東海道線 静岡県内の駅に全部降りて観光する
清水駅:しずてつに寄り道
時刻はまもなく16時。この日の静岡県の日没時刻は16:43なのであと1時間ちょっとで暗くなり始めてしまう。焦る気持ちを抑えつつ、清水駅に降り立った。久しぶりに賑わいを感じる駅だ。
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清水とえいば清水エスパルスが有名だが、清水エスパルス発足以前からサッカーとの縁は深く、全国で初めて小学生サッカーリーグが発足したのも、国内初のサッカーコーチスクールが誕生したのも清水だ。むしろプロサッカーチームが作られたのはそういった地盤があった故の結果である。
清水駅周辺には神戸港、長崎港と共に日本三大美港に数えられる清水港やちびまる子ちゃんランド(作者のさくらももこ氏が清水市出身)など見どころも多いが、今回は移動と観光を兼ねて静岡鉄道に乗ってみよう。
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静岡鉄道、通称「しずてつ」の静岡清水線は新清水駅から新静岡駅まで東海道線に沿うかたちで走っており、東海道線が4駅で結ぶ区間を15駅という高密度で結ぶまさに地元の足といえる路線である。
東海道線では隣駅の清水駅~草薙駅で静岡鉄道を利用して、楽しみつつ進んでしまおうという作戦だ。
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大きな国道沿いにいきなり駅が現れた。なんだか中途半端な位置からはじまってる路線だなーと思ったが、調べると昔もっと海側にも線路が伸びていたようだ。清水港は明治からお茶の輸出で発達した歴史のある港でもあるので、また別の機会にゆっくり散歩してみたい。
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電車が動き出したのも束の間、すぐに次の駅に到着した。全15駅を21分で走り切ってしまうのだから、その駅間の短さが分かるだろう。電車というよりバスみたいな感覚だ。車窓はすぐそばまで民家が迫っていて江ノ電のような雰囲気がある。
小さめのリュックひとつで旅に出たので上手い具合に地元民に溶け込めていて、なんだか潜入調査をしているような気分だ。しずてつの秘密を本国に持って帰らないと…
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そんなことを思っている間にあっという間に草薙駅に到着してしまった。ここからまた東海道線に乗り替えよう。
草薙駅:静岡銀行本店のボスの住まい感
しずてつの草薙駅と東海道線の草薙駅は200mほどしか離れていないので歩いて3分ほどですぐについてしまった。
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乗り換えだけでは寂しいので歩き回って色々探したかったのだが、時間的にあまり長居してしまうとこの先に影響が出そうなので、しずてつ乗り換え口とは反対側の出口の目の前にある静岡銀行の本社を見て次に行きたい。
ぶっちゃけ見どころなのかと言われると違うような気もするが、駅の目の前にそびえたつビルを見た瞬間「めっちゃ迫力ある!見どころだ!!」と思ってしまったこの時の僕の気持ちをお察しください。
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用宗駅:夜の港を静かに眺められるタワー
順当にいけば次は東静岡駅なのだが、本格的に暗くなる前に行きたい用宗駅が少し先にあるのでそちらに先に向かいたい。草薙駅であまり時間を使いたくなかったのも実は用宗駅に出来るだけ明るいうちに行きたかったからだ。
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用宗はこじんまりした漁港と路地の多い町並みがのんびり旅に最適!と最近注目の集まっている町だ。路地好きの筆者としては明るいうちに散策しておきたかったのだが、もうかなり暗い。師走の午後5時をなめていた。もし全降り旅をするなら日の長い時期がオススメです。
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上の写真、けっこう怖い写真に仕上がったのだが共感を求められる相手がいないのが一人旅の辛いところ。怖さはシェアせずに一人で嚙み締めてしまうと本当に怖くなってきてしまう。一人で何をやってたんだろうか。僕、何かに取り憑かれてました?
なんやかんや暗くなった町を楽しみつつ進んでいくと15分ほどで用宗港へと着いた。そこで目の前に飛び込んできたのが、港の脇に立つやたらとライトアップされた展望台らしきものだ。
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看板や説明書きを見つけられず一体これが何なのかその場では分からなかったが、帰ってから調べると津波避難タワーだったようだ。
ライトアップをきっかけに普段あまり登る機会のない避難タワーに登ってもらおうという取り組みだそうで、筆者はまんまと登りたくなってしまったので作戦成功だ。主催の「用宗を楽しくする会」の皆さま、おめでとうございます。きっちり楽しくなってます。
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個人的にはおしゃれな温泉&カフェよりもライトアップされた津波避難タワーが気に入った。連載初回で紹介したドラゴンタワーといい、知られざる良いタワーがたくさんあるな。
安倍川駅:かっこいい名前のギャラリー
さて完全に日が暮れてしまったが、先に用宗にくるために飛ばしてしまった駅を見て回るために戻らなければいけない。まずは一つ手前の安倍川駅だ。
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安倍川ときいて最初に思いつくのはなんといっても安倍川餅だろう。ぜひ本場の安倍川餅が食べたかったのだが、駅の近くで安倍川餅を売っていそうなお店がない。もし歩き回って和菓子屋を見つけたとしてもこの時間なので和菓子屋なんてあっても閉店していそうだ。事前調査でも他に見どころになりそうなところがなく、どうしたものか…
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調べるとこの漢字は「奎」という字で、この建物の2階がギャラリーになっていてそこの名前が「ギャラリー奎」というらしい。この漢字、音読みだとキ・ケイだが、訓読みのひとつに「とかきぼし」というすごくかっこいい読み方がある。
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斗搔き星(とかきぼし)とはアンドロメダ座のまっすぐな棒の部分のことを指す。「斗搔き」というのは桝などで穀物を量る際に盛りすぎた部分をすりきるための短い棒のことで、これに似ているから斗搔き星というわけだ。
このギャラリーが奎と書いてなんと読むのかは分からないが、かっこいいのでギャラリー奎(とかきぼし)だと勝手に思うことにしよう。
というわけで駅前で見つけたネタを5倍希釈くらいにしてみたがこれが限界である。これ以上やるとカルピス風味の水になってしまう。正直、安倍川駅に関しては見どころ発見できずという結果なのでいつか絶対に安倍川駅リベンジを果たしたい。安倍川マスターに俺はなる!
