特集 2026年3月3日

里芋は皮ごと食べて大丈夫だし、むしろうまい

大好きなんですが、皮をむくのがおっくうで、これまであまり買って調理する機会がなかった、里芋。

ところがその、野菜のなかでも特に手強そうな皮を、むかずにそのまま食べてもいいらしいという噂を耳にしました。本当なら朗報すぎるので、試してみます。

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

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里芋が大好きです

居酒屋では「きぬかつぎ」なんて呼ばれ、ホクホクに蒸されたものに、皮がつるんとむけるように切り込みが入れられて出てきたりします。これに塩をちょんとつけてぱくり。チューハイをぐいー……たまりません。

また関西では、里芋のなかでも親芋の周りにつく「小芋」を上品なだし味で煮た「小芋煮」という料理が定番。

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大阪のとある酒場で食べた「小芋煮」。左はハモの落とし

京都や大阪の酒場でこれをつまみに飲むのが、しみじみといいんですよねぇ。

ところが、きぬかつぎにしろ小芋煮にしろ、自分で作ろうとした場合のちょっとしたハードルが、皮の処理。かつてトルーさんも「里芋の皮をつるんとむきたい」という記事で試行錯誤の様子を記録されていたくらい、めんどうな工程であると言わざるをえないでしょう。

その憂鬱を想像し、スーパーでお手頃な里芋を見つけ、食べたいな、とは思えど買わずに帰る。なんてこと、よくあります。

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だって見るからに手強そうだもん

ところが先日、ある信じがたい噂を耳にしたんです。それが「里芋は皮ごと食べて大丈夫」というもの。

え? 野菜のなかでもかなり上位に入りそうな、あの硬そうな皮を? 食べてもいい? ほんとかよ……。

そういえば、早くもふたたび登場するトルーさんが「桃は皮ごと丸かじりしてもいい」という記事を書かれていましたが、あれと同等かそれ以上に不安。あと、そもそも安藤さんが以前、まさに皮つきの里芋を食べてましたが、「田んぼの中に入ったときの味がする」って言ってるし……。

まったくもって半信半疑ではあるのですが、やってみましょう。

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本当かな?

そこでまず、買ってきた里芋をよく洗います。さすがに毛むくじゃらのままでは食べてみる気が起きないので。

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このくらいまで

洗いかたは、食品専用のたわしを用意するとか、くしゃっとさせたアルミホイルでこするとか、いろいろと方法があるでしょう。が、僕が実際にやってみてたどり着いたいちばん手っ取り早い方法は「手で洗う」。

里芋を両手でつかんで、流水にさらしつつ、力をこめてぎゅぎゅっと雑巾を絞るようにこすっていると、上の写真の状態くらいにはなります。

では、あきらかに皮が残った状態のこの里芋、いよいよそのまま食べてみましょう。

まずはオーソドックスにレンジ蒸しで。里芋を濡らしたキッチンペーパーで包み、さらにサランラップで包み、大きさにもよるでしょうが、600wで5分程度レンチンしてみます。

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レンジでチン

で、普段ならこの状態の里芋を、あつっあつっとか言いながら手で持って、一生懸命皮をむくターンがあります。が、今日は塩をつけ、そのままかぶりつく。今のところノンストレス。あとは皮の食感がストレスにさえならなければ……。

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ちょんと塩をつけて
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だいぶ違和感のある写真ですが
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いただきます
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あ! 大丈夫だ

なんと、大丈夫なんですよ、これがぜんぜん。 

いつもどおりのきぬかつぎの美味しさに、皮のぱりっしゃきっとした食感は加わるんですが、思った以上に違和感がありません。

先述の安藤さんの場合、毛の生えた表面のごつごつまでそのまま食べたから味わいがワイルドすぎたのでしょう。ある程度洗ってあげれば、風味も食感も、まったく嫌じゃないです。これは里芋革命かもしれない!

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シンプルに煮てみよう

以上の経験により、里芋は皮ごと食べても問題ないという事実に確信が持てました。なのでここからは、里芋をいくつかの好きな食べかたで料理し、味見してみましょう。もちろん皮ごと。

まずは、小芋煮風の煮ものから。もとが大きめの里芋だったので食べやすい大きさにカットし、今回は、関西風の上品さを意識して、白だしにほんの少しみりんを足したつゆで15分ほど煮てみました。

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ぐつぐつ

ひとつひとつ皮をむいてから煮る手間を考えると、驚くほど簡単。

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「皮つき里芋煮」
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いただきます

さて味のほうは……おー、つるりと滑らかで洗練された本体はいつもどおりの美味しさ。そこに、しゃきっとワイルドな食感で、独特の土っぽさを感じさせる、それこそ里芋本来の味わいを凝縮したような皮。これがぜんぜんじゃまにならないどころかいいアクセントで、もう次からは皮つきじゃないと物足りないくらいかも。

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油との相性が抜群

続いては、洗って細切りにした皮つきの里芋に片栗粉をまぶし、油で揚げてフライドポテトにしてみましょう。

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じゅわ〜っ
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「皮つき里芋のフライドポテト」

味つけはシンプルに塩のみで。全体的にはさくさく、皮部分はざくざく、そしてじゃがいものポテトとは違い、本体の芋部分にとろりとした食感があり、バランスが絶妙ですね。絶品!

これ、皮なしよりもむしろ美味しいんじゃないかな。あと引く美味しさで、ビールを飲みつつ、ひと皿ぺろりといってしまいました。

最後にもう1品、シンプルなソテーを作ってみましょうか。

里芋1個を、断面がなるべく大きくなるような角度で1cmくらいの厚みにカット。オリーブオイルをひいたフライパンで焼いていきます。

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たまに様子を見つつ
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両面よく焼いて
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「皮つき里芋のソテー」

味つけは塩コショウのみで。

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いただきま〜す!

うおー!!! これ、超うまい!

実はほくほくねっとり、皮はざくざく香ばしい。シンプルゆえ、皮つきの里芋の良さをもっとも感じられる調理方法かもしれません。今後、何度でも作る未来が見えます。


里芋革命

くり返しになりますが、里芋は大好きなれど、皮のことを思うと買うのを躊躇してしまうことが、今まで本当に多かったんです。が、皮ごと食べても全然問題ないばかりか、むしろ味わい深いと知った今、その苦手意識が一切なくなりました。

今後の遠慮のない里芋ライフが、今から楽しみでしかたありません。

編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ
煮物パートの「次からは皮つきじゃないと物足りない」のあたりで、「そういえばフライドポテトも皮つきならではのおいしさがあるよな…」と思ったのですが、その後の料理がまさにフライドポテトだったのでウオーッてなりました。
パリッコさんの、読者の気持ちを見透かした見事な記事運び…!
どれも簡単なのに新しい世界が見えそうで、すぐ実践したくなるメニューなのも良かったです。(石川)

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