特集 2019年10月15日

最新家電にカバーをかけて昭和感をだす

家電+布カバーの可能性を探りたい

かつて自宅の電話機に、布で作ったカバーをかける文化があった。あれを見ると「昭和っぽいなあ」と感じる自分がいた。

じゃあ逆に、いろんなものにカバーをかけると昭和っぽく見えるのではないか? 試してみた。

1983年徳島県生まれ。大阪在住。エアコン配管観察家、特殊コレクタ。日常的すぎて誰も気にしないようなコトについて考えたり、誰も目を向けないようなモノを集めたりします。(動画インタビュー)

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カバーをかけて個性を出す文化

そのむかし、電話機に服を着せる(布のカバーをかける)文化があった。

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特に黒電話は、こういうカバーかけるのが一般的であった。柄が妙にファンシーなのもポイント

黒電話は見た目も地味だったため、「自分の好きなカバーをかけることで個性を出す」というファッション的な側面もあったのだろう。その点は、現代における「スマホカバー」と一緒である。

とはいえ……。画像検索でもヒットするけれど、いま見ると「昭和っぽいなぁ」というステレオタイプな感想を抱いてしまう。布のカバーから、「昭和っぽさ」という抽象的な概念が想起されるのだ。面白い。

じゃあ逆に、最新家電にカバーをかけるとどう見えるだろう。新しいのに、見た目は昭和っぽくなるのだろうか。試してみたい。

Google Homeを昭和ナイズする

昭和感を出すことを、この記事では「昭和ナイズ」と呼ぶことにする。

最初に昭和ナイズするのは、『Google Home』(正確にはGoogle Home Mini)。ここ数年、勢いを見せるスマートスピーカーである。家電に向かって話しかけるなんて、数年前までは謎の行動であった。それがいまや日常だ。時代が変わると、人間の常識も変わっていく。

昭和は遠くなりにけり……といった感じだが、これにカバーをかけることで、あえて昭和っぽさを掘り返していきたい。

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ほどよい丸みと装飾のない物体感が、どことなく黒電話的である。カバーをかぶせたくなる形をしている(言いがかり)
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普段は縁のないユザワヤに行き、ファンシーさを感じる布を買ってきた。ちょっと買いすぎた
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Google Home向けには、この派手な布をチョイス。時代を感じる柄の代表格といえば、ビビッドな「花柄」であろう

今回の工作の素材、それは布である。布……となると、制作手段は手芸だ。当たり前である。

普段から工作はしているものの、裁縫となると実は二十年ぶりである。針を持つ手がふるえる。今回ほどハンドメイド趣味の方々を偉大に感じることはなかった。

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Google Homeの底から被せる形で、丸いカバーを縫い合わせた。過程をすっ飛ばしたが、ここまで来るのに1日以上かかっている。裁縫ムズカシイ……
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なんとか形になったものの、これだけでは物足りなさを感じる。何かが足りない……ヒラヒラ成分か?

ヒラヒラ成分とは、(私が勝手にそう呼んでいるだけだが)やたらヒラヒラしている装飾のことだ。

家電の外装は金型から起こすので、基本的にシュッとしていて、フリルのような立体的な装飾は付けられない。でもそれだと、カワイイが足りない。そこをヒラヒラ成分で補うのである。

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花柄の布を糸で絞ってフリル状にする。見よう見まねで作った

このヒラヒラ成分を使って、花びらのようにGoogle Homeの円周を取り巻くことにした。そうして最終的に出来上がったのがこれだ。

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昭和の時代にGoogle Homeが舞い降りた。声をかけてみよう。「ねえグーグル、ラジカセ止めて」
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ピロリロリン。「合点承知の助です」

Google Homeはそんなこと言わない。時代考証が甘いドラマみたいな雰囲気になってきた。

ちなみに写真の撮り方は、「2018年の食べ物を1970年っぽく撮るには」という記事の手法を参考にした。その上でザラザラしたノイズを加えている。撮り方ひとつで生み出される、この圧倒的な昭和っぽさよ。

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裏返すと趣のある形をしていた

これ、何か見覚えがあると思ったら針山だ。Google Home Miniは針山に似ていることが判明した。

そんなどうでもいいことが分かったところで、次いってみよう。

Oculus Goを昭和ナイズする

ここ数年で最も勢いのあるテクノロジーのひとつが「VR」だ。PSVRをはじめ、ゲーム界隈でも盛り上がりをみせている。特に『Oculus Go』は、ワクワクが止まらず発売日に入手した。コスパも高く、最初のVRヘッドセットとしてオススメできる機種である。

