特集 2021年4月26日

佐世保ハンバーガー日記 ~5軒のお店を紹介します~

人生の半分ほどを佐世保で過ごしている。そしてさらにその半分くらいは、「佐世保といえばハンバーガーだよね」という他県の方々からのコメントに真顔で「はい」と返事をすることに費やされている。

名物だろうがなかろうが、ハンバーガーは美味い。なんでもない日々の暮らしの中でハンバーガーを食べたくなる瞬間はきっと誰にでもあるだろう。ラーメンみたいなもので。

なんでもない日々を過ごしながら食べるハンバーガーの日記、5日分をしたためました。

編集部より:
この記事は連載企画「佐世保ハンバーガー日記」を1本にまとめたものです。

1986年生まれ佐世保在住ライター。おもに地元の文化や歴史、老舗や人物などについての取材撮影執筆、紙媒体のお手伝いなど。演劇するのも観るのも好き。猫とトムヤンクンも好きです。

前の記事:良い意味で突き放してくるアメリカンな味 佐世保ハンバーガー日記「ブルースカイ」編

> 個人サイト ヤマモトチヒロのブログ

無性にハンバーガーが食べたくなるときがあるよ 

どこかの地域の「名物」は、地元民にとってどのような存在であるのだろうとふと考える。

長崎県佐世保市の名物として代表的なのは佐世保バーガーで、かれこれ20年くらい盛り上がり続けている。

米軍基地が置かれた佐世保が受けたアメリカ文化の1つ、佐世保バーガー。米軍関係者から直接レシピが伝えられたのが始まりとされ、駐留アメリカ人向けに販売されていたのが日本人向けにアレンジされ佐世保各地で広く親しまれるようになったそうだ。

佐世保バーガーの名は特定のハンバーガーを指すのではなくあくまで総称。定義として挙げられるのはオーダーを受けてから手作りすることだ。作り置きなし、出来たて焼きたてが原則なのだ。

でかい、うまい、というわけで佐世保バーガーが食べられるお店もざっくり30店舗ほどに増えた。多いように感じるが、ハンバーガー専門店に加え、カフェや老舗の喫茶店がひっそりと出していたりする。「えっ、ハンバーガー、あったんだ」と小さく驚くことも多々ある。

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やなせたかし氏がキャラデザを手掛けた「佐世保バーガーボーイ」。ちなみに、同氏作詞でたいらいさお氏が歌う「佐世保バーガーソング」もある名物っぷりだぞ。

個人的には大きくヤッタァとありがたがることは少ないけれど、「身体がわんぱくになるものが食べたい」スイッチが入ったとき無性に食べたくなるときがあるのだ。それはもうラーメンのように。 

1日目 ハンバーガーショップ ヒカリ

創業70年の老舗

66歳になるお義母さんが学生のころに食べていた味があった。昭和26年創業の「ハンバーガーショップ ヒカリ」だ。

本店に行きたかったが、この日は残念ながら店休日。それならばと、支店である佐世保港近くのショッピング施設内にあるさせぼ五番街店に行くことにした(ヒカリは本店とさせぼ五番街店の2店舗ある)。

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「ハンバーガーショップ ヒカリ」。土日祝日は地元民に「おおー賑わってるなあ」と温かく見守られる場所。

大きく【学生に人気!】と書かれたジャンボチキンスペシャルバーガーを注文したが品切れだった。

仕方がないのでスペシャルバーガーとポテトのLサイズを注文した。ヒカリをはじめ、オーダーを受けてから鉄板でバンズやらパティやら焼き始める佐世保バーガー店では、提供まで最低5分はかかる。なんとなくぶらっとすることにした。

情報量の多い佐世保港周辺をぶらり

店舗の目の前は港だ。フェリーやら海上自衛隊の巡視船やらが停泊している。コロナになる前は、マンション並みにデカい客船もバンバンきていた。

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いつのまにかフォトスポットができていた。

港沿いを歩く。わたしは、こじんまりとしていながら情報量の多いこの景色が好きだ。

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釣りをするおじいちゃん、高速道路、高架橋、佐世保駅、マンション、商業施設、フェリー乗り場が一気にフレームインしている。

