだて:絵が入ってるのもいいですね。これとかきつねのシルエットとか入ってて足跡とか。これはいいなあ。
橋田:子安神社のこの紙こんなに大きいのはなんで? 他と比べて2倍ぐらいありますね。

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<子安神社の挟み紙、凝っている>

井口:ヘビの方は御朱印帳を開いたページに貼れる、「見開き用」の御朱印用なので大きいんです。八王子の子安神社は紙ものが凝ってるんです。
きだて:これヤマタノオロチの絵だよね。鬼灯と白ヘビもめっちゃかわいい。ぼく子安神社のヘビ超かわいくて好きですね~。キツネのやつもかわいかったですが。
西村:ぼくは神紋が入ってるタイプがいいなあ。
きだて:西村さんはやっぱそこなんですね。

林:おれ怒っているやつがよかったなー。ファンに釘刺すハードな感じ好きですねー。

興味のない人には全く伝わらないであろう、各神社や寺院の挟み紙の違いや面白さを共有することができてとてもうれしい。では次は神社・寺院のリーフレットに移る。

 

神社・寺院リーレットで「読み会」

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井口:リーフレットです。じゃーん。
きだて:じゃーんと来たかー。多いなー。
西村:うわー、こっちもどっさりあるー。
井口 数えたら150くらいでしたね。マニアってほどの量ではないですが。
西村:挟み紙と合わせて200枚くらいか。こういうの、古本屋行ったらいっぱいあるわ。これ、珍しい神社のやつもあるんじゃないですか。
林:こういうの、おれのいく本屋にもあるなぁ。

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太子堂 八幡神社 略記


西村:太子堂八幡神社、神紋にハトがいるね。鎌倉の八幡宮も八幡宮の八の字が鳩ですよね。
井口:鶴岡八幡宮、八の字はハトですが鶴岡八幡宮の神紋はツルなんですね。細かいですね。

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鶴岡八幡宮御 参拝のしおり


西村:ああ、「鶴」岡八幡宮だから! 面白いな。
林:JALのマークっぽいけど全然違うんですね。

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<太子堂 八幡神社 略記より>

林:太子堂八幡神社、「天高くそびえるキャロットタワーの上から展望すると」。
西村: 「 天高くそびえるキャロットタワー」。
きだて:あはは(笑)キャロットタワー確かにあの辺で一番高いですけど。他ないんかい(笑)

林:あとこれも。「お椀を伏せたようにこんもりとした森が見えます」表現がすごくいいですね~。


ラーメン屋みたいなフォント

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久能山東照宮。「社殿大人用」も気になる

林:このフォントおもしろいですね。久能山東照宮。
井口 ラーメン屋っぽい!
林:ラーメンっぽいですね。ラーメンぽいフォントってあるな~。
きだて:金グラデーションのこの感じも「ラーメン花月」っぽい。
林:社殿が派手だから、フォントも派手じゃないと負けちゃうんでしょうね。
きだて:この金グラデも、たぶんイラレに初期設定にあるベーシックなやつじゃないかと。
西村:視点が印刷!
林:イラレやフォトショップっぽいの多いね。これは光彩(外側)を調整したやつっぽいし。


平成じゃない可能性がある

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玉川大師

林:玉川大師。この写真すごくいいね。
きだて:いいなあこれ。すごい昔の感じだなぁ。
西村:これ何年前だろう。平成じゃない可能性あるよね。出せない味わい。
 

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林:ここ行かなきゃな……。この地下霊場、「一切の明りを禁ず」って書いてあるけどどうやって行くんですか?
井口:真っ暗な中を手でつたって行きます。
橋田:こわい!
西村:胎内巡りって清水寺とかにもあるんだけど、やっぱり暗闇の中つたって行くんですよね。
井口:暗闇系ならここもおすすめです。田谷の洞窟。洞窟の中に修行者が彫ったたくさんの仏さまが……。木の先にろうそくをつけたものを渡されて進むのですが、洞窟の全長は1キロとかある。

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西村:1キロの洞窟。 東京近辺にそんな場所が?
林:ダンジョンマップもありますよ。
きだて:これは完全にダンジョンマップですね。
西村:ファミマガとかに載ってそう。
林:ここ押すと開くとかある。
きだて:絶対途中に回復の泉とかセーブポイントがある。