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そんなOculus Goだが、これまた飾らない感じの外観。カバーをかけて欲しそうにこちらを見ている
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布は、キルティング生地のキャラクター物をチョイス。古参のサンリオキャラが勢ぞろいであり、ファンシー度もひときわ高い
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こんな感じかな。ちょっと物足りないか

この生地はほどよいクッション性があって、家電の保護という意味でも適した素材だ。フィット感も抜群である。とはいえ、これだけでは物足りなさを感じる。……やはりヒラヒラ成分が必要なのか?

※ちなみに放熱の問題から、前面の平たい部分を覆うのは厳禁。カバーは側面だけにしておこう。

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そこで市販のレースを付けてみることにした
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これをカバーのフチに取り付けると良い感じに。というか途端にランジェリーっぽい雰囲気になった。思いがけぬセクシーさが露呈する
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コントローラー用のカバーも同様に作れば完成である

ミシンもないので全て手縫いしていたのだが、せっせと裁縫していると「筆が乗ってきた」ならぬ、「針が乗ってきた」感覚があった。針と糸というシンプルな道具だけで、思い描いた立体物を形にできることのスゴさよ。裁縫スゴい。古くから日常作業として家庭に根付いていたのも頷けるなあ、などと今さらながらに思ったのである。

それではお見せしよう。これが昭和のOculus Goだ。

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VRというより「仮想現実 ~バーチャル・リアリティー~」という表記の方がしっくり来るタイプのヘッドセット
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学校から帰ってきたら、オカンが勝手に作って着せていたヘッドセットカバー
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コントローラーにも専用カバーをかけて、ライバルに差を付けよう
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ためしに装着してみたら想像以上にヤバい人になったので、見なかったことにしたい

見たことないのに懐かしい。そんな雰囲気をかもし出すことができたのではないか。やはり布の柄が持つ力、そしてヒラヒラ成分が重要なポイントであることは間違いない。

VRは、遊んでいる姿を見られると恥ずかしいという課題がある。そこにファッション性を持ちこむことで、現状を打開できる「何か」がないだろうか。少なくとも、この布カバーでは逆効果であるが……。 

スティック掃除機を昭和ナイズする

最後は「スティック掃除機」を彩りたい。

コードレス掃除機自体は昔からあったものの、かつてはパワーが弱くて使えないという印象があった。それがいまや、コード付き掃除機(キャニスター型)からシェアを奪うまでになっている。

「え? 『Google Home』、『Oculus Go』と来れば、次は『ルンバ』やろ!」という意見も聞こえてくるが、残念ながらロボット掃除機は持ってないのだ。なので俺はスティック掃除機で行く。

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うちで活躍している、マキタのスティック掃除機。質実剛健なところが最高だけど、やはり少し地味である。カバーをかけよう
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花柄の布を長方形に切り、エッジ部分にバイアステープを付けて
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それをグリップ部分に巻き付ける。着脱しやすいようにマジックテープで固定した

黒電話もそうだけど、手に持つ部分にカバーをかけがちである。ただ実際に使ってみると、とにかく布が滑るのだ。黒電話の受話器もそこそこ重かったと記憶してるけど、滑り具合はどうだったのだろう。

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お次はスティック部分のカバーである。腕ぬきをイメージして、左右をゴムで絞った
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それを本体に通すと完成である
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地味なスティック掃除機が、すてきな姿に大変身!
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掃除も楽々、頼れる相棒、一家に一台スティック掃除機
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こんな風に持つと、間違ったゴーストバスターズみたいになった

スティック部分のカバーは、ファッション性を高める意味では大いにアリだなと感じた。特に邪魔にはならないし、それでいて個性が主張できる。もともと硬派なマキタだけに、スイカに塩をかけたような甘みが引き出されている。

思えば黒電話も、ガッシリとした質実剛健タイプであった。そこにファンシーな要素がプラスされることで、お互いが高め合う相乗効果が生まれていたのだ。

気に入ったので、スティック掃除機はしばらくこのままの状態で使っていこうと思う。


スマホカバーも昭和ナイズしたかった

最初に思い付いたのは、やはり「スマホカバー」であった。でも作りはじめてみると、

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自分の手芸技術の低さから、どうやってもグチャグチャになってしまう……

これはいつかリベンジしたい。

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