ローカルで小ぶりなエネルギーに心地よさを感じつつ、そろそろハンバーガーができる時間になったので「ヒカリ」に戻った。

港街風情とハンバーガーと

天気がいいので、外で食べてやろうという気分になった。人気のないあたりのベンチに腰掛け、がさがさと袋をさぐる。

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奇をてらうことのない純粋な手書きのロゴがいい。

ハンバーガーの包装紙にも手書きのロゴが。「ヒ」の曲線のフリーハンドっぷりがたまらない。ポテトの袋がやたら攻めてる感じだ。

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ポテトの袋だけ雰囲気が違うのは市販のやつだから。ちなみに、ポテトは一度に二本以上で食べるのがマイルールです。
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厚切りチーズが顔をのぞかせるよ。うまいんだなぁこれが。

 

あぁ佐世保っぽい味がする、と思った。佐世保っぽいというのは、甘いマヨネーズだ。甘いマヨネーズと厚切りチーズの酸味、コショウの効いたパティのコラボが身体をわんぱくにさせる。そりゃ美味しいさ。そんな組み合わせ。とても夢がある。

ハンバーガーを食べながら海を見つめ、わたしは「うまい」と誰に言うでもなくつぶやいたのだった。

ハンバーガーショップ ヒカリ

ふんわりバンズに甘いマヨネーズ、ペッパーの効いたパティ、新鮮野菜が仲良くマッチ。彼らの良さをグッと引き立てる厚切りチーズは恰幅の良い頼れるおばちゃんだ。ニクイ。そんな女にわたしはなりたい。
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2日目 エスアンドケイ

市役所でぱきっとしてからハンバーガーを食う

ばたばたと佐世保市役所に来た。

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佐世保市役所。地下2階、地上13階建て。エレベーターが5つもあるのでよく乗りそびれる。

身の回りのあれこれを済ませ、心も体もぱきっとなったところでお腹が空いた。そうだ、ハンバーガーを食べよう。

窓口でもらった2時間分の駐車サービス券を有効に活用してやろうじゃないかと、市役所から徒歩1分ほどにあるお店へ向かった。

創業から23年のカフェ「Esu and Kei.(エスアンドケイ)」

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赤いオーニングが目印。こちらも佐世保バーガーブーム以前からあるお店だ。

Esu and Kei.(エスアンドケイ)」は、1998年から続く。佐世保のバーガー店としては老舗だ。創業当初からのロングセラー「Roy’sバーガー」を食べた。

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「Roy’sバーガー」をイートインで食べる。丁寧にお皿に乗ってきた。

中身の話をする前に、バンズ(このお店ではマフィンとなっているが、バンズで統一)について特筆させてほしい。バンズは創業当初からの製法を現オーナーの奥様が受け継ぎ、毎日自家製でつくっているのだ。ハード系のパンが大好きな部類のわたしだが、一口齧った瞬間のカリッとした音には参った。なんというクリスピーな音と歯ごたえ。最高じゃないか。

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バンズのバリバリ具合伝わるだろうか。ハード系パン好きはこの笑顔になるぞ。そしてこのバンズ、奥側が繋がっているので具材がこぼれず食べやすいのだ。

オリジナルのスパイシーなミートソースはパプリカの風味を効かせつつ素材ぎっしりだ。クリームチーズとは出逢うべくして出逢ってしまったんだろう。市役所のあとの現実感から、シームレスにうまいへと繋げてくれるのでびっくりしている。誰かとケンカ中、口に突っ込まれたら何もかもを許してしまうだろう。要はうまい。

そんな二人を、ほどよくジューシーなパティは「お前らって、ずるいよな。」と言いながら見守るんだ。いやほんとずるいよ。でも大丈夫、彼はとてもいい男。十分にジューシーなのだ。

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もうひとつ、国産牛ロースステーキが200g挟まっている「元祖 男バーガー」もおすすめしたい。

なお、市役所から徒歩5分もかからない木場田・万徳町エリアでは「ミサロッソ」も人気だ。

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古い商店街の跡地にある「ミサロッソ」。こちらも20年超えの人気店。
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以前わたしが実食した際の写真。パリッとふわふわ手作りバンズとカリカリベーコンがうまい。だんだんバーガーが顔に見えてきた。

市役所と元商店街のエリアに静かにたたずむハンバーガー店では、日常食的な味わい方ができたように思う。市役所の駐車場へと戻る途中、気持ちがうまいから現実へとじわじわと戻っていく。さすがにシームレスにはいかなかったか。やはり食べ物ってすごいな。

 

 

 

Esu and Kei.(エスアンドケイ)

ハード系パン好きをうならせるカリカリ&もちもちバンズだけでもストーリーは完結しているけれど。サルサミートとクリームチーズ、スパイシーパティの大団円がトゥルーエンドです。

 

