博物館内には図書室もあった。北方民族や遊牧民に関連した資料がぎっしり揃えてある、夢のような空間である。またそのうちに行かなければ。
<取材協力>
北海道立北方民族博物館
https://hoppohm.org/index2.htm
「もしも1000年前の北極海のカヤック乗りがタイムスリップで現代日本に現れても、両者のカヤック文化にほとんど差がないものと認め、喜んで日本の海上に漕ぎ出すだろう」というような趣旨のことが、この冊子には書いてあった。
博物館のエントランスにあったこの復元模型はまさにその通りのことを実感させる展示物であった。
うわあ、これ知ってる。おれの持っていたカヤックもこんなだったもん。
こちらは展示スペースの中心にディスプレイされている本物のカヤック。
船体に使われているのは、アザラシの皮である。防水性に優れているようで、言われてみれば納得の、素晴らしい素材である。しかし海面で使うんだから、海に生きる獣の皮つかえばいいじゃんという発想はやっぱり、めちゃくちゃクールだろう。
そのむかし。アラスカからシベリアにまたがるアリューシャン列島にすんでいた民族に出会ったロシア人は、初めて獣皮でできたカヤックを目にしたとき、その海上速度と運動性能にショックを受けたのだという。
そこには多分に、相手を見下す感情も影響していたわけだけど、こんな素朴な見た目が超高性能でびっくりするというのは、少しわかるような気がする。
ここまでは本で調べたり、実際に体験してきたことを、現物を見ながらしっかり追確認するような楽しみ方であった。
ちゃんと事前に調べて、現物を確認して、まとめを書く。これ、ほとんど小学校の社会科見学である。久々に楽しいな、社会科見学!
しかし現場にいけば、調べきれていなかった新発見に出会えるのまた事実。よく考えたらおれ、舟そのものについてはよく調べたけど、舟の上でどうやって猟をするのかちゃんとわかっていなかったな。
これも海獣用の猟具の一つなのである。どう使うかというと、まず獲物に向けて打つモリの先とアザラシちゃんをロープで結んでおく。
カヤックに搭乗しながら獲物にモリを刺すと、獲物はモリごと海中に潜ろうとするのだが、そのときにこのアザラシちゃんが浮袋になって獲物の体力を奪うという仕組みなのだ。
舟に乗るときに着るパーカーもすごい。
こちらのパーカーは海獣の腸でできていて、カヤックの船体と同様にこれまた超高性能の防水服なのだ。海で転覆しても露出している顔だけしか濡れなかったのだとか。
博物館内には図書室もあった。北方民族や遊牧民に関連した資料がぎっしり揃えてある、夢のような空間である。またそのうちに行かなければ。
<取材協力>
北海道立北方民族博物館
https://hoppohm.org/index2.htm
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