完全に本

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子安神社 由緒書き 年中行事

きだて:あ、子安神社だ。ここは完全に本ですね!
林:これは編集プロダクションが作りましたね。

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井口:周辺の飲食店の情報も入っている。子安神社は紙ものがかなり凝っているんですよね。
きだて:いいですね、歌が入りますね。山口誓子(俳句の大家の人)ですよ。  

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子安神社 由緒書き 年中行事より

林:こういういろんなとこ歩いて歌っている人で、すごいあちこちにいる人いません? というか若山牧水どこにでもいません? 「若山牧水いすぎ問題」ある。
西村:吟行ですね。旅しながら詠んでいるんですよね。
きだて:現代の関西で言うところの「船場太郎の色紙がどこにでもある問題」。
西村:それあるー。関東は石ちゃん。
林:ちょっと有名な店行くと「まいうー」って書いた色紙が飾ってある。
きだて: おれさっきの白ヘビの挟み紙も好きだったし、子安神社好きだな。桜見に行こうかな、子安神社に。
井口:リーフレットから実際に行きたいって流れができたの嬉しいですね。


「人工物が梅ジュース販売コーナーしかない」

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浄土宗 麻生山 浄慶寺

林:案内図が「あじさい、あじさい、ジュース販売コーナー、あじさい……」。人工物、梅ジュース販売コーナーしかない。いいねえー。
井口 ここ、羅漢像がいっぱいのお寺で取材した時の寺院です。いいお寺です。
橋田:あじさいの季節に行かないとね。

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シンプルなのもいい

林:すごくいいですね。ちょっと蕎麦屋ぽいじゃないですか。これが家にあって、蕎麦取る時に見るやつ。中にお品書きが書いてあって。
きだて:はいはいはい(笑)
橋田:そう思った(笑)

観音様のブロマイド 

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大船観音

橋田:これすごい光ってる。
井口:それは観音様のブロマイドです。
きだて:ブロマイド(笑)

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すごい食いつき

西村:え!?(笑)これって大船観音の!? こんなんあるんだ!
林:この光なんすか!?
きだて:イメージですよね(笑)
西村:これ最高じゃん!!(笑)
井口:これは厳密にはリーレットではなく、寺院で買ったお土産のポストカードなんですよね。
西村:こんなんあるの!? 大船観音ってみんな見たことあるけど、実際には行ったことない。ちょっと行かなきゃダメだ!

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大船観音寺 リーフレットより


井口:リーフレットには1979年に日本経済新聞に取り上げられた際の掲載文がついています。
西村: 古い感じだ。2、30年変わってないんだろうな。
きだて:大船観音おれもちょっと行ってみたいんですよね。あと牛久大仏も行かなければならない。
井口:牛久大仏もどこかにリーフレットありますよ。(ごそごそ)ありました!
 

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牛久大仏


きだて:ほおー。この構図はやはりいいですね。ちゃんと比較もありますね。巨大仏はこれがないと!
林:へー。自由の女神より余裕で大きい。こんなにでかいんだ。
井口:写真といい、イラストの感じといいなんか古さ感じますね。
 

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牛久大仏リーフレットより

きだて:花のこの感じが古めかしさを感じる。写真をいろいろ載せたはいいけれど影とかつけろや、溶け込むから(笑)。気になるんですよこういうのが(印刷視点)。
林:お寺とかって綺麗なのが必須なんですよね? 極楽っぽいですね~。
西村:極楽のイメージだ。  

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牛久大仏リーフレットより フレミッシュジャイアント……? 

きだて:うさぎとフレミッシュジャイアントで分けてある(笑)。やたらうさぎに詳しいのに。
林:「やぎ」(笑)
きだて:いいですね。これもデジカメじゃなくて紙焼きの写真なのがいいですね。
林:これに載ってる子どもももう二十歳ぐらいなんじゃないの。

ちなみに、フレミッシュジャイアントというのは世界最大の大きさをほこる種類のうさぎだそうです。


「昭和50年代のananでこういうノリあった」

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谷保天満宮でもらえた紙もの・周辺地図

きだて:これなんて完全にご当地マップですよ。飲食店情報ついて。
西村:国立だ。
井口:御朱印頂いたらご由緒書きと一緒にこの地図いただいて、マークがついているところでおもてなしうけられますと。
林:「なぜかニワトリがたくさんいるヨ!」って書いてある。こういうのすごくいいですね。
西村:これいいですね……。 

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きだて:この「通称ゴリラ公園」みたいな情報すごくいいですね。
林:昭和50年代のananとかこういうノリだった。こういうの好きだなー。「イノシシが疾走?」
きだて:2014年!? 最近じゃないですか。昭和の紙のような気がしてたけど全然最近じゃん! 