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3日目 四ヶ町アーケードのマクドナルド

お腹が空いたから食べる。

仕事帰り、お腹が空いたので四ヶ町アーケードへ寄り道することにした。 

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四ヶ町商店街。近年、渋谷センター街とは兄弟であることが明らかに。気になる方はググってみてください。

佐世保には直線距離としては日本一の長さを誇るアーケード街がある。三ヶ町商店街と四ヶ町商店街という、二つの商店街がアーケードで連続で繋がっているのだ。全長960mある。

最近「さるくシティ4〇3アーケード」と名前がついたけど、まだ馴染みがあるのは「三ヶ町」か「四ヶ町」で、時と場合によって入口にも出口にもなる。

国道沿いにあるのでとてもわかりやすいし、ボーっとまっすぐ歩いているだけで市役所に到着する。 佐世保のランドマークのひとつだ。

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横断歩道の上にドーム型の屋根がある。野良猫が登ってニャーニャー鳴いてたりしたこともあったな。

わたしのお目当てはマクドナルドである。

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いつ頃オープンしたのかは覚えていないが、わたしはドナルドのかつての仲間「ハンバーグラー」や「グリマス」、「バーディー」や「フライキッズ」らがプリントされた子ども用チェアを使った記憶があるしおもちゃも持っていたので、20年は超えているだろう。
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店舗入口の床には、商店街の専門店のマークが。

 

I'm lovin'it.

 正直に話すが、わたしの頭の中にはポテトのことしかなかった。基本的にはマクドナルドのポテトはいつでも食べたいと思っている。

Lサイズを食べている時間はなかったので、Mサイズを注文しチーズバーガーで満足度を底上げする作戦を取った。

わたしはハンバーガーの方が少し、早く食べることができるのだ。

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店員さんから手渡されたそのままの状態。ハンバーガーとポテト双方に十分なディスタンスが保たれていた。

余談だが、数年前に縁あって米軍基地内のマクドナルドやハンバーガーショップで食事をする機会があった。クォーターパウンダーのダブルサイズがあったことに本場アメリカの風を感じた。

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とはいえ、トレーに敷かれた紙はばっちり日本語だ。
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米軍基地内のバーガーショップの「オールアメリカン」。カリカリの上をいくベーコン。アメリカ人大好きピクルスはマックと同じでやや甘め。追いピクルスも可。

ごちそうさまでした。

うっかり間食してしまったのでしっかり歩こうと思う。 

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佐世保人はモスバーガーも好きだよ。

アーケード出口付近では、車で迎えに来てくれた夫が待っていた。わたしは結局、夕飯前にマクドナルドを食べてしまったことを言い出すことができないまま夕飯も食べてしまい、お腹がぱんぱんになってしまった。

マクドナルド(四ヶ町店)

安さと早さ、ピクルスとケチャップのやんちゃな酸味とフライドポテトを求めてわたしは足を運ぶ。地元の外国人と若者たちと超間接的にふれあえる場所。
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4日目 Stamina本舗 Kaya本店

「伽倻(カヤ)」とは、かれこれ腐れ縁だ

「伽倻」との付き合いは、かれこれ高校生の頃に遡る。今でも縁がある、仲の良い女友達に誘われたのがきっかけだった。

「お腹空いた。伽倻(以下:カヤ)買ってウチで食べようよ」。まるで近所の駄菓子屋に行くかのようなノリで彼女は言った。

「カヤって何屋さんなの?」と聞くと、「知らないの!?ハンバーガー屋だよ。とっても美味しいんだよ。“伽倻”って書くの」と、漢字まで教えてくれた。これぞ、記事のタイトルでよくある“地元民が教える!”という声高なやつである。が、わたしは地元民なので、“地元民が地元民に教える!”となるわけで、とてもひっそりとしているのである。

女友達に初めて教えてもらったカヤの味は、わたしののちの定番となった。県外に住んでいたとき無性に恋しくなり、帰省しては食べていた。その女友達とは、互いに子どもを持つ身になり、年に数回ではあるけれどふとしたきっかけで言葉を交わす。どちらも腐れ縁なのだ。

今日は、カヤが食べたくなったので、カヤのために外出をする。20分ほど、車を走らせる。何かのついでではなく、カヤのために。

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「Stamina本舗 Kaya 本店」。平日でも、昼食時は人が並ぶ。15時以降に行っても多い日もあって、「いったい何飯なんだよ!」と内心悪態をつきながら買いに行ったこともあるがわたしも彼らと同類であった。
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今でこそ「カヤ」「Kaya」呼びだが、以前は「伽倻」の存在が大きかったように思う。看板ではささやくように主張しているけど。