静岡駅:静岡グルメを味わう
安倍川駅リベンジを誓いつつ、さらにもう一駅戻ってやってきたのは静岡駅。県庁所在地でもあり浜松市と並び立つ県内随一の繁華街だ。
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静岡駅で夕飯にしたいのだが、少し時間が早いのでその前に駅周辺を散歩してみよう。他の駅では全然人を見かけなかったのに静岡駅にはたくさん人がいるので、遭難した後に仲間と合流したみたいな気分になってしまう。みんなここにいたのか!
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駿府城周辺を散歩していい感じにお腹が減ってきたところでいよいよ夕飯。せっかく静岡にきたので定番ではあるが実はこれまで一度も食べたことのない「さわやか」を食べてみたい。さわやかはロードサイド店舗が多く車がないと行きづらい店舗ばかりだが、「新静岡セノバ店」は駅ビルの中にある車無しユーザーに優しい数少ない店舗だ。
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わざわざ歩き回って腹を空かせて完全なるさわやか脳を作り上げていったのでこれはかなりショックだった。この看板が出ているのに店員さんに「今日はもう入れないってことですか?」と確認してしまうくらいショックだ。店員さんはちゃんと「はい、入れません」と答えてくれた。そうだろうよ、そう書いてあるからね。
まぁこればっかりは仕方ない。また次の機会を狙おう。
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東静岡駅:夜の静岡県護国神社
お腹がいっぱいになったところで、もう一駅残してきてしまった東静岡駅にも向かわなければいけない。
この駅では事前調査で静岡県護国神社に行きたいと考えていたのだが、Googleマップには16時半までと記載されていた。当初は16時過ぎには東静岡駅にたどり着く予定を立てていたのだがちょっとしたロスの積み重ねで前駅の草薙駅を出発する時点で16:30を過ぎていたので一旦後回しにしてしまったのだ。さて、どうしようか。
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少し考えたがとりあえず予定通り静岡県護国神社に向かうことにした。入れるか分からないけど、他にめぼしい場所もないし。なんて気持ちで向かった静岡県護国神社だが、これが予想に反してまぁ良いスポットだった。
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夜間であっても誰でもお参りできるようになっていたのだが、何がいいって人が全然いないのだ。時折りこの神社をジョギングコースにしている方や犬の散歩で来る人はいるのだが、本当に数える程度だ。
そして人がいないということは静かでもあるので厳かな雰囲気が半端ない。そこにこの光の照らされ方ときたら、嫌でも神様の力を感じざるを得ない。これまでいった神社の中で確実に最も神聖な空気を感じることができた。
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予定が狂い夜に来ることになってしまった静岡県護国神社だが、おかげでなかなか良い体験をすることができた。 やはりいくら綿密に予定を立てていても何が起こるか分からないのが旅の醍醐味だ。
さて、これで草薙駅から用宗駅間の穴埋めは終わったので、あとは本日の宿泊地である焼津駅(用宗駅の次)に向かうだけだが、その前にもう一度静岡駅に立ち寄っていってみたい場所がある。
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今さら紹介するまでもないメジャースポットだが一度行ってみたかったのだ。あまり一人で飲み歩くタイプではないのでお店に入るのには少し勇気が必要だったが、とりあえず空いていそうなお店に勢いで入ってみた。咲代子さん、お願いします!!
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店主の咲代子さんは一人できた筆者に「どこからきたのー」「何しにきたのー」と話しを振ってくれて、その流れで自然に隣の席のお客さんとも会話が生まれて、すごく楽しかった。
隣の席のおじさんは常連さんで、娘さんが静岡のテレビ局か何かのマスコットキャラクターのデザインを応募したら採用された話を聞かせてくれた。ああ、そうそう、そういう話をずっと聞いていたいんだよ。知らない人の知らない人生の話は重すぎず、軽すぎず、お酒のつまみにするには本当にちょうどいい。
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美味しいおでん&お酒と楽しい交流ですっかりいい気分になってしまったが、ここからもうちょっと電車に乗って宿泊地の焼津へと向かわなければならない。待ってろ焼津!
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焼津駅:駅前温泉でリフレッシュ
焼津駅は熱海駅から数えて21番目の駅で、全行程のちょうど折り返し地点でもある。とりあえず無事に一日でここまでこれたので一安心。
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旅といえば外せないのが温泉だが、ちょうど焼津駅近くに「エキチカ温泉・くろしお」がある。ここで一日の疲れを落として明日の後半に備えよう。
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連載3回で1日目終了まできたが、残りはまだ半分。連載は残り2回。ちゃんと2回で全部納めきれるのか!?というドキドキも感じていただきつつ、次回は2日目の朝、西焼津駅から!
この記事で紹介した見どころはこちらの地図からどうぞ。
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