出張や旅行で新幹線を使うたびにシートの背の鳥を見続けて、ごく最近やっと気付いたのだが、留め具を少しかたむけて下から撮影するとかなり鳥っぽくなる事がわかった。このTIPSをお中元にでもいかがだろうか。
特急のシートにバード
明確に意識したのは2018年10月20日、「コウモリフェスティバル」というイベントに参加すべく三重県は津に向かう電車の中だったと記憶している。名古屋駅から近鉄特急に乗り込みホッと一息ついた瞬間、こちらを見つめるつぶらな瞳と目が合った。
コミカルながら気品のある白い羽毛に包まれたその姿は北海道の白い天使、シマエナガのようだった。
電車に乗る新たなモチベーションを獲得してしまった。言うなれば鳥鉄だ。こいつはやばい。
2018年からと書いたが写真を整理していたら2014年ごろからポツポツと写真を撮っていた。見出していたのだろうか、バードを。
2014年からだとして、そこから今まで乗り物に乗ってシートの背を見ては「なにこれ、鳥っぽいじゃん、かわじゃん」とかやってるわけだが年で言うと39歳から46歳にかけてか。楽しいけれど少し哀しいな、オレンジジュースとミルクまぜながら呟いた。
シートの背をおがめる電車といえば我が国が誇る高速鉄道、新幹線は避けて通れない。パッと見それほど鳥感ないじゃないかと思ったのだが......。
ABS樹脂感満載でふさふさの羽毛はないが、この目とくちばしのバランスからしてどこに出しても恥ずかしくない鳥である。
シートには背面全体で表現されるアウトサイドバードと中央の留め具周りにコンパクトに鎮座するインサイドバードが存在するのだ。
アウトサイドにもインサイドにもバードを擁する車両も存在する。我らが西武池袋線の特急ラビューである。
飛行機にも、バスにもバード
今思えば至極当然だが、鳥は電車だけにいるわけではなかった。空をゆくジャンボジェット機にも、陸路をゆくバスにもいたのだ。
電車と違い目が無いのが惜しまれるがトレー留め具の形状や位置は絶妙で背面を鳥に見立てて設計したのではないか見紛うほど。きっと飛行機の安全運行のために鳥のメタファーは欠かせないのだ。
なんでそれでペンギンなんだよとか言わないで。
JALだから黒なのかというとそうでもない。
バスになるとだいぶ鳥感は薄れるが、それでもこんなテクスチャやカラーリングを見せられると鳥がいる、森は生きていると言わざるをえない。
海外バード、この人に聞いてみた
海の向こうではシートの背にいるバード事情はどうなっているのか、っていうかこんな事誰に聞けばいいのか。実はかなり前にある人物に無謀な問いを投げかけていた。
DPZに彗星のごとく現れ、ネタも文章も完全無欠におもしろい幾多の名作旅記事を残していったSatoruさんである。
多くの読者やライターと同じく彼のコンテンツに衝撃を受けた私はライターのコミュニティで思わず打診してしまったのだ。
Satoruさんが次々に繰り出す異国の乗り物景が良すぎてしびれる。鳥感の無さはともかく(でも、鳥感ないなというのも鳥感を見る事なのだ)、いろんなイスの背があるねえというだけで興奮してしまうが、鳥っぽいのもやはりあって、それは飛行機の中に見出されるのだった。
Satoruさんイチオシの鳥シートはこちら、といって出てくるのが主に西アフリカ、中央アフリカに就航しているASKY Airlines。とにかく引き出しがすごい。
この企画の一番の功績はこの人の「イスの背中が見える画像フォルダを開かせた事」なんじゃないかという気がしてきたが最後に私の一押し鳥を掲載して終わろう。都心と成田空港を結ぶ京成スカイライナーにいたインサイドバードがめっちゃいいのだ。