到着した。注文カウンターへ行き、わたしの定番の味「チキンかつれつバーガー」、ノーマルなハンバーガー、そしてポテトを注文する。普段はチキンかつれつバーガー一択なのだが、食べ比べてみたくなったのだ。

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おとなり佐賀県のブランド鶏「ありたどり」を使用したバーガー。看板の年季の入り方から、相当な陽の当たりっぷりがうかがえる。

「30分ほどお待ちいただきますが。」と、とても普段から言い慣れているようすでスタッフの女性から返された。

しまったそうだった。平日でも昼ご飯時だと、混雑してスムーズに買えたためしがなかったのだった。あらかじめ電話予約をしておくべきだった。

ちょろっと買い物をし、少し通りをうろうろすることにした。

観光要素がほぼないローカルな立地

イオンで買い物を済ませたあと、「TRIAL(トライアル)」へ。

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安くてでかい肉がほしいときに行く。「価格破壊スーパー」などとうたわれているが、そもそもはIT企業だと知りおののいている。

福岡に本社を置き、全国264店舗、九州100店舗を展開するディスカウントショップだ。ボリュームのあるお弁当コーナーがやたらと充実しているのだ。

この近辺は、商社に町工場など、働く人たちが多いエリアなのだ。ちょうど、カヤとイオン、トライアルを結ぶ道沿いにも転々としている。よって、カヤまでの道のりに観光的要素は一切ない。

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カヤへ向かう道。商社、町工場、コンビニ、釣具屋、ディスカウントストア。まさに地元民エリア。

観光客たちのモチベーションは、まさに「カヤだけ」なのだ。そう考えると目の前を通っている道路が、ものすごい吸引力と地元民の推しだけで動き続ける空港のオートウォーク(歩くエスカレーター)のように見えてくる。

ローカルのなかのローカルを地で行く感じ

比較的長い時間つぶしのあと、バーガーを受け取って帰宅した。イートインスペースは人がいっぱいで座れなかったのだ。

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わたしが高校生のときから食べ続けているチキンかつれつバーガー。

おやきをモチーフにして焼かれたというふわふわのバンズが帽子のようだ。「アメリカはここにあるか?」と聞かれると、「いや、Stamina本舗ならあるがね」と答えたくなるほどオリジナリティにあふれている。一般的な佐世保バーガーのイメージとはまた違う、これまたローカルな印象を受ける。そして何より、ノーマルででかいのだ。

キッチンスケールで測ってみると、重さが370gあった。数字で見ると改めて重いよねと感じる。18年間愛し続けてきたずっしり感は370gだったのだ。

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家族とシェアしようと思って切って初めて、チキンかつが二枚入っていたことを知る。

揚げ物が挟んであるのに、不思議と胃に負担がかからない。鶏肉の脂が上質なのか、ぴりっとした生玉ねぎのアクセントのおかげなのか。やや甘めのオリジナルソースはごまの香りをふんわり添えて。やはり佐世保のハンバーガーは甘さがキーなのか。うまく具材をまるっとまとめてくれる。そんなわけで、客観的に見ると胃袋がバグってるなあと思えるほどガツガツいけてしまう。

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ノーマルのハンバーガー。恥ずかしいことだが、2年前、佐世保バーガー記事執筆の仕事で初めて口にした。お肉感がギュッとしているので、チキンかつれつの時とは食べる口の形状が変わるぞ!ちなみに重量は260g。

高校生の頃、女友達に誘われて「伽倻」へ初めて行ったあの日、チキンかつれつバーガーと皮付きポテトを二人分買って、2km先の高台にある彼女の家まで30分以上かけて登った。極限の腹ペコ状態であったにも関わらず、わたしたちは完食することができなかったのだ。

怖いものなんてなかったあの頃に経験した挫折の1つ、「伽倻」。ノーマルなボリュームでありながら、18年経った今もやはり敵わないのであった。

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家族にお裾分けしようと皿に盛り付けたらものすごくわんぱくな見た目になった。

 

Stamina本舗 Kaya

おやきっぽくカリッと焼かれたふわふわバンズは唯一無二。どれもボリュームがすさまじい。アメリカンというより、Stamina本舗だから。どローカルな味と立地に震えてほしい。
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5日目 ブルースカイ

生まれて初めてのブルースカイ

この日はやたらとソワソワしていた。連作の映画をボーッと観たかと思えば普段は観ない子ども向け動画を子と一緒になって超真剣に観たり、とにかく落ち着かなかった。

父を「ブルースカイ」に誘ったのである。

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栄町に長年店を構える「ブルースカイ」。年季の入ったネオン灯が素敵。