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きだて:……うーんリーフレット、いろんなのあって読み応えあっていいなぁ。読むだけじゃなくて、こうやって並べて見ているだけでも場が持つなー。
西村:神社リーフレット面白いですね。
きだて:でもボリューム多いなー(笑)。だいぶ満腹。
林:いいなと思いながらも全然頭に入ってこないんですよね。文章が古めかしいからだと思うんですけど。あと一文が長い。いっそ箇条書きにしてほしいですよね。 

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橋田:最初の挟み紙の時は油断していましたよね。まさかこんなに出てくるとは。
西村:これすごいね。こっちは捨ててなかったんでしょ?
井口:こっちは割と取ってあったんです。よかったなー。でもアップデートされてることに気づいちゃったので2回目以降も捨てられなくてやばいですね。
きだて:これはずっと取っておくべきものですよ!

最後にリーフレットを並べて鑑賞することにした。終わるギリギリになって並べたが、もっと最初に気づいておけばよかったのでは……。

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読む西村さん

林:並べたはじから西村さんが見るっていう(笑)
きだて:大掃除か(笑)
橋田:「終わんないでしょー」って。
きだて:机乗り切らないよこれ! もう一個机寄せよう。

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結局机4つ使った

井口:集めていてよかったなー。
きだて:なにしみじみしてんの(笑)
井口:日の目を浴びると嬉しいもんですねー……。


並べて気づくこと

井口:神社のリーフレットの表紙、青空と社殿写すのがメジャーっぽいですね。季節は春~初夏ぐらいで。
きだて:お社のアップと引きでも雰囲気違いますね。 

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井口:こうやってみると鳩森八幡神社は引きなんだなー。たぶん境内の富士塚から撮っているんだと思いますけど。
きだて:東京大神宮はこれアングル意外性がある。
井口:近いですよね。 

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鳩森八幡神社でもらえたポストカード「千駄ヶ谷の富士塚」 

林:鳩森八幡宮の富士塚、魅力的で行きたくなりますね。
西村:富士山の溶岩を持ってくるんだなー。
林:ディズニーランドの土勝手に持ってきて、「ディズニーランド塚」とか作ったら怒られるかな。
一同:(笑)
林:「ディズニーランドに行ったような効能があります」みたいな。
きだて:いいけど、「塚」だからなぁ(笑)

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タワーと映る神社・寺たち

橋田:高木神社、社よりスカイツリーが目立ってますね。というか表紙でタワーを推す神社って結構あるんですね。
林:東京タワーも、東京タワー大神宮が出来てるけどスカイツリーはまだできてないですよね。
きだて:「スカイツリー神社」ってないですよね。東京タワー大神宮はあるのに、スカイツリー大神宮は無い。
井口:これからできるかもしれない。
林:スカイツリーはまだ蝋人形館できてないですよね。
西村:あはは(笑)それもこれからできていくのかな。

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というわけで神社・寺院の紙ものをひたすら読む会・「読み会」はそれなりに楽しんでもらえたようだったので本当によかった……。歴史好き、印刷、家紋などいろんな視点からの意見がもらえることも楽しかった。ただ、この会気が付いたら神社・寺の紙ものだけで3時間に及んでいたのだ。長い時間ありがとうございました。全然場が持つのすごいぞ、紙もの!

並べて気づいたこと

・神社のリーフレットの表紙は青空と社殿写すのがメジャー
・撮影する季節は季節は春~初夏
・社殿を撮るアングルはさまざま
・近くにタワーがあるとタワーも入れがち

当日は林さんも別の紙もの(家庭教師のパンフレット)を持ってきてくれたが、こうしてそれぞれが推している紙ものを持ち寄って見る会、大いに楽しい。
これからはこうした紙ものをきちんと捨てずに蒐集していこうと思った所存だ。


記事にはしたけど、こうした情報をまとめる方法はまだ模索中

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どう管理すべきかな……

読み会で「参拝した情報をまとめたり、文章に起こした方がいいよ」とアドバイスしてもらって「ブログにしなきゃな~」と思ったが出来ていない。

「スキャンして電子化するべきだよ」ともアドバイスしてもらったけどまだできていない。

とりあえず読み会の帰りにちょっとだけいいファイルを買ってファイリングだけしたがすでにパッツンパッツンになってしまっている。管理方法悩むなぁ。

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