古賀 及子
1979年東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。特技は毎日かかさず日記を書くこと。
自撮り棒を「バラエティ棒」にカスタム
いまさらだが先日、自撮り棒をはじめて買った。どんなものかと疑っていたが、思った以上に便利だ。
言ってみればただの棒っちゃ棒である。さきっぽにカメラを取り付けられるだけでこんなにも棒が有用になるのかというのは驚きだ。
そんなシンプルな、棒という切り口の商品だからこそ、まだまだ可能性があるんじゃないか。たとえば、自撮りがはかどる機能をもっともっと搭載するのはどうだろう。
棒だからできること
自撮り棒は、棒だ。
棒には無限の可能性がある。
すっとのびた1本の棒、そこにはいろいろな機材がくくり付けられるはずだ。
3種類の機能を搭載します
たとえば……自撮り棒からシャボン玉が出たら写真はそれはそれは映えるだろう。
棒にシャボン玉マシンをとりつければその夢がかなう。
女優ライトという言葉があり、大女優ともなるとテレビ出演の際とくべつに照らしてくれるライトがあると聞いたことがある。
ライトで照らすと顔のアラが飛ぶのだ。よし、ライトもつけよう。
あとは扇風機はどうか。
いわゆるTMレボリューションさん的な状況(風にあおられてかっこいい)を作り出すのだ。
そろってしまえば、あとやることは自撮り棒に機材をワイヤーでくくりつける、以上だ。
私は工作が大の苦手だが、そういうど不器用勢だって、手を動かすと楽しいものが作れるという可能性そのものを、生き様を、見せたい。それが本稿のサブテーマでもある。
工作初心者がやるべきこと、それは「有識者を呼ぶ」
工作の苦手な者が工作をするとき、必ずやるべきことがある。それは、有識者に意見を求めることだ。たとえ自撮り棒に機材3つを取り付ける程度のことでもそれは同じだ。
前述のとおり、そろえた機材はワイヤーで自撮り棒に括り付けようと思う。ワイヤーを購入。すると……。
「ワイヤーを買うならニッパーも要りますよね?」
買い出しに同行してくれていた有識者の石川から素早くこの一言が。そう、初心者はワイヤーを買ってもニッパーを買い忘れて2度買い物に走ることになる、そういう生き物なのだ。あぶねえあぶねえとニッパーも購入。
「棒にワイヤーで固定するのはかなり技術がいると思います。念のため布テープも買っておいたほうがいいですよ」
えっ、そうなの……? 棒にワイヤーでぐるぐる巻きにすればよいだけだと思うのだが……。理解できないままおとなしく粘着力の強い布テープも買った。
布テープ、めちゃめちゃ便利じゃん!
作業を開始して、10秒で理解した。ワイヤーは難しい。
ぎゅっと固定したつもりでも取り付け機材がくるくる動いて固定しない。なるほど……これは……だめだな!
結局、ワイヤーはシャボン玉マシンの引き金を握りっぱなしにするための固定のみに使い、あとはもうぜんぶガムテープで貼った。
あらためて自分の素人力の高さと有識者の頼もしさを知った次第だ。
だいたい私、ニッパーなしでワイヤーをどう切るつもりだったんだろう。噛み切るつもりだったのかな。
3つの演出が一気に責め立ててくる「バラエティ棒」爆誕
この、もはやガムテープであれこれを貼り付けただけのオリジナル自撮り棒は「バラエティ棒」と名付けた。早速試してみると、なんとそこそこ豊かな結果になった。
期待したとおりにうまく行ったというよりも、ハプニング的な要素で思いもしないことが起ったというのが正しいだろうか。
どういうことかというと、
で、撮影するとだいたい普段はこんな感じですわ。
それが、扇風機をつけ髪をなびかせて、ライトで顔を照らし、シャボン玉マシンのスイッチをオンにすると……。
これがね、わかってることなのにびっくりするんですよ。光がまぶしいし、風が髪の毛をゆさぶるし、そしてシャボン玉ががんがん顔面に当たっては消える!
ば、バラエティ!
夢っぽいふんわりした写真にすべくがんばってすました顔を作るものの、一番正しい感情としては「困惑!」。
映える映えないというよりも、3つの演出がバラエティ豊かに一気に責め立ててくる珍しさが楽しめる、これが令和のコト消費か……! という工作になった。人生が豊かだ。
単に「めっちゃ長い」のもおもしろい
いや~、楽しかった~! と、満足しバラエティ棒は一旦解体して(熊手状態のままだと持ち運びに難儀するのがこの棒の弱点)帰宅。
ここまでの撮影では、自撮り棒に慣れないわたしの操作では長すぎる状態は危険かと80cmくらいまでしか延ばさなかった。
せっかくだしと遠慮なくマックスの136cmまで伸ばしたところ、それだけでうれしそうな写真が撮れたのだ。
自撮り棒から光と風とシャボン玉が飛び出すとおもしろいし、単純にめちゃ長い自撮り棒もウケるということが分かった。
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乙幡さんが自己主張の強い自撮りグッズを工作します