1953年創業、佐世保の中でも古い歴史を持つハンバーガー店「ブルースカイ」。佐世保バーガーの草分け的存在と呼ばれる店だ。夜8時から深夜2時までの営業スタイルは長年崩すことなく、店頭のネオンは夜の街に輝き続けている。

父は以前常連だったらしく、仕事帰りや飲み会の度に足繫く通っていたという。せっかくなので、一緒に行ってみようと考えた。

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平静を装ってお誘いしてみたつもりだったが、精一杯の佐世保弁がとてもぎこちない。「っちゃん」ってこんなシーンでたぶん言わない。そして1日遅れて返ってきた返事が生玉ねぎが大丈夫かの確認だった。ちなみに父の就寝時間は夜9時ぐらい。

 

「佐世保バーガー」然とはせず

父とブルースカイにやってきた。

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父、久しぶりだからかよそよそしく入店。

5〜6人は座れそうなカウンター席が店の奥に伸びている。

「いらっしゃい。奥からつめて。」とカウンター越しに立つ女性の店主が素に近い声色で言う。その姿は、色々な地元民から伺っていた通り、佐世保バーガー然とした観光客ウェルカムな雰囲気とは一線を画すものだ。何かの小説で読んだ、主人公が海外旅行先で入った地元人だらけのバーの描写を思い出す。

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友人からいただいたアドバイスは、「なるべくあれこれ迷わずにスピーディーにオーダーすること」。しかしながら、予想外のメニューの多さに「どうしよう」と声が出た。

手書きのメニュー表を見て、意外とバリエーション豊富なことに驚き、目線を上下せわしなく動かす。

沈黙に耐え切れずおすすめを父に尋ねると、「チーズエッグバーガーの美味しかよ!」と返ってきた。よし、わたしそれにする。

バーガーの食べ方の洗礼を受ける

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バーガーはカウンター下の鉄板で焼きたてのものを提供。目の前で具材をサンドしてくれる。

「それ、違う。逆。」

手を添えると真っ先に突っ込まれた。持ち方が違うそうだ。

一番上に見えているのは底の部分。そこに両手の親指を添えて残りの指を下のバンズに回し、ガッチリと掴んでくるっと起こす。上島竜兵の「くるりんぱ」の「くる」までのイメージだ。

「指が開いてる。具材が落ちないように、下の方をしっかり持って」と店主からのレクチャーを受ける。

「そうそう。」

やっと持ち方が安定すると、店主が微笑んだ。おお、うれしい。綾波レイが一瞬よぎった。具材がこぼれないように必死にかぶりつく。焼きたてのパティがとてもジューシーだ。しかし、みずみずしい野菜ゾーンに突入してからが本領発揮している。それぞれの具材が長所を出しつつ、こびていない。良い意味で突き放してくる、アメリカンな味だ。声高らかに「パティが、バンズが・・」と述べるのがとても野暮なことのように思える。言葉はいらないのだ。けれど、思ったことは伝えねばと思い、店主に「美味しいです。」と伝えた。店主は「そうですか。」と応えた。

わたしが食事を終えたので、テイクアウト用の袋を受け取って店を出た。

「また来ます」と親子ばらばらに店主に声を掛けて。

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超シンプルな店印がよい。
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また行きましょう。

 

 ブルースカイ

フワッとしたバンズ、パティ、フレッシュでやや厚切りの生玉ねぎとトマトでさっぱりとした味わい。味付けはケチャップとブラックペッパー、マヨネーズと至ってシンプル。逆さに持ってクルッとひっくり返して食べるのがブルースカイ流だ。具材がこぼれ落ちないように、指をギュッと揃えるのをお忘れなく。汁はOK。


ハンバーガーは佐世保の生活史の1つ

名物としての佐世保のハンバーガーにやや食傷気味だったわたしは、日常食としてのハンバーガーについて日記をしたためた。これはわたしだけでなく、佐世保に住むだれかの日常でもある。時にはマックやモスバーガー、時には馴染みのバーガーショップ、時には県外からのゲストをもてなすため普段行かないバーガー屋へ足を運ぶ。名物の楽しみ方はやはり地元人の方が持ち札が多いのだ。それが、佐世保ではハンバーガーだっただけの話だ。

名物でも日常のなかにあればただの愛しい食べもの。

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アーケードの床に長年はめこまれたままのハンバーガーのマークのようなお店。まだまだあるのでぜひ訪れてみてほしい。

 

 